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夏が昔より厚く感じるわけは?

2022年09月16日 12時41分31秒 | 雑学
  天気予報でよく聞く「平年」という言葉。 暑い日が続くなか「平年並みの気温」といわれるとホッとする。
  だが、油断は禁物。 実は、平年値は昨年5月から「底上げ」されていることをご存知でしたか。

  平年値とは何か。 その作成に携わる気象庁観測整備計画課の統計技術管理官、"村井さん"は「過去30
   年間の観測値を平均したもの」と説明する。 全国約160地点での地上気象観測、約900地点での
   アメダスによる観測などをもとに算出する。 その時々の気象(気温、降水量、日照時間など)や天候
   (冷夏、暖冬、小雨など)を評価する基準として利用される。
  梅雨入りや梅雨明けの時期、各地の桜の開花日、台風の発生・接近・上陸数などにも平年値がある。 気
   象庁や気象予報会社などは、こうした平年値をもとに日々の天気を予報している。
     
  平年値は定期的に変わる。 気象庁は西暦年の一の位が1の年から続く30年間の平均値を平年値とし、
   10年ごとに更新するやり方を採用。 2021年の5月19日から使用している平年値は、1991
   ∼2020年の観測データをもとに算出された値です。 
  では平年並みの気温とは平年値から前後何度くらいまでを指すのか。 村井さんによると、平年並みの範
   囲を決めるには、まず、それぞれの年ごとに平年との差を求め、差が近いものから順番に並べてみる。 
   30年の値のうち11番目から20番目の範囲を「平年並み」とし、それよりも低ければ「低い」、高
   ければ「高い」と定める。 つまり「平年との差がどの程度なら平年並みと一律には言えない」(村井氏)

  現平年値の特徴は「平均気温の上昇」だ。 年平均気温を前の平年値(1981~2010年)と比べると、全国
   的に0.1~0.5度程度高くなっている(気象台の移転があった岡山を除く)。 北日本と西日本では0.3度、東日
   本で0.4度それぞれ高くなっている。
  暑い日も増えている。 最高気温が30度以上の真夏日は、東日本から沖縄・奄美の多くの地点で年間3
   日以上増加。 同35度以上の猛暑日が年間4日以上増える地点もある。
  日本の平均気温は1980年代の後半から急速に上昇している。 「温暖化ガスの増加に伴う地球温暖化
   による長期的な傾向と、数十年周期の自然変動の影響があると考えられる(村井さん)。 都市の気温が
   周囲よりも高くなるヒートアイランド現象も影響している。 平年値の上昇はこうした温暖化を映して
   いる。 気温の平年値が上がるとどうなるのか。 例えば、7月1日の東京の最高気温は現平年値では
   28度だが、前平年値では27度と1度低い。 このため、以前ならば「平年より高い」と報じられる
   気温が「平年並み」と表現される可能性が出てくることになる。

  過去のデータを使ってシミュレーションしてみよう。 2021年7月の東日本の平均気温は現平年値比
   で0.6度高く、「平年並み」だった。 ところが前平年値を当てはめてみると1.1度高くなり、 「平年
   よりも高い」ことになる。 前平年値は、比較的気温が低かった1980年代前半のデータを含む平均
   値。 「『結構、暑かったのに、これで平年並みなの?』と感じてもおかしくはない」。 データマー
   ケティング会社、True Dataの流通気象コンサルタントで気象予報士の"常盤さん"は話す。
  気温の平年値が変わったことで、普段注意すべき点はあるのか? 常盤さんは「平年を絶対視しないこと」
   と話している。 平年と比べてどうかというのも大事だが、あまり惑わされないことも必要。 「気温
   でいえば、実際の数値や体がどう感じたのかも重要だ」‥と。
  村井さんは「平年値の上昇に伴い、仮に気温で『平年より高い』が減り、『平年並み』『平年より低い』
   が増えたとしても、涼しくなったわけではない。 勘違いしないこと」と注意を促す。

  現平年値では、気温上昇に加え、降水量が増えたことにも注意が必要だという。 降水量は約3%増え、
   夏の西日本や秋冬の太平洋側の多くの地点で降水量が10%程度増えた。 近年、大きな被害を出して
   いるのが短時間の集中豪雨。 警戒が欠かせない。
  電力不足が叫ばれるこの夏。 電気量も上がる。 しかし気温が平年並みと聞いて、エアコンを我慢する
   といった行動に出るのは危険だ。 「今の平年は昔の平年とは違う」と肝に銘じましょう。