黒川検事長の処分は人事院懲戒処分指針に基づけば戒告相当になる。だが退職金が支払われる配慮された極めて軽い訓告にとどめた。安倍晋三は国会答弁で、この決定は稲田検事総長が行ったと国会で述べた。共同通信は法務省は懲戒相当と報告するも官邸が懲戒にはしないと結論付けたと報道している。
稲田検事総長は、少なくとも今年7月には停年退職が決まっている。其処ら辺りの官僚とは異なり、もう安倍晋三に忖度しなくてはいい立場にある。稲田検事総長は、黒川弘務の処分には関与していないと述べている。
かつて小泉純一郎がイラクに自衛隊を派兵した。明らかな憲法違反である。いくつもの違憲派兵の訴訟が行われたが、憲法に正面から向かわない判断がほとんどであったが、唯一憲法違反判断を下したのが、名古屋高裁である。その青山邦夫裁判長は停年直前であったことを彷彿とさせる。
人事院に「懲戒処分の指針について」という規則があり、そこには「賭博をした職員は、減給又は戒告とする」「常習として賭博をした職員は、停職とする」と明記されている。さらに、さらに重い処分対象として、「非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき」と、高い職にある者は、普通の職員よりも厳しい処分が科せられることになると明記されている。ギャンブル依存症のトップ2の人物に、訓告はないだろう。
黒川に科した訓告処分はその真逆の判断に沿って行われ、二段も軽くなっている。賭博常習者であるばかりか検事長という高い管理職にあり、処分は2,3段階上のものにならなければならない。社会的影響と混乱、法令を無視してまでの停年延長させなければならなかった、余人をもって代えがたい人物である。黒川弘務に科する常識的な処分は、懲戒免職以外にない。
国会は虚偽答弁を行った安倍晋三に、虚偽答弁をした事実の確認とその理由を質すべきである。併せて、黒川弘務を承認喚問するべきである。