そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

補助金が酪農乳製品を値上げしてくれる

2019-04-02 | マイペース酪農

政府は消費増税に伴う混乱から、値上げが予測されるものは前倒しするように指示している。要するに値上げを先にやっておけと言うのである。こんな有難いことはない。4月1日は新元号で大騒ぎである。これに乗じて多くの商品が一斉に値上げされた。
酪農乳製品もこれに便乗した。ほかの商品のことはわからないが、乳製品の値上げははっきりしている。政府の進める補助金をたっぷりもらったコルホーズ型の巨大酪農が増えたためである。このことは以前に書いたが、高価な最新酪農器具をそろえて経費ばかりが掛かる。巨大酪農家の生産コストは1キロ当たり90円もかかっている。これでは政府が投資した酪農家が潰れてしまう。そのために乳価(酪農家の手取り価格)を上げざるを得ないのである。今年乳価は2円ほど上がった。
因みに健全な農家は、1キロ当たりの生産コストは35~48円程度である。液体の牛乳の乳価は農家ごとの価格差はない。大型酪農家はやっと息を吹き返すが、家族型中小規模の酪農家は、大型農家が乳価を上げてくれてウッハウッはである。
おまけにさらなる巨大化を指導されるので、乳牛が不足する。さらにさらに、大型農家は牛が次々とだめになってゆくので、乳牛が不足する。肉値が高いので健全な酪農家は和牛を授精するので後継牛が少なくなり、乳牛が不足する。その結果初産の孕みがこれまでの倍の値段になっている。
健全な家族型中小規模の酪農家は牛が長持ちするために初産の牛を売ることができる。高ーく売れるので乳価ともども、大型コルホーズ型酪農のおかげで、バブル状態であるといえる。
政府はTPP推進をし関税の撤廃などというが、結局生き残れるのは家族型酪農でしかない。膨大な設備通しの大型酪農家は潰れるか、さらなる補助金漬けの政策を期待し、政府に陳情するしかないのである。
ここで酪農界で奇妙なことが起きている。補助金漬けのコルホーズ型酪農は自民党支持者が多く、自立型で家族型酪農家は革新系支持者が多いのである。社会主義の失政を踏襲するような形態を自民党支持者が望み、ほとんど補助金ゼロの家族型酪農の経営形態が、政策とは関係なく新自由主義的であるのは奇妙な対比である。
農業の分野では社会主義型政策が進行し、消費価格を上げているのである。


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