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もやもや日記

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『ボートの三人男』

2005年02月27日 | 読書日記ー英米
ジェローム・K・ジェローム 丸谷才一訳(中公文庫)



《あらすじ》

気鬱にとりつかれた三人の紳士が
犬をお伴に、テムズ河をボートで
漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、
城や森をたどりつつ、抱腹絶倒の
珍事続出、愉快で滑稽、皮肉で珍
妙な河の旅がつづく。イギリス独
特の深い味わいをもつ、代表的な
傑作ユーモア小説。


《この一文》

”--人はモンモランシーを見るとき、これは人間の理解を絶したある理由のもとに、フォックステリアの形を借りて地上へと派遣された天使なのだと想像するであろう。モンモランシーの顔つきには、一種、ああこれは何という邪悪な世界だろう、これを改良し上品にできたらいいのだが、といった感じが漂っている。これは敬虔な紳士淑女の眼に涙を浮べさせるものである。
 彼が最初、ぼくの出費のもとに生きるようになったとき、実を言うとぼくは、まあ長いことはないだろうな、と考えた。ぼくは椅子に腰をおろして、彼が敷物の上から見あげるのを眺め、
 「ああ、この犬は長生きしないだろう。やがて天国へと迎えられるだろう」
 と考えたものだ。ところが、彼が殺した約1ダースのひよっこの代を払わせられ、百四十七回目の壮烈な市街戦から、彼を、吠えられたり蹴られたりしながら首根っこをつかまえて引離し、カンカンになっている女から彼が噛み殺した猫の死体をつきつけられ、その女に猫殺しよばわりされ、一軒おいて隣りの男に、こういう猛犬を放し飼いにしておくもんだからこの寒空に二時間も物置小屋に監禁されたと文句を言われ、果ては、ぼくの会ったこともないどこかの庭番がこいつに鼠を捕らせ、一定時間内に何匹つかまえるかを見事に当てて三十シリング稼いだという話を耳にするようになって、ぼくは始めて愁眉を開き、結局こいつはかなり長生きするだろうと考えたのである。        ”



楽しいです。
犬のモンモランシーが可愛い。
猫と湯沸かしに負ける犬。
私はイギリスの文学はあまり読んだことがないのですが、こういうユーモアというのはいかにもイギリスらしいという感じは受けました。
なんとなく。
ゆく先々でその土地に関する説明も述べられているので、真剣に読めば、イギリスの歴史の勉強にもなるかもしれません。