アメリカのヴェテラン議員10人による超党派の諮問機関「イラク研究グループ」が、提言をまとめブッシュ大統領に提出した。中身は79の処方箋となってはいるが、今までの政策の基本的な見直しとなっている。
「問題を解決する魔法の処方箋はない」あるいは「現政権の取り組みは成功していない」とかなり厳しいが、少し離れてみると当たり前の健全な考えと思える。
米軍撤退条件としているイラク治安部隊の育成が可能か?中東の民主化は可能か?イスラエル、パレスチナ、レバノンに全く目を向けてこなかったのは何故か?などの提言は的を得ていると言う前に、こんなことすら言われなければ気がつかないブッシュ政権の現状の方が問題だろう。
一番大きな提言は、ブッシュが悪の枢軸あるいは、テロとは交渉しないと対決をあらわにした結果、イランやシリアとは対話すらすることなかったことへの、痛烈な指摘である。これは、ブッシュ政権の基本政策の否定ではないだろうか。イランやシリアの協力なくして中東の現状打開などありえない。
解任されたラムズフェルド国防長官の後任のゲイツ氏は、あっさりと記者会見で、ブッシュ政権のイラク政策の誤りを 認めてしまった。国連代表のボルトンも身を引くことになった。急速にブッシュの姿が小さくなってきた。