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もやもや日記

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『愛はさだめ、さだめは死』

2005年02月17日 | 読書日記ーSF
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 伊藤典夫 浅倉久志訳(早川書房)


《あらすじ》

自然と本能のまえにとまどう異星生物のラ
イフサイクルを、斬新なスタイルで描き、
1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コ
ンピュータによって他人の肉体とつながれ
た女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をか
いま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得し
たサイバーパンクSFの先駆的作品「接続
された女」、ユカタン半島に不時着した飛
行機の乗客が体験した意外な事件を軸に、
男女の性の落差を鋭くえぐった問題作「男
たちの知らない女」など、つねにアメリカ
SF界の話題を独占し、注目をあつめつづ
けたティプトリーが、現代SFの頂点をき
わめた華麗なる傑作中短篇全12篇を結集!



《この一文》

” ただし、実はポールを愛してるのは、八千キロかなたのP・バークなんだ。P・バーク、地下牢につながれ、電極糊の臭いをぷんぷんさせた怪物。真実の愛に燃え、とろけ、とりつかれた女のカリカチュア。往復六万四千キロの大真空を渡り、見えない膜で麻痺させられた娘の肉体をつうじて、恋人に近づこうとする女。彼が彼女のものと信じこんだ体に、彼の腕がまわされるのを感じ、重い影とたたかい、それをかきわけて、恋人に身を捧げようとする女。美しい死んだ鼻孔をつうじて恋人を味わい、嗅ぎ、炎のさなかにも燃えない肉体で、彼の愛にこたえようとする女。
                  --「接続された女」より  ”



ティプトリーという人のことは全然知りませんでした。
が、とてつもない人物であったようです。
作品もそうですが、作者本人も凄まじい経歴の持ち主です。
いやー、すごい。
さて、この人の作品を初めて読んだ感想は、率直にいうと、「難しい!!」
こういうスタイルは経験がありません。
作品によって文体がころころ変わり、最初に収められている「すべての種類のイエス」などは、今誰がしゃべったり行動したりしているのかさっぱりわからない、という極度の混乱に陥り、途中で断念・・・。
初っ端から私の自尊心はいたく傷つけられてしまいました。
これほどまでに読めないなんて、ひさしぶりの屈辱です・・・。
私はまだまだ甘かった・・・!
そうしてハリボテの高い鼻をあっさり折られてしまった私は、気力をふりしぼって、一番面白そうだった「接続された女」を読むことにしました。
あふれる鮮烈なイメージと疾走感、まるで火花を散らすジェットコースター。
ショックでなかなか寝つけませんでした。(またか)
ティプトリー、はまりそうな予感がします。
なんとか「すべての種類のイエス」のような作品も克服したいです。
しかし、SFというのはどうしてこう面白いのでしょうか。

余談ですが、「接続された女」冒頭部分にこんなくだりがありました。

” 娘は人波にもまれながら、魂の憧れを眼玉に託し、背のびしてむこうをのぞく。大好き! おおおォ、大好き!(中略)・・・すてきィ!    ”

このノリ、ちょっとあれに似ています。
久しぶりに読みたくなってきました。
明日は「あれ」を取り上げることにします。