農業じゆう人

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「つもり」

2022年09月28日 12時31分33秒 | 言葉
  歌舞伎などの芝居で背景の山や川、橋などを描いた大道具を「書き割り」と呼ぶそうです。
  貧乏暮らしで家財道具を売り払った男が、近所の画家に豪華な家具などを描いてもらい
   家の壁に貼る。 武道の腕があるように見せるため、ついでにヤリも描いてもらう。
  これ古典落語の「だくだく」という噺です。
  ある日、この部屋に泥棒が忍び込む。 タンスの引き出しに手をかけたのだが、絵であ
   るから開かない。 住人は物があるつもりで暮らしているのか‥。 それなら、こち
   らも盗んだつもりになろうじゃないか。 大金庫を見つけて大金をせしめたつもり。
   それを風呂敷に包んだつもり。 滑稽な独り芝居を演じる身ぶりが、実に楽しい。

  でも、こちらの茶番は罪深い。 親ロシア派が支配するウクライナの東部、南部の州で
   ロシアへの編入の賛否を問う住民投票が実施される。 ロシア軍の統制下で行われる
   投票の結果に、どれほどの真実が含まれているのだろうか。 圧倒的民意を手に入れ
   た「つもり」になるのだろうか。 フランスの大統領は「パロディー」とこき下ろす。

  落語では、住人が書き割りのヤリを手に取って、退治したつもりになる。 泥棒は「血
   がだくだくと出たつもり」と応じる。 演目の由来です。 ロシアはウクライナの反
   転攻勢を受け、30万人規模の予備役を動員するという。 和平への期待は遠のき、
   さらなる流血を招く事態が懸念される。 出口がまったく見えない現代の不条理劇だ。

  そこまで徹底してやるのは何なんだろうか。 この大統領の声明によって今まで以上に
   戦争反対を唱えたり、国外へ脱出したりする国民が増えているという。 国民や周辺
   国のためにも「勝ったつもり」にして互いに握手をしたらどうでしょうか。