そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

身動きが取れないツルの鳥インフルエンザ対策

2010-12-27 | 政治と金

Photoナベヅルとマナヅルの越冬地として知られる、出水平野で鳥インフルエンザの発生が確認されている。ここには、ナベヅルが1万2000羽、マナヅルが1000場 冬を過ごす。元々は干拓地で、ツルたちに古の記憶があるのかもしれないが、今は簡単に言えば餌づけで集まっている。落ち穂だけではこれほどの鳥は維持できない。

観光的な意味合いもあるかもしれないが、いずれも絶滅危惧種いであり、餌づけは一概に非難はできない側面がある。

狭い地域に、絶滅危惧種がこれほど集まることの危険性は、以前から指摘されていた。とりわけナベヅルは世界の70%近くが、出水に集まっている。一旦伝染病も含め何かあると却って危険な状況になりかねないのである。

高病性のH5N1型が今日で4羽確認された。現地では、徹底した観察と給餌する場所を広げ、お互いの接触を少なくする方法がとられている。消極的な方法ではあるが、他にすることがない。野生の鳥であり、捕獲も殺処分もままならない。おまけに特別天然記念物であり、絶滅危惧種でもある。管轄は文科省であり、環境省である。

厄介なことは、出水の周辺30キロ以内に、120戸の養鶏場があり250万羽ものニワトリが飼育されていることである。一旦感染が確認させると、鶏舎全頭を殺処分することになる。消毒も徹底的にやらねばならない。移動も禁止される。これらの管轄は、農水省である。

鳥取での鳥インフルエンザの発生は終息が確認された。散発発生がある外的な状況を考えると、野生生物のこうした伝染病の扱いは厄介である。しかも、豚などを通じて人への感染可能な株へと、変異することが知られている。出水の鳥インフルエンザは問題は、ウイルス、ツル、保護と畜産と厄介な多元方程式のジレンマにある。

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