世界的に山火事が大規模化している。 国際機関の調査によると過去20年で焼失面積はほぼ倍増。
背景には温暖化の影響がある。 国内では山形県の山中で今月、4日間にわたり延焼が続いた。
日本は減少傾向にあるが、一部地域で今後リスクが増すと警鐘を鳴らす専門家もいる。
「山の中腹から煙が見える」。4日昼、山形県南陽市宮内
で通行人から119番が入った。消防や陸上自衛隊のヘリ
コプター、消防団などが消火活動にあたったが火は7日に
はほぼ鎮火されるまでに約140㌶を焼き、148世帯4
10人に避難指示が出た。 消火活動にあたった男性がや
けどをしたほか、山小屋や公衆トイレが焼けた。消防など
が出火原因を調べている。 同市は12日、火災は鎮火したと発表した。
同県では空気の乾燥や強風のため4~5月にかけて林野火災などが70件以上起きており、警報
が出ていた。 山火事は気温があがる春(3~5月)に起きやすく、引き続き警戒が必要だ。
林野庁によると国内の山火事の主な原因はたき火や野焼きなど、人の火の不始末が多い。 20
21年には栃木県足利市で167㌶を焼いた山火事が発生。 市は出火原因をタバコの火と推
定している。
世界的に山火事は大規模になっている。米国のシンクタンク
世界資源研究所(WRI)によると、22年までの3年間の平
均で東京都の面積の40倍近くにあたる年800万㌶前後の
森林が焼失。焼失面積は20年で2倍近くに拡大している。
WRIが背景にあると指摘するのは地球温暖化だ。気温上昇
により空気や地面が乾燥すると発火や延焼が起きやすくなる。
国連環境計画(UNEP)のリポートは大規模な山火事の発生
リスクが50年までに最大で30%上昇する可能性があると
している。
山火事は乾燥エリアで頻発する傾向にあるが、リスクが低いとされてきた湿潤な地域でも近年、
大規模な被害が起きた。 カナダでは23年春に湿潤なケベック州なども含め多数の山火事
が発生し、日本の国土面積のほぼ半分にあたる1800万㌶が焼けた。 政府は「気候変動
に伴い、通常発生しない場所でも火災が起き始めた」と危機感を強めている。
日本は湿潤な気候に加え、戦後植林した人工林の成長により山中に日陰が増え、地面や落ち葉
が乾燥しにくくなった。 結果、山火事の件数は減少している。 林野庁によると、17~
21年の国内の山火事の発生件数は平均約1300件で、90年代から6割程度減った。
温暖化で国内では降雨が増えるとされる。 森林総合研究所(茨城県つくば市)の“玉井研究ディ
レクター”は「全体として山火事が増えるとは考えにくい」とする。 ただ「温暖化で雪解
けが早まると地面が乾燥しやすくなる。 積雪地帯など一部地域では山火事のリスクが高ま
る可能性がある」と指摘する。 岩手県遠野市は今年3月からホームページで「昨年か今
年にかけて降雪量が少なく危険性が高まっている」として山火事への警戒を呼びかけた。
同県柴波町では例年であれば雪が山肌に残る2月初旬に1㌶近くを焼く火災が起きている。
岡山大学の“吉川名誉教授(森林生態学)”は「温暖化により豪雨や干ばつなど極端な気象現象が
起きやすくなる。 湿潤な日本でも高温や異常な乾燥など大規模火災が起きやすい気象条
件が一時的に重なる恐れはある」と話す。 その上で「日本では山火事の主な原因は失
火など人によるもの。 リスクが高まった時は特に山林での火の取り扱いへの注意を呼び
かけるなどの対策が必要だ」と強調している。
山に入ったら決められた場所以外での火の取り扱いはご法度です。 自然を楽しみましょう!
背景には温暖化の影響がある。 国内では山形県の山中で今月、4日間にわたり延焼が続いた。
日本は減少傾向にあるが、一部地域で今後リスクが増すと警鐘を鳴らす専門家もいる。
「山の中腹から煙が見える」。4日昼、山形県南陽市宮内
で通行人から119番が入った。消防や陸上自衛隊のヘリ
コプター、消防団などが消火活動にあたったが火は7日に
はほぼ鎮火されるまでに約140㌶を焼き、148世帯4
10人に避難指示が出た。 消火活動にあたった男性がや
けどをしたほか、山小屋や公衆トイレが焼けた。消防など
が出火原因を調べている。 同市は12日、火災は鎮火したと発表した。
同県では空気の乾燥や強風のため4~5月にかけて林野火災などが70件以上起きており、警報
が出ていた。 山火事は気温があがる春(3~5月)に起きやすく、引き続き警戒が必要だ。
林野庁によると国内の山火事の主な原因はたき火や野焼きなど、人の火の不始末が多い。 20
21年には栃木県足利市で167㌶を焼いた山火事が発生。 市は出火原因をタバコの火と推
定している。
世界的に山火事は大規模になっている。米国のシンクタンク
世界資源研究所(WRI)によると、22年までの3年間の平
均で東京都の面積の40倍近くにあたる年800万㌶前後の
森林が焼失。焼失面積は20年で2倍近くに拡大している。
WRIが背景にあると指摘するのは地球温暖化だ。気温上昇
により空気や地面が乾燥すると発火や延焼が起きやすくなる。
国連環境計画(UNEP)のリポートは大規模な山火事の発生
リスクが50年までに最大で30%上昇する可能性があると
している。
山火事は乾燥エリアで頻発する傾向にあるが、リスクが低いとされてきた湿潤な地域でも近年、
大規模な被害が起きた。 カナダでは23年春に湿潤なケベック州なども含め多数の山火事
が発生し、日本の国土面積のほぼ半分にあたる1800万㌶が焼けた。 政府は「気候変動
に伴い、通常発生しない場所でも火災が起き始めた」と危機感を強めている。
日本は湿潤な気候に加え、戦後植林した人工林の成長により山中に日陰が増え、地面や落ち葉
が乾燥しにくくなった。 結果、山火事の件数は減少している。 林野庁によると、17~
21年の国内の山火事の発生件数は平均約1300件で、90年代から6割程度減った。
温暖化で国内では降雨が増えるとされる。 森林総合研究所(茨城県つくば市)の“玉井研究ディ
レクター”は「全体として山火事が増えるとは考えにくい」とする。 ただ「温暖化で雪解
けが早まると地面が乾燥しやすくなる。 積雪地帯など一部地域では山火事のリスクが高ま
る可能性がある」と指摘する。 岩手県遠野市は今年3月からホームページで「昨年か今
年にかけて降雪量が少なく危険性が高まっている」として山火事への警戒を呼びかけた。
同県柴波町では例年であれば雪が山肌に残る2月初旬に1㌶近くを焼く火災が起きている。
岡山大学の“吉川名誉教授(森林生態学)”は「温暖化により豪雨や干ばつなど極端な気象現象が
起きやすくなる。 湿潤な日本でも高温や異常な乾燥など大規模火災が起きやすい気象条
件が一時的に重なる恐れはある」と話す。 その上で「日本では山火事の主な原因は失
火など人によるもの。 リスクが高まった時は特に山林での火の取り扱いへの注意を呼び
かけるなどの対策が必要だ」と強調している。
山に入ったら決められた場所以外での火の取り扱いはご法度です。 自然を楽しみましょう!