プラトンの『国家』を読み始めました。プラトン。あのプラトンです。正義とは何かを知りたくて……。
さて、読み始めてまず思ったのは、これは普通に読み物として面白い~! ということです。そう言えば、学校でも大昔に習ったような習わなかったような気がしますが、ソクラテスとその周囲の人々の対話が主な内容です。でも、こんなにくだけた対話だとは思ってもみませんでした。
読むとすぐに気が付きますが、このソクラテスという人は、実にしつこい…。誰が何と言っても、しつこく相手の発言のアラを探します。冒頭でソクラテスとポレマルコスが議論をしているのを聞いていたトラシュマコスは、そんなソクラテスの態度にブチ切れです。
トラ:「言うのなら、はっきりと、そして正確に言っていただきたい。そのようなたわけたことを言ってもらっても、このわたしは、いっさい聞く耳をもたぬからな!」
ソク:(ぶるぶるふるえながら)「どうかそんなに怒らないでくれたまえ。(中略)いやいや、これでほんとに一所懸命なのだよ、君。ただ、思うに、ぼくたちには力がたりないのだ。だから、君のように能力のある人たちとしては、ぼくたちを怒るよりも哀れむほうが、ずっとふさわしい態度ではあるまいか」
トラ:「そらそらお出でなすった! これが例の、ソクラテスの空とぼけというやつさ。」
てな感じなので、私はつい大爆笑でした。お、面白過ぎる。ソクラテスってこんなキャラだったのか。ぷぷ。太宰の「新ハムレット」もバカ受けでしたが、これも劣らず大笑いです。あと、最初のほうで私の敬愛するソポクレス(アテナイ三大悲劇作家のひとり。傑作『オイディプス王』を世に送り出した超偉人)も一瞬だけ登場しました。何かとてもシブイ発言をしてました。素敵だわ…。前書きに、プラトンも優れた劇作家だと書かれていたのはどうやら本当らしいと思われます。
いやー、こんなんだったとは知りませんでした。無知というのは、まったく情けないことですねえ。でも、早めに気が付いてよかった~。って、早くもないか……。
しかし、すっごく面白いと言ってもやはり内容は真剣な議論ですし、分量もかなりあるので、読破まではまだまだかかりそうです。とりあえず、今はまだ第一巻の途中で、トラシュマコスはただの怒りん坊かと思ったら、意外にもまともなことを言い出したッ!(←あくまで私の感想) というところまでしか読んでません。ええ、ほんとうにまだ出だしです。まあ、せっかくなので、慌てずひとつずつきちんと理解しながら読みすすめたいものです。