またまた、米国産輸入牛肉からBSEに関して除去を約束していた、脊柱部位の混入があった。もうこのブログで何度も書いているが、アメリカにはこうした部位を適切に選別するシステムそのものが存在しないのである。
日本向けの牛肉は、高価で販売できるから辛抱強い業者が対応しているだけである。しかし、それでも到底無理な要求なのである。今回で、特定部位の混入は3度目である。輸入条件そのものについていえば、13件目なのである。その都度報道が小さくなるのは、またかと思う日本人にはあまり受けないので、報道の方がそれに応じた形になるのである。
今回は、食肉大手のタイソンフレッシュミート社のレキントン工場(ネブラスカ州)から輸入したものである。732箱(約15トン)の中の1箱(約16キロ)である。この工場からは、07年2月にも月例証明のない牛肉が輸入された経緯もある。確信犯とまでは言うまいが、自国内ではこのような対応をやっておらず、意識が全くないとしか言いようがないのである。
アメリカのと畜場の実体は、衛生管理も個体管理もまったくお粗末なものである。日本のように、獣医師の解体と畜の確認数の制限などもなく、解体者も極めて安価な時給で雇用されている。アメリカ人はとにかく安い牛肉を食べたいのである。多少のリスクは容認する社会風潮なのである。
アメリカでBSEが確認され、輸入規制にかけられたが、これを強引に取り払ったのが、小泉内閣である。先導したのが麻生外務大臣である。学者による科学的な検討に意味がなくなり、その後BSE検査委員の半数がこの時辞任している。
食料を他国から輸入するということは、こうしたリスクを容認することである。食文化も歴史も気候風土も異なり、当然法体系も異なる国から食料を恒常的に輸入することは、国家として国民の健康や生命を他国に委ねることを意味する。食料を自給するということは、自国の文化や生命を守ることでもあるのだ。