半透明記録

もやもや日記

お知らせ

『ツルバミ』YUKIDOKE vol.2 始めました /【詳しくはこちらからどうぞ!】→→*『ツルバミ』参加者募集のお知らせ(9/13) / *業務連絡用 掲示板をつくりました(9/21)→→ yukidoke_BBS/

吉野行

2009年05月20日 | 夢の記録

とりとめもなく夢のはなし。


よく味わう前に桜が散ってしまったのが残念だというK氏を、「吉野の奥のほうならば、まだ咲いているかもしれない」と言って誘い出す。念のため、インターネットで【桜開花情報】のサイトを確かめてみると、吉野のあたりは辛うじて桜が残っているらしいことが分かる。

K氏を誘ったはずだったのだが、どういうわけか、私の連れは小学校時代の久しぶりに会う女の子の友達である。彼女は昔のまま、小学生の姿のままだ。いや、それより少し成長していたかもしれない。一方、私は三十三歳より少し若かったように思う。
さっそく駅で吉野へ向かう電車のチケットを買うのだが、特別なチケットらしく、一週間の有効期限のうち、土日利用と平日利用では後で請求される値段が違うという。土日は高額である。資金に乏しい私は、「ならば平日に…」と思いつつも、今日は土曜日で、なんとなく平日を待てないまま電車に乗ってしまう。いくらくらいかかるのかはっきり分からないので、とても不安だ。やや曇って暗くなってきた空を眺めながら、電車に揺られる。

吉野へ着くと、連れの人数が知らないうちに四、五人に増えている。しかし、いずれも私の知人ばかりだ。そのなかにK氏もいた。愉快なハイキングの様相を呈してきた。私たちはどこで調達したのか思い出せないが、しっかりと食事の用意をしてあったので、丘の途中で昼食をとることにする。四角い弁当箱にぎっしりと詰まった白いご飯と、サバだかサンマだかホッケだかの大きな魚の開きを、これまたどこから持ってきたのだか分からないがバーベキュー用の炭火焼コンロで焼いて食べる。しかし魚は結局一匹余ってしまった。あとで食べようかと言うことで、どこかへしまっておくことにする。しかし、どこへしまったのか……よく思い出せない。

吉野へは桜を見に来たはずだったのだが、どうやら今となっては、我々の目的はあの山の頂上を目指すことらしかった。日帰りだというのに、あんな高いところまで登れるのだろうか。それに、吉野にしては随分と切り立っている気もする。でもまあ、とりあえず先へ進もうじゃないかと言い合って、一列に連なって細い山道やゆらゆらする吊り橋を渡ったりしてずんずんと登って行くのだが、途中で霧がかかってきた。帰りの電車の時刻を考えると、やはり頂上へ到達することはどうやら無理らしい。私たちは諦めて、いつかまた、今度は一泊するつもりで再挑戦することにしようか、とあっさり引き返した。

食事をとった丘まで戻ってくると、まだ帰りの電車までは少し間がある。それぞれにしばらく休憩した。私は丘の斜面で、K氏にじゃれついて彼の首にぶら下がると、K氏は私をぶら下げたまま軽やかにくるくると二、三周まわった。私はそれが楽しくて大笑いする。

そろそろ駅へ向かわないと。駅前の商店街の細い道を上がって行く。ふと空を見上げると、私たちの歩く道に沿って、大きな鳥が飛んでいた。藍色の巨大な、太い足の鳥が優雅に羽ばたくたびに、立派な羽根の先が靄のように柔らかくなびいている。美しいとは思うもののどこか不格好でもあると思って見ていたら、不意にその鳥が脇道にある工務店の前に下り立った。私が驚いて口を開けていると、大きな鳥は太い二本足で真っ直ぐに立って、右の翼で工務店の戸をがらりと開けて中へ入っていった。あれは実は人だったのだ。

さきほどからずっと暗い空から、いよいよ雨がぽつぽつと降り出した。私は傘をさす。駅まではほんの少しの距離だったから、無駄だったかもしれない。すぐに駅の構内にある土産物屋に入った。私はただちに傘を畳むつもりだったのだが、さしたまま少し店内に入ってしまう。土産物屋にはガラス製品ばかり置いてあるので、店の主人は私の傘を恐れて、私の両方の脇のあたりを太い人差し指で突き刺しながら、私を外へ追い出す。私は突っつかれているのが、くすぐったいような痛いような気持ちで、「ご迷惑をかけて申し訳なかったですが、傘ならもう畳みました」と言いたいのに、声も出ない。苦しくて畳んだ傘を放りだした途端に、左手から現れた数人の子供たちがそれを奪って走り去ってしまう。私は傘を取り戻すために彼らを追いかけたいのに、土産物屋の主人がまだ私を離してくれないのでできない。もうすぐ電車も出る頃だ……しかし、脇がくすぐったくて、私は石のように固まって動けない。離してくれ、そろそろ離して――



**************************


という夢を見た。山の夢は久しぶりだ。結局、登らなかったのだけれども……。私の夢には、山とか大きな鳥がよく登場する。あの鳥には少しだけ見覚えがある。だけれども、前に見たときは色が違ったな。あの時は茶色かったし、お寺の庭の大きな松の枝にとまっていて、とても良い香りがした。ロシアの砂浜で見かけた時は(もちろん、夢のなかのロシア)、色が白かったし、何羽もいた。
それから、前に見た登山の夢では、いきなり山の頂上に辿り着いてしまっていたのだっけ。そのあと大津波に襲われたのだったな。私はそれで、自分が新聞記者だったことを思い出して……。


余談ですが、夢のなかでK氏が私を首にぶら下げたままくるくるとまわったのがあまりに楽しかったので、実際にやってみてもらったところ、リアルの私は重すぎて、少しも軽やかにまわれませんでした。そりゃそうか。夢のなかの私は羽根のように軽かったのだがなぁ……。