そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ミニ戦後農業史・あるいは農業衰退の歩み

2010-12-07 | 政治と金

この4年3カ月で日本の首相は5人も代わった。4人が元首相の末裔で、3人が自ら政権を投げ出した。しかしこの間、農水大臣は代行や兼任などを含めて13回も代わった。この国で農業が軽んじられる何よりもの証左である。しかも13名の中には、農政に全くの素人が数人いる。非常識以前の無知のな発言などが少なからずある。これには戦後日本が農業を蔑ろにしてきた歴史がある。

日本農業は現在大きな転換点に立っている。戦後三度目に相当する、極めて大きな転換点である。一つ目は戦後の農地解放である。GHQが日本の何の抵抗もなくすんなり行われたのが、農地解放である。日本の食糧を支えた農民の主体は、小作農である。封建時代から続く小作農は突如として自らのの内を手にすることになった。このこと農民を開放し、自らの責任によって耕作する自由と責任を実感することになった。農民は大いに喜んだ。

60年日米安保条約締結後は、西側の国家としてアメリカに大きく依存する経済体制となった。所得倍増計画は、商工業では順調に進むことになった。農業者にも規模拡大によって所得を伸ばすために設けられたのが、61年の農業基本法である。倍々ゲームで生産が伸びることが出来るはずもない農業の規模拡大のために、構造改善事業が日本各地で行われた。

農業基本法では、都会に農民が出てくると、農村で『挙家離農』がおきる。それによって規模拡大が起きると、官僚は簡単に考えた。現実には、農地を手放さない兼業農家が大量に生産されたのである。耕作者主義の農地法は、所有することで資産価値などのメリットを農民に与えた結果である。これには、農地解放によって大量に生産された、農業だけでは生活できなかった小農の存在が背景にある。

この二度目の転換期になる、農業基本法は農地に農村に巨大な重機を投入することになり、多くの構造物を建設することになった。河川改修をして環境破壊をし、農地に農薬や化学肥料を大量に投入し、大型機械が走りまわることになった。負債に困窮する農家を傍目に、土建業者や農機具メーカーたちが大いに潤ったのである。この傾向は今でも変わらない。

基盤整備が進んだ農地は、道路が整備されるなどして格好の住宅地となり、農地転用が進む皮肉な結果になった。若干の農地は農家に転売されたが、多くは農地転用とその後の減反政策で、農地は次々と放棄されることになった。この国には一貫した農業政策がなく、減反しながらも米価を上げる、企業参入を禁止しておきながら昨年緩和するなど、農業を現場から見るのではなく、霞が関官僚の時々の思いつくまま、農業を翻弄し続けたのである。

新農業基本法も、小泉の郵政改革選挙で大量に農政通の代議士を落選させたのである。農村を基盤にする候補者の多くは、郵政改革に反対した結果である。農政通の基準はないが、与野党で70名ほどいたが、一気に一桁になってしまった。今また、何の議論もなく、TPPが提案され農村にいくら金をばら撒くかというレベルで検討されている。

農民や農業、地域や食料や環境を考える人物が政権内にいないのである。降水量が多く日照量も少なくないに日本は、農業生産に最適地でありながらも、農業を放棄する国家となったのである。農業の放棄は食糧の放棄であり環境破壊に直接つながり、地球温暖化に大きく貢献するのである。

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民主党が出す防衛大綱おかしいゼ

2010-12-06 | 政治と金

菅政府が閣議決定する新たな「防衛計画の大綱」案(2011~15年度)の概要が判明した。大綱案の概要は、北朝鮮の核・ミサイル開発を「脅威」と指摘し、軍事力を急速に増強する中国に懸念を表明する内容で、中国への警戒感を色濃く反映している。仮想徹国を作り、戦力を強化するのは、為政者の常とう手段である。

おりしも、自衛隊は米軍と行動訓練をやった。韓国がオブザーバーで参加している。やっと終わると今度は、韓国が北朝鮮を思い切り刺激する形で、芽と鼻の先で共同訓練をやっている。北朝鮮が何かしでかさないか待っているようですらある。自民党時代と何も変わらないどころか、新たな概念を出してきた。「平和創造国家」という概念である。

沖縄・南西諸島を重要地域と規定しているのは、明らかに中国を意識したものであるが、経済成長を背景に自信満々の中国を刺激するに十分でもある。従来の基盤的な防衛力に対して、これを「動的防衛力」と呼ぶそうである。良く解らないが明らかに中国の特に海軍を意識したものと言える。こうした構想に役に立ったのが、尖閣諸島での漁船拿捕事件である。

今年8月、菅直人の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が、年末の「新防衛計画大綱」作成にむけて、「平和創造国家」という用語を打ち出した。NGOとの民軍協力を具体的に積み上げ、オール・ジャパンの平和構築能力を高めていくとのことであるが、これも良く解らない。

例えば、アフガニスタンでは人道支援や復興支援を行ってゆく。同時にテロとの戦いも進めてゆくというのである。器を持って平和活動をするスタイルは、アメリカがすでに失敗しているのであるが、何を手本にしようとしているのかも良く解らない。

さらには、ノーベル”ヘイワ”賞を受賞した、佐藤栄作が窮余の一策で生み出した、武器輸出三原則も見直すらしい。国連で禁止した国や共産圏や戦争当事国など関係国には武器を輸出しないとすることであるが、これも見直す機運にある。これも良く解らない。

要するに民主党政権は、世界は変わったから日本はもっと軍備を強化しなければならない、というのである。民主党が、防衛大綱の中で仮想敵国や、脅威とした国々と話し合ったり交渉した経緯はほとんどない。にほんが「平和創造国家」になるなら、憲法できているように、武器ではなく話し合いなどによって、紛争や誤解をなくすべきではないだろうか。菅直人は若い頃にはそうした理念に燃えていたはずである。

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戦争遺品は語る

2010-12-05 | 平和

先日、別海9条の会で身内の戦争遺品を持ちよった。ことの起こりは、会員の方のお父様が3trim亡くなられて、遺品を整理していると軍人手帳が見つかりました。極めて保存が良く、大事に保存 されていたのが解ります。会で以前満洲から沖縄に行って、沖縄戦を戦われて生き残った方に、お話をしていただきました。その方の話は、紙芝居にしてあちこちで披露しています。

その方と同じ分隊から満洲へ行かれていたのが、手帖から解りました。そこで軍人手帳を見せたところ、驚き大変感激してもらえました。会員の方は通常だと、捨ててしまったかもしれない遺品を、9条の会に入っているからと世話人会に持ってきてもらったのです。会の存在意義もこうしたところにあるのかと実感したところです。

101127_11syuku 会に3歳の時に出征した兄さんの遺品を持ってこられた方がいて、これが大量の手紙と日章旗への寄せ書きがあったのです。近所の方々が思いのまま書き込まれていました。兄さんは22歳で出征して、中支(現在の中国の中ほど)で戦死されました。出征からちょうど12か月の、昭和16年12月6日、日米開戦の日でした。この間兄さんは、父や母それに弟や妹に大量の手紙を書いています。家族のことばかり案じています。戦局などについては全く触れていませんでした。何処にいるのかも解りません。

当時は長男と言えば後継ぎです。家を何よりも大切にする時代の長男は、今とは比較にならないほどの存在です。良心の悲しみはいかばかりであったことでしょう。全国でこのような悲劇が無数にあったことでしょう。

驚いたのは、友人から父に来た手紙でした。戦死おめでとう書かれてあったのです。兄さんの霊前にこの手紙を捧げてくださいと結んでいました。兄の死を友人がおめでとうと言わなければならない時代だったと、溜息ついた次第でした。寄せ書きには、幼い妹たちの言葉や、生きて帰れとはいえない女性たちの苦しげな文言が並んでいました。日の丸のすぐ下には血痕がありました。

今、北朝鮮などの乱暴な動きに、武力の増強を唱える人たちが少なくありません。戦争を有事と言い変え、相互理解を安全保障とすり替えてしまう欺瞞に満ちています。戦争は人殺しです。時が経れば、こうした人々の感情を引き裂いた戦争をまた考える人たちが出ることも、恐ろしいことです。時が経ると戦争が風化してしまうます。そのためにもこうした作業を絶え間なくやって行こうと思っています。

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経済成長を優先する印中

2010-12-03 | 政治と金

メキシコのカンクンで温暖化枠組み対策・COP16が開かれている。CO2削減を巡って、1997年の京都議定書に戻ろうとする動きがある。この時代は、何よりもアメリカのブッシュが戦争しPhoto_3 たいために離脱していることと、中国が参加していない。先進国の負担を検討する会議でもあった。

今や世界第二位の経済大国となって、CO2排出では世界最大級の国家となった中国である。これまでの事情は解らなくもないが、今更温暖化の責任を先進国に押し付けて知らぬ半兵衛はないだろう。この中国の態度に、世界第二位の経済成長を誇るインドが乗ってきた。更にEUがどうも京都議定書まで戻ろうとする動きがある。こうなると残るのは日本だけである。

京都議定書はかなり中途半端な会議である。排出権取引も、総論賛成の中で各論になるとうPhoto_2まくいっていない。というより事実上世界各国のコンセンサスがない以上、取引など無理な話である。先にCO2を減らしたところも、そうでないところも平等に削減するのは不平等である。というより無理な話である。

当時のアメリカのブッシュが、経済に大きな負担になると離脱した同様の理由が又持ち出されている。ブッシュは経済活性の妙案・戦争を引き出したのであるが、通常の国家では無理な話である。

国民経済まで背負わされている為政者たちに、理屈だけで温暖化対策を提案するのも難しいのである。コペンハーゲン以前に戻してどうなる。先進国に負担を任せようとする、中国やインドは冷静に対応するべきである。

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沖縄について学んでみませんか?

2010-12-02 | 政治と金

今年の春始まった、NHK教育テレビの“歴史は眠らない”シリ-ズで沖縄を取り上げてくれるので大いに期待していたが、余り説明もなく4回の所が、2回で終わってしまった。資料整理と説明していたが、どこからか圧力がかかったかと勘繰っていたところである。

Photo表題は「沖縄・日本 400年」である。講師は、全国九条の会の事務局長でもある小森陽一氏である。だからというわけではないが、どこかの大先生からNHKに圧力でもあったのかと今でも思っている。詳細は下記のサイトにアクセス してみてください。

そもそも「沖縄」という呼び名は、明治維新以後日本に併合してつけられた名前である。それまでは「琉球」であり、何はともあれ一つの国家として存在していた。日本と中国(清)の両国に配慮しながら生き残っていた、武力を持たない極めて平和的な国家・王朝であった。

明治政府は、琉球を幕藩体制に取り込むために、奸計に陥れて併合したのである。1879年に琉球王朝は滅亡し、薩摩の呼び名の沖縄になる。

沖縄人の同化政策が進められて行くが、太平洋戦争で日本の大本営は沖縄を防衛拠点として、切り捨てたのである。そして戦後はアメリカの統治下に置かれ、返還後も基地の島として現在がある。普天間反対だけでなく、琉球人の歴史も知っておくことも大切です。

日本によって不条理に扱われてきた、琉球・沖縄の歴史について少し学んでみませんか?

http://www.nhk.or.jp/etv22/tue/summary.html

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口蹄疫と鳥インフルエンザ

2010-12-01 | 政治と金

島根県安来市の養鶏場で死んだ、5羽の内3羽が鳥インフルエンザと断定された。ウイルス型は101201H5亜型で、数日以内に特定される見込みであるが、死亡しているところから高病性が疑われている。成鶏3万羽と幼鶏3300羽が殺処分される見込みである。

この前日、11月28日に韓国で口蹄疫の発生が確認された。韓国では今年1月に口蹄疫の発生があったが、9月にOIE(国際獣疫局)から清浄国の認定を受けたばかりである。今回の発生は豚である。2戸の養豚農家での発生が確認された。2戸で9000頭である。

島根の鳥インフルエンザの侵入経路は確認されたいないが、野鳥が疑われ現在調査中である。韓国の口蹄疫の発生についての詳細は不明である。

日本はとにかく、きめ細かい対応が得意である。島根の鳥インフルエンザの発生についても、今回は初期対応が適正に行われているようである。韓国の今年の口蹄疫の発生は、発生頭数は日本の宮崎ほどではなかったものの、半島全土に及んでいた感がある。韓国もそれなりの対応をやっていたはずと思われるが、今回の発生を見ていると、どこかに不十分なところがあったことが伺われる。

韓国はそれでもいい方である。中国の農村部やモンゴルでは、発生の事実すら明確に確認されているわけではない。法的な整備も十分ではない。発生後の対応もとても十分とはいえない。口蹄疫は死ぬほどの病気ではない。この病気がどのような形で発生しているのかあるいはまん延しているのかの情報もない。

かつてソビエトでチェルノーブイリで原発事故があった時に、法的な整備はもちろんのこと、事故に対する対応も準備されてはいなかったし、国民には知らされることもなく、そうしたインフラ整備もなかった。法的な制約も情報公開もまったくされなかった。要するに、事故を前提にした対応が何一つ準備されていなかったことが解った。

鳥インフルエンザも口蹄疫の発生も、日本ほど最悪の事故を想定し対応する国家は周辺にはない。TPPなどでは、価格ばかりで農産物を評価するが、日ごろから食に対する安全についての農家の努力や労力についての評価は、こうした経済問題の中では無視されているのが現状である。

食糧は価格だけではなく、質的な問題も含めた安全こそ優先されるべきであって、消費者は農家のそうした労力と努力に対価を払うべきなのである。安いのには理由があるからである。

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羅臼港

春誓い羅臼港