JR西日本の福知山線で起きた、05年4月に起きた尼崎脱線事故原因を調査する国交省の事故調査委員会の内容が、JR側に漏れていたことが解った。更に内容への働きかけもやっていたようである。あるいはと思ってもいたが、やっぱりという感じがどうしても強い。
調査委員会の報告があってから、2年も経過して発覚したのである。航空機事故や重大な交通に関する事故については、国交省が事故調査委員会を設け、事故の原因究明と再発防止に向けての調査を行うのである。調査委員には、技術的な側面が強いために専門性が高いことが要求される。事故を起こした組織に係わる人物が委員になることも少なくない。
しかし、この脱線事故は明らかに人為的なものである。107名の人命が失われた事故としても、異常な前代未聞のものであった。当然、JR西日本側の管理体制が問われることになる。それを恐れた、JR側からの組織的な関与であった。
JR側の山崎正夫元社長が、先輩に当たる山口浩一委員に情報の提供と、特に職員に過重労働を強制していた日勤教育への削除などを求めたようである。更に、鈴木喜也東京副本部長が、佐藤泰生部会長に働きかけていたことも解っている。これらは全て、旧国鉄の中では上下関係になる間柄である。会食なども常態で行われていた間柄でもあったようである。
こうしたなれ合い体質は、巨大な組織になり権威が大きくなるほど官僚的体質になり、自らに不利なことは多い隠す体質となる。客観的でなければならない調査委員会を、操作働きかけ自らの責任逃れをやろうとするのである。これまでも大きな事故がある度に、事故調査委員会が開かれているが、同様のことがきっと起きていたに違いない。今回もたまたま、あってはならない書類がJR側に見つかったために、発覚したに過ぎないのでないか。
今後は委員の中に、素人でもいいから厳密に分析し調査する人物を主体にするべきである。隙なくとも、事故を起こした組織と係わらない人物を選出すべきである。技術的なことについては、専門家を呼つけて聞けばいいのである。