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ソ連 1986年 135分
《あらすじ》
パンを買いに出た建築技師は、街角で異星人らしき男に出会ったはずみで、バイオリンを持った学生とともに地球から遠く離れた惑星へ飛ばされてしまう。どうにか地球へ帰ろうと、二人は砂漠の惑星で悪戦苦闘を繰り返すが――。
《この一文》
“おめー馬鹿か? オレンジと緑は全然違うだろうが。 ”
正直に言って、これほどに完成された映画だとは、観る前には露ほども思っていなかった。衝撃。なにこれ、超凄い。
えーと、何がそんなに凄いって、もう何もかもが凄いです。「135分かー、なげーなあ」と思っていた私、表へ出やがれ! 始まるなり目も耳も釘付け、あまりに凄すぎて、各所の笑いどころにも十分な反応を示すことができません。気が付けば劇終。なんという傑作!
しかしまあ、ここまで衝撃を受けるかどうかは好みによると思われますが、実際私はかなりの衝撃を受けました。やっぱロシアにはかないませんよ(監督はグルジアの人らしいですが)。映像もストーリーも音楽も何もかもが私のツボに入りまくりですよ。もうだめだー。わあー。一分の隙もありやしない。わああ。
うーむ。これはもう一度観たいなあ。いや、一度と言わず何度か観たい。DVDを買おうかな。
この面白さをいったいどのように表現したら良いのでしょう。とにかく、絶妙な間抜け感を漂わせる音楽、完全無欠の造形美、砂漠の荒涼感、地下道のロシアらしさ、無駄のないストーリー、強烈なキャラクター、どこをとっても最上級品なのです。すげーな、こりゃ。
特にストーリーは一切の無駄もなければ余分もないという感じです。130分超という時間を流れるようなスピードで進んでいきます。あの結末の鮮やかなことと言ったら!
そして、各所にロシアらしい笑えるような笑えないような笑いどころも満載です。バイオリンを弾けない「バイオリン弾き」、よりによってマッチがこの星の高級品、謎めいた身分制度があり「赤ステテコ様」が一番偉かったり、それから、それから。
どうしてこんなに上手く間抜けさを表現できるのでしょう。しかもこの間抜けさというのが、もっと突き詰めると意外と深くて鋭いメッセージとして捉えることも出来そうなところが凄い。すごいなあ。表現とはこうありたいものだ。
私などは圧倒され過ぎて、もしかしたらまだよく把握できていない箇所があるのではないだろうかと気になって仕方がありません。もう一度観たい。買うか。何という名作だろうか。