母校の獣医学科で、臨時講師をしばらくの間やっていた。全員が獣医師の卵である。彼らに、入試科目に生物を選択したかと尋ねたところ、ほとんどの年、概ね30%ほどが選択し てはいなかった。理科は、物理、化学、生物、地学の4科目あるが、獣医学科を受験するのに、生物を選択しなくても、点数さえ良ければ入学できるのである。妙な話である。
大学入試問題の質と、受験した専門とを関連させていないからである。受験生は、好きな科目や点を取り易い科目を選ぶのは当然である。
今、問題になっている多くは世界史であるが、世界史は受験生には不利な学科である。幅が広くて、集中的な勉強がしにくいために、理科系の人なら選択はしないだろう。明らかに日本史のほうが、点を取り易いからである。
今回問題になっている多くの高校は、予備校や受験のための塾がない、地方に多いのは気になるところである。高校が、受験対策のために生徒に便利を図ったのであろうことが、推察される。ここにも、問題がある。
獣医学科を例にとるなら、全く動物に触れたことがない受験生でも、受験成績さえよければ入学できる。女性が悪いというわけではないが、何所の獣医学科も女性学生が半数を超えている。我々の診療所に実習に来る女子大生を見ていると、マニュキュアをしたり家畜に触ることもできないような学生がいる。
女性を差別するわけではないが、男性にはまづもってそのような学生はいない。今回の、必須漏れ事件は、専門の特性を考慮した、入学審査を問いかけているように思える。
本当の世界史知識は、大人になってから、美術や文学に触れたり、旅行したり、人と議論したり、松岡正剛の「千夜千冊」や「日立・世界発見」から学びました。
英語もそうなんですよね。高校で膨大な時間を使ってグラマーの時間とかあったけど、理屈っぽく「日本語で」語られたって一切何も残らない。正直、高校英語で学んだことはゼロでした。ほとんどすべてのこと(完了形、比較、間接話法etc)は、大人になり英会話学校でネイティブから教えてもらって初めて理解しました。言語ってものは、そもそも母親が幼児に教えるのが基本です。お母さんが教えるように簡単に教われば、リアルに理解できるものなのです。
ほんと、何を恨めばいいのかわかないけど、日本ってなにやってんのかなーって、しみじみ思ってしまう。