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卵巣摘出手術の記録(最終回)

2012年05月17日 | 卵巣摘出手術の記録


(前回までの記事)
 *111222生還シマシタ!
 *術後3カ月検診
 *手術 その前と後

 *術前検査まとめ(前編)
 *術前検査まとめ(中編)
 *術前検査まとめ(後編)



おそろしく間が空いてしまいましたが、去年の暮れに受けた卵巣摘出手術のまとめも今回でようやく最終回です。
いよいよ本題の「摘出手術」の詳細をまとめてみようと思います。


手術の前日に、あらかじめ担当の先生から手術内容についての詳しい説明をしてもらうことになっています。その際には、このような書類も用意されていました。



「手術説明書(腹腔鏡下手術)」という全4枚の資料です。図解付きで内容が分かりやすく説明されてあります。これに加えて、「麻酔を受けられる方へ」という手術時の全身麻酔に関する説明も別途、麻酔医の先生から受けました。


さて、「手術説明書(腹腔鏡下手術)」ですが、私の場合はこんな風にまとめられています。

 1.病名 : 卵巣嚢腫

 2.病状 : 腰痛
(他にも「月経困難症」「過多月経」「下腹痛」などのチェック項目がありましたが、私の場合は「その他」で「腰痛」…)

 3.手術名 : 腹腔鏡補助下卵巣腫瘍摘出術


そして、腹腔鏡下手術についての概要。以下、その写し。

 4.腹腔鏡下手術概要

(1)腹腔鏡手術とは
 腹腔鏡とは、腹腔内を観察するための内視鏡のことです。腹腔内を炭酸ガスで膨らませた後、臍付近に5~10mm前後の切開を加えて、お腹に入れた筒(トロカール)を通して、腹腔鏡(CCDカメラをつけます)でお腹の中を観察します。また、下腹部の別の位置から入れた 1~3本の筒の中に、鉗子などを挿入してお腹の中を調べたり手術をしたりします。

【図解添付。やや生々しいのでご注意ください】


臍の上に1cm、臍の下に(私の場合は対象が大きいので)4cmの切開。
上の切込みからカメラを、下の切込みから鉗子を入れます。
そこから、中身の溶液を吸い出した後の卵巣を引き出します(左図)。
お腹はガスで膨らみ、尿道にはチューブを通します。
その他の臓器は、脇へ寄せておきます(右図)。



(2)この手術の適応となる産婦人科疾患とは

 不妊症/子宮内膜症/卵管癒着/良性卵巣嚢腫(私はこれ)
 子宮外妊娠/子宮筋腫/その他(悪性を疑う場合は現在適用外)


(3)この手術が適用とならない場合とは

 全身麻酔が不可能な方/著しい肥満の方/頻回の開腹手術既往の方
 その他医師が適切でないと判断した場合 など


(4)手術に必要な検査

 普通の開腹術と同じ検査(血液検査、心電図検査、胸部X-Pなど)


(5)腹腔鏡下手術の長所と短所

 *長所      /   *短所

 手術創が小さい / 全身麻酔が必要

 術後疼痛が少ない/ 腹腔鏡下手術特有の合併症

 入院期間が短い / 手術時間が開腹手術より長い

 術後の癒着が少ない対象臓器を蝕知しながら手術できない

 視野が拡大されて見え、繊細な手術が可能二次元画像下の手術のため距離感がつかみにくい。手術操作(止血や縫合)が困難

 骨盤深部など開腹手術では視野が得られない場所も良く見えるTVモニター画像外での偶発症(腸管損傷や血管損傷など)が起こる可能性


 6.疾患別手術方法(卵巣嚢腫の場合)

 嚢腫の大きさや性状により、処置方法や切開創の大きさや数が異なります。
 (1)体外法:卵巣嚢腫内溶液を吸引などにより縮小させた後、下腹部正中約2-3cmの切開創から嚢腫を体外に誘導し、嚢腫部分のみを摘出後、正常卵巣部分を形成して体内に還納します。

 ※私の場合はこの(1)を選択。上の図解にもあるように、卵巣を一度外へ引張り出して切除となりました。また、「正常部分」が残っていなかったため左の卵巣は全摘出しました。

 (2)体内法:腹腔内で嚢腫部分を摘除し、腹腔内で正常卵巣部分を形成します。

 (3)嚢腫壁焼灼:強度の癒着等で嚢腫部分の摘除が不可能な場合、嚢腫壁焼灼を行ないます。

 (4)付属器(卵巣・卵管)摘除:正常卵巣部分を残せない場合や年齢的に残す必要のない場合、また出血のコントロールが困難な場合など状況により付属器摘除を行ないます。


 7.手術の合併症

 腹腔鏡操作による合併症は、トロカール挿入による偶発生(腹壁血管損傷、創部血腫、後腹膜血管損傷、腹腔内臓器損傷)や炭酸ガス注入による合併症(皮下気腫、ガス栓塞、呼吸器合併症、循環器合併症)、術中操作による偶発症(腸管損傷、尿管損傷、膀胱損傷)、また器械の不具合による偶発症などがあり、非常に稀なものから1%前後の頻度で発生するものもあります。
 また、開腹手術同様、重篤で致命的な合併症に、深部静脈血栓症などによる肺塞栓症が0.01~0.04%の頻度で報告されています(弾性ストッキングまたは抗凝固剤にて予防)。
 開腹術に比べ頻度は低いですが、術後の合併症として卵管・卵巣の(再)癒着や卵管(再)閉塞やそれらによる不妊、稀ですが腸管癒着によるイレウス等が発生することがあります。

_________________________


以上が、大体のまとめです。翌日が手術でしたが、全てここで説明された通りに行なわれ、私は何も問題なく退院することができました。ありがたや、ありがたや!

しかし、もしも途中で何らかの問題が発生した場合のために、次のような説明もされてあります。

 10.その他

 腹腔鏡は、あくまでも手術のアプローチの手段のひとつです。もしも、腹腔鏡による手術が無理であると判断された場合や、腹腔鏡操作等による合併症が生じ腹腔鏡下での修復が困難な場合などには、開腹術に変更となることがあります。また腹腔内の状況により、予定術式が変更となることもあります。

 卵巣嚢腫や子宮筋腫・腺筋症手術の場合、術前検査・術中所見にて良性と判断された場合でも、術後の病理組織検査で悪性組織が認められる場合があります。このような場合、追加療法(再手術や抗癌剤治療)の必要な場合があります。


とのこと。幸い、私のケースでは術後の病理組織検査でも問題が見当たらなかったので、手術から1週間の入院、その後の定期検診(全2回)で全ての行程が終了し、無事完治となりました。


ちなみに、手術については何もかも担当の先生がうまくやってくださいました。私はひたすら寝ていただけで拍子抜けするほど簡単に治ったので、あまり病気をしたという気がしないほどです。しかし、さすがに手術直後には、体力の衰えが激しく、術後2日目から立って歩くように指導されるのですが、それもままならず。フラフラよろめいて看護士さんを心配させてしまいました。日頃の体力作りが大事ですね!

それから、手術当日には母が付き添ってくれましたが、終了後、先生から摘出した患部を見せられたらしく、「鳥の皮みたいだった!」と言っていました。へ、へえ~……

あ、もうひとつ。私の病状は「卵巣嚢腫」でしたが、しばらくして様子を見に来てくれた先生(開口一番「大きかったで~!」と満足げ)によると、お腹を開けて嚢腫を取り出してみたら、「「子宮筋腫」も見つかったからついでに取ったったよ~!」とのことでした。やだ、ラッキー☆……?

「子宮筋腫」については、大きさは1mm程度の小さなものだったそうです。私は退院前に、手術時のカメラ画像を鮮明なカラー写真で見させられたので、子宮筋腫の様子も確認してきました。ポツっと白い点状のものなんですね。その他の私の内臓および腹腔内は綺麗なものでした。鶏の臓物にそっくりでしたよ。やっぱり私も一個の生物に過ぎないんだなあ。と、あれから精肉売り場へ行くたびに、しみじみします。


術後は麻酔から覚めやらず朦朧としながら母と会話をしましたが、私の母もまた以前「卵巣摘出」したそうで、その時は術後の疼痛に悩まされたそうです。また、その数年後に「子宮筋腫で子宮を全摘」したときは、痛くなかったそうです。

…えっ…!!??
ちょ、それ、先に聞いておきたかったわ…!!(特に「子宮筋腫」の方)
遺伝は関係ないとは思うものの、これだけ一致するとやや不安。
(´;ω;`)次も子宮筋腫、クルコレ?


というわけで、身近なところにも経験者はいるかもしれないので、病気が分かったら周囲の人にあれこれ聞いてみるのも良いかもしれません。
私は病気が判明してから入院と手術が決まるまでは、一切誰にも報告しなかったのですが、いよいよ手術日が決まり病状もほぼ確定したところで実家に連絡したら、さぞかし心配させるだろうと懸念していた母から

「あ、お母さんも卵巣が片方ないヨ☆(ゝω・)v だいぶ前だけど、どっちか取っちゃった(右か左かすら忘れ…)」

みたいに言われました…orz このことで、何となく無駄に心配してしまっていたなと、私は病気や手術に対する不安や抵抗感がすっかり解消しましたね。清々しい諦観とでも言いましょうか。いずれにせよ、気持ちが落ち着きました。


さて、長くなりましたが、これから手術におもむくという方々のお役に立てますように。また、ご無事と早い快復をお祈りします。
これらはとてもありふれた病気ですし、うまくいけば治りも早い病気です。
ともかく定期的な検診を心掛けましょうね!!