昔から「老化は足からくる」とよく言います。 でも、近年はオーラルフレイルと呼ばれる口周りの機能の
衰えが老化の引き金になる人も多いと聞きました。 口の健康をできるだけ維持し、衰えないようにする
にはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか‥ちょっとだけ調べてみました。
オーラルフレイルは、加齢に伴って心身が衰えた虚弱状態(フレイル)の一種だといわれている。
食べたり会話をしたりするための口腔機能の軽微な衰えのことを指すそうだ。 この言葉が知られるよう
になったのは、東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市の高齢者約2000人を対象に2012年
から実施した大規模調査がきっかけだったそうです。
■老化・虚弱の入り口に
調査でオーラルフレイルと判定された高齢者は、その4年後に全身のフレイルになるリスクが2.4倍、
要介護リスクが2.4倍、総死亡リスクが2.2倍それぞれ上昇していた。 オーラルフレイルが全身の
衰えや寝たきりにつながるケースが多いことが分かった。 調査を手がけた“飯島 東大高齢社会総合研究
機構長”は「オーラルフレイルはケガや病気とは違って生活に直接支障が出るわけではなく、やり過ごし
てしまいがちなため状態が悪化してしまう」という。
オーラルフレイルのセルフチェック表には「硬いものが食べに
くくなった」「お茶や汁物でむせることがある」「口の渇きが
気になる」‥‥などが並んでいる。(左表下方) 例えば「むせ
る」のは飲み込む機能の衰えと関係があるが、多少むせても収
まってしまえば、何もなかったように食事が続けられる。また
スルメやたくあんのような硬い食べ物を苦手と感じるようにな
っても、柔らかいもの中心の食生活が送れる。
■負のスパイラルに注意
実際には、柔らかいものばかり食べていると、かむ筋肉を使わ
なくなって機能が低下するという「負のスパイラル」を招く。
また口腔機能が弱まると、食事量が減ったりして栄養摂取が少
なくなり、虚弱が進むという悪循環もある。オーラルフレイル
が進行すると、咀嚼や嚥下、唾液分泌、発声といった機能がさ
らに低下して「口腔機能低下症」という病気として扱われるこ
とになる。 2018年から歯科医院で検査や治療ができる保険診療の対象になった。
歯科医で実施する検査項目は7つ。 「口腔衛生状態」「口腔乾燥」「舌の力」「かむ力」「唇や舌の
運動力」「咀嚼能力」「嚥下」の各項目で専用の機械や質問用紙で評価し、7項目中3つ以上該当す
ると口腔機能低下症と判定するそうです。
例えば「唇や舌の運動力」の検査では唇周りの筋肉を使う「パ」、舌の前方を使う「タ」、舌の後方を
使う「カ」の音を、それぞれ5~10秒間に何回連続して発声できるかを測定。 1秒あたり6回以
上発声できるのが「合格」の目安だそうです。 ただ、口腔機能低下症の検査器具を備えるなど十分
な体制をとっている歯科医院はまだ一部に限られている。 検査や治療を受けたい場合は、日本老年
歯科医学会のホームページに認定医や専門医のリストが掲載されているので、参考になる。
■状態を知り回復訓練も
スマホアプリを自己チェックや訓練に使うのも有効だそうだ。 サンスターのアプリ「毎日パタカラ」で
は「パ」「タ」「カ」を連続発声する機能を測定できるほか、これらの発声を繰り返して口や舌の筋肉
を鍛えるメニューが用意されている。
オーラルフレイルは歯周病など歯のトラブルから始まることも多い。 そこで飯島機構長が勧めるのは
口の健康状態を定期的にチェックするためにかかり付けの歯科医を活用することだ。 「歯痛など自
覚症状がなくても、半年に1回は定期メンテナンスのつもりで通ってほしい」という。
東京医科歯科大学などは歯ごたえのある食事を食べながらオーラルフレイルについて学んでもらう「カ
ムカム健康プログラム」を自治体と連携して実施している。 こうしたイベントをチェックして参加
するのもオーラルフレイルに向き合うきっかけになる。
日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会、日本老年歯科医学会の3学会は共同で、オーラル
フレイルの判定基準などを年内にも改定する準備を進めているという。 「国民目線で判定法をより
分かりやすいものにしてオーラルフレイルへの取り組みを一段と広げる」のが狙いだそうだ。
私にとっても、これは他人事ではない。 歯科医の先生に確認してみようとつくづく思いました。
衰えが老化の引き金になる人も多いと聞きました。 口の健康をできるだけ維持し、衰えないようにする
にはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか‥ちょっとだけ調べてみました。
オーラルフレイルは、加齢に伴って心身が衰えた虚弱状態(フレイル)の一種だといわれている。
食べたり会話をしたりするための口腔機能の軽微な衰えのことを指すそうだ。 この言葉が知られるよう
になったのは、東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市の高齢者約2000人を対象に2012年
から実施した大規模調査がきっかけだったそうです。
■老化・虚弱の入り口に
調査でオーラルフレイルと判定された高齢者は、その4年後に全身のフレイルになるリスクが2.4倍、
要介護リスクが2.4倍、総死亡リスクが2.2倍それぞれ上昇していた。 オーラルフレイルが全身の
衰えや寝たきりにつながるケースが多いことが分かった。 調査を手がけた“飯島 東大高齢社会総合研究
機構長”は「オーラルフレイルはケガや病気とは違って生活に直接支障が出るわけではなく、やり過ごし
てしまいがちなため状態が悪化してしまう」という。
オーラルフレイルのセルフチェック表には「硬いものが食べに
くくなった」「お茶や汁物でむせることがある」「口の渇きが
気になる」‥‥などが並んでいる。(左表下方) 例えば「むせ
る」のは飲み込む機能の衰えと関係があるが、多少むせても収
まってしまえば、何もなかったように食事が続けられる。また
スルメやたくあんのような硬い食べ物を苦手と感じるようにな
っても、柔らかいもの中心の食生活が送れる。
■負のスパイラルに注意
実際には、柔らかいものばかり食べていると、かむ筋肉を使わ
なくなって機能が低下するという「負のスパイラル」を招く。
また口腔機能が弱まると、食事量が減ったりして栄養摂取が少
なくなり、虚弱が進むという悪循環もある。オーラルフレイル
が進行すると、咀嚼や嚥下、唾液分泌、発声といった機能がさ
らに低下して「口腔機能低下症」という病気として扱われるこ
とになる。 2018年から歯科医院で検査や治療ができる保険診療の対象になった。
歯科医で実施する検査項目は7つ。 「口腔衛生状態」「口腔乾燥」「舌の力」「かむ力」「唇や舌の
運動力」「咀嚼能力」「嚥下」の各項目で専用の機械や質問用紙で評価し、7項目中3つ以上該当す
ると口腔機能低下症と判定するそうです。
例えば「唇や舌の運動力」の検査では唇周りの筋肉を使う「パ」、舌の前方を使う「タ」、舌の後方を
使う「カ」の音を、それぞれ5~10秒間に何回連続して発声できるかを測定。 1秒あたり6回以
上発声できるのが「合格」の目安だそうです。 ただ、口腔機能低下症の検査器具を備えるなど十分
な体制をとっている歯科医院はまだ一部に限られている。 検査や治療を受けたい場合は、日本老年
歯科医学会のホームページに認定医や専門医のリストが掲載されているので、参考になる。
■状態を知り回復訓練も
スマホアプリを自己チェックや訓練に使うのも有効だそうだ。 サンスターのアプリ「毎日パタカラ」で
は「パ」「タ」「カ」を連続発声する機能を測定できるほか、これらの発声を繰り返して口や舌の筋肉
を鍛えるメニューが用意されている。
オーラルフレイルは歯周病など歯のトラブルから始まることも多い。 そこで飯島機構長が勧めるのは
口の健康状態を定期的にチェックするためにかかり付けの歯科医を活用することだ。 「歯痛など自
覚症状がなくても、半年に1回は定期メンテナンスのつもりで通ってほしい」という。
東京医科歯科大学などは歯ごたえのある食事を食べながらオーラルフレイルについて学んでもらう「カ
ムカム健康プログラム」を自治体と連携して実施している。 こうしたイベントをチェックして参加
するのもオーラルフレイルに向き合うきっかけになる。
日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会、日本老年歯科医学会の3学会は共同で、オーラル
フレイルの判定基準などを年内にも改定する準備を進めているという。 「国民目線で判定法をより
分かりやすいものにしてオーラルフレイルへの取り組みを一段と広げる」のが狙いだそうだ。
私にとっても、これは他人事ではない。 歯科医の先生に確認してみようとつくづく思いました。