環境問題に取り組む国連総会の補助機関、国連環境計画(UNEP)は、2018年度版の「排出ギャップ報告書」を発表した。報告書は、世界の二酸化炭素(CO2)総排出量が4年ぶりに増加したと報告している。報告書は、2017年の排出量増加は経済成長が要因であるとし、各国による炭素排出量の削減努力は行き詰まっていると報告している。
2015年に採択された「パリ協定」が定めた目標を達成するには、世界のCO2排出量を2020年までに減少へと転じさせるのが重要となると、報告書は書いている。しかし専門家は、2030年までに減少傾向に変えることは現時点では難しいと指摘する。
ポーランドのカトヴィツェで開かれている(12月2~14日)地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP24」で、ドイツなどの環境NGOが共同で記者会見し、「二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電に日本の金融機関が世界で最も融資している」と指摘し、「温暖化対策に反する行動だ」と非難した。
その内容は1位はみずほフィナンシャルグループで128億ドル(日本円でおよそ1兆4500億円)、2位は三菱UFJフィナンシャル・グループで99億ドル(日本円でおよそ1兆1200億円)、4位は三井住友銀行のSMBCグループで42億ドル(日本円でおよそ4800億円)と、日本の金融機関が上位を占めたとしている。
今年はパリ協定実施の経過確認の重要な年である。CO2排出量が2.7%も増加したことは極めて大きい。加えて日本での報道がほとんどないことが気になる。
しかし、何んといっても大きいのはアメリカトランプ大統領の、「地球温暖化を信じない」という姿勢が大きい。地球温暖化対策が経済成長の阻害要因であるという事が裏にある。パリ協定を離脱した世界最大の経済大国は、自国主義の中から離脱しない。世界がアメリカに何を望んでいるかを知るべきである。それは中国にも同じことが言える。この二代大国が真剣に取り組まなかければ、さらにCO2の排出量は増えていくことになるだろう。
地球温暖化は暖かくなるだけではない。これまでの常識を破るような異常気象が今年は間断なく続いている。経済成長の犠牲になるほど気候は不要な存在ではない。