昨日の続きになります。畜産、とりわけ酪農はどんな現状なあるか、本来の姿で経営ができないないのでしょうか? 畜産にとって効率優先とは、とりもなおさず穀物の多給を意味します。それは鶏も豚も牛も同じです。そのためには、安価な穀物の安定的な輸入が必要になります。 3年ほど前まで、酪農学園大学の雑誌にシリーズでコラムを持っていました。そこで、私はアメリカにすり寄ることで安価な穀物を安定的に輸入するシステムがおかしいのだと書いたら、即刻連載を停止されました。酪農学園には、黒澤酉蔵が築いた建学の理念がなくなっているのです。 大型化、高生産化するためには、アメリカに従わなければできないと編集者の意見ですが、こうした考え方は 酪農学園に限らず、追い詰められた酪農家が高利潤を追求するためには、大型化と高生産化を選択することはわからなくもありません。しかし、そのことで世界が環境汚染や食糧の偏在や家畜の短命化などで、歪になっていることも事実です。 効率ばかりを追求する酪農家で、この国は満たされているのではありません。健康に家畜を飼って、健全な畜産物の生産を行っている、畜産農家もたくさんこの国にはいます。牛に負担をかけることもなく、環境にやさしく農家の時間を存分に享受している酪農家もいます。 こうした酪農家を「マイペース酪農」と呼んでいます。家族でゆったりとした、あまりも儲からない経営を営んでいます。牛などほとんど病気はしないし餌も買わないし施設投資もしないし、乳もたくさん搾らない。獣医さんや農協や餌屋さんたちから嫌われています。 こうした健全な酪農家は、頑張っていますが次第に追いつめられています。本当の牛乳を搾っていますが、価格差などありません。市場経済は健全な農業をこの国から追い出す働きをしているといえます。かなり浸透しています。確かにその方が利潤が上がるからです。そのために、健全な酪農家が追い詰められ、家畜が高生産の苦痛を強いられ使い捨ての犠牲になるのです。
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例えば、工業やサービス業においても、市場の変化に対応し、社会から指示される商品・サービスに変化しています。このような中で、酪農業、農業に対してのみ市場経済は悪であり、適用すべきではないという趣旨には違和感を感じますね。
私はマイペース酪農という経営形態であったとしても、利益を創出することは可能だと考えています。現状の”酪農経営”と言われるものは、生産という観点でしかないのではないでしょうか?