中国の経済がCOVIDー19で落ち込んだものの、この4-6月の四半期でGDP3.2%の伸びを見せ、順調な回復を印象付けている。
共産党一党独裁体制が、言論の自由を封じ、人権も私有財産も奪った国民への報酬ともいえる。武漢のCOVIDー19の封じ込めも、6月に始まった欧州型と言われる新たな北京地域での感染者の広がりも、徹底した検査と封じ込めで7月に入ってほぼゼロの日が続いている。
地域のロックアウトを国家権力を背景に暴力的に行った結果といえる。感染の実態さえも封じこまれている感は拭えないが、結論だけは出している。
経済成長は国民への報酬といえる。経済成長は蜜の味である。中国は経済成長している限り、国民の言論や人権を封じ込めることが出来る。経済成長はあらゆる国民の矛盾や不満をのみ込むことができる。
一党独裁国家は、経済回復にも大きな力を見せている。規制も何もあったものでもない。日本ではコロナ対策であっても、自粛が主体となる。GoToキャンペーンでも、結局は自己責任である。こうした緊急事態を利用して、権力者はより強い権力を望み、国家をあらぬ方向に向け貶めることは歴史上枚挙にいとまがない。
中国共産党は、プロレタリア独裁を掲げる共産主義を念頭に、一党独裁体制を敷いている。但し、現在の中国共産党が、共産主義とはとてもじゃないが思えない。世界最大といえる貧富の格差や地域格差や少数民族への圧倒的な弾圧と思想教育、何よりも国家がコントロールする経済体制は資本主義経済の先端にあるといえる。
資本主義とは資本の有るものが自由競争の中で経済活動をすることであるが、国家に奉仕する自由の中でしか経済活動は容認されない。共産主義が目指した資本家の打倒どころか、推進・奨励でしかない。マルクスが聞いたらさぞかし驚くであろう。人民の側に立つ論理で一党独裁の強権はさらに強化されることになる。
党・国家・軍の最高指導者の習近平は、2018年国家主席としての任期は終身とした。プーチンなど比でない。クーデター以外の失脚はなくなった。国家の転覆が最も恐れられる。
香港への圧政、一制度への抱き込みや、東南アジア諸国への領土問題の顕在化や、国内の非漢民族への圧政や資源の収奪などは、国家体制の安寧のために行われる。
中国は、いずれ経済成長が行き詰った時、国民に与える蜜がなくなった時、新たな形を模索することになるだろう。