国内各地の水族館で入場料の値上げが相次いでいる。 新型コロナウイルス下で入場者数が減るなか、
ロシアのウクライナ侵攻の影響による物価高などが追い打ちをかけている。 水温維持などに必要
な光熱費やエサ代などが高騰し、経営環境を圧迫。 苦境を打開しようと、運営の舞台裏を紹介す
る月額制のインターネット動画配信などに活路を見いだす動きも出てきているという。
「経営は過去にないほど厳しい局面だ」。全国から観光客
が集まる沖縄美ら海水族館(左写真 沖縄県本部町)の担当者は
話している。10月から大人1人の通常料金を2180円
へと300円引き上げる。2002年の開館以来、増税以
外の理由で値上げに踏み切るのは初めてとなる。
新型コロナの感染拡大で21年度は約120日間の休館を
余儀なくされた。
コロナ前の19年度に300万人超だった入館者は、21年度は5分の1の約60万人に激減。
入館料収入が減る一方で、館内の空調の管理に必要な電気代や燃料価格の上昇、サバやオキアミ
といったエサ代の不漁による高騰が重くのしかかっているそうだ。
22年2月時点の試算では23~27年度は施設全体の管理・運営費が平均で約59億円となり、
22年度に比べて年13億円ほど増える見込みだそうだ。 やむなく入場料の値上げに踏み切っ
たが、担当者は「沖縄の海の素晴らしさを末永く伝えるために理解してほしい」と話している。
水族館を取り巻く環境は厳しいそうだ。 21年度エネルギー白書によると、22年3月の日本の
電気代は19年1月との比較で1割上昇した。 水温調整などに必要なエネルギーの価格は、ロ
シアによるウクライナ侵攻などに伴いさらに上昇している。
日本動物園水族館協会(東京・台東)に加盟する水族館は約50館の入場者数はコロナ前だった19年
度の計約3084万人から、20年度は約1386万人と半分以下に落ち込み、経営は逼迫して
いるという。 鳥羽水族館(三重県鳥羽市)も6月から大人1人の入館料を2800円へと300円
引き上げた。 ここは国内で唯一ジュゴンを飼育。 快適に過ごせるよう水温を一定に保つ必要
があり、こまめな水温維持や空調管理が欠かせない。 22年度の燃料代などは19年と比べて
約4割増が見込まれ、担当者は「経費削減にも限界がある」と頭を悩ませる。 値上げの背景に
は運営上の問題もある。 同協会によると、加盟水族館のうち民間による運営は24館と半数近
くを占める。 赤字でも公的補助をあてにしづらい事情がある。
増え続ける経費をなんとか捻出しようと、新たに収益源の確保に動く水族館もあるそうだ。
伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市)が力を入れるのが動画配信です。 20年以降、飼育中の生き
物の様子を映した動画をユーチューブに週2~3回投稿。 チャンネル登録者数は6万人を超え、
広告収入をエサ代などに充てている。 動画には月額590円の有料会員制度もあるそうです。
飼育の裏側を紹介する動画を見たり、スタッフとチャットでやりとりができたりし、これまでに
約700人が登録しているという。
名古屋港水族館(名古屋市)はクラウドファンディングを20~22年に2度実施し、計2400万
円を集めた。 20年からは生き物のオリジナルグッズと引き換えにした寄付の仕組みも作り
エサ代に回しているという。
水族館の運営に詳しい帝京科学大学の“原沢 非常勤講師”は「値上げだけでは客足は遠のく。 寄付
などを募るのは有効な手段だ」と指摘。 「支援の輪を広げるためには、水族館側は娯楽面だけ
でなく、研究や水産資源の持続可能性を守る行動を促す場としての社会的役割を積極的に果たし
ていく必要がある」と話しています。
日本は海に囲まれた国なので、水族館が果たす役割は大きいと持っています。 従って維持管理
についてはできるだけ協力したいと思っています。
ロシアのウクライナ侵攻の影響による物価高などが追い打ちをかけている。 水温維持などに必要
な光熱費やエサ代などが高騰し、経営環境を圧迫。 苦境を打開しようと、運営の舞台裏を紹介す
る月額制のインターネット動画配信などに活路を見いだす動きも出てきているという。
「経営は過去にないほど厳しい局面だ」。全国から観光客
が集まる沖縄美ら海水族館(左写真 沖縄県本部町)の担当者は
話している。10月から大人1人の通常料金を2180円
へと300円引き上げる。2002年の開館以来、増税以
外の理由で値上げに踏み切るのは初めてとなる。
新型コロナの感染拡大で21年度は約120日間の休館を
余儀なくされた。
コロナ前の19年度に300万人超だった入館者は、21年度は5分の1の約60万人に激減。
入館料収入が減る一方で、館内の空調の管理に必要な電気代や燃料価格の上昇、サバやオキアミ
といったエサ代の不漁による高騰が重くのしかかっているそうだ。
22年2月時点の試算では23~27年度は施設全体の管理・運営費が平均で約59億円となり、
22年度に比べて年13億円ほど増える見込みだそうだ。 やむなく入場料の値上げに踏み切っ
たが、担当者は「沖縄の海の素晴らしさを末永く伝えるために理解してほしい」と話している。
水族館を取り巻く環境は厳しいそうだ。 21年度エネルギー白書によると、22年3月の日本の
電気代は19年1月との比較で1割上昇した。 水温調整などに必要なエネルギーの価格は、ロ
シアによるウクライナ侵攻などに伴いさらに上昇している。
日本動物園水族館協会(東京・台東)に加盟する水族館は約50館の入場者数はコロナ前だった19年
度の計約3084万人から、20年度は約1386万人と半分以下に落ち込み、経営は逼迫して
いるという。 鳥羽水族館(三重県鳥羽市)も6月から大人1人の入館料を2800円へと300円
引き上げた。 ここは国内で唯一ジュゴンを飼育。 快適に過ごせるよう水温を一定に保つ必要
があり、こまめな水温維持や空調管理が欠かせない。 22年度の燃料代などは19年と比べて
約4割増が見込まれ、担当者は「経費削減にも限界がある」と頭を悩ませる。 値上げの背景に
は運営上の問題もある。 同協会によると、加盟水族館のうち民間による運営は24館と半数近
くを占める。 赤字でも公的補助をあてにしづらい事情がある。
増え続ける経費をなんとか捻出しようと、新たに収益源の確保に動く水族館もあるそうだ。
伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市)が力を入れるのが動画配信です。 20年以降、飼育中の生き
物の様子を映した動画をユーチューブに週2~3回投稿。 チャンネル登録者数は6万人を超え、
広告収入をエサ代などに充てている。 動画には月額590円の有料会員制度もあるそうです。
飼育の裏側を紹介する動画を見たり、スタッフとチャットでやりとりができたりし、これまでに
約700人が登録しているという。
名古屋港水族館(名古屋市)はクラウドファンディングを20~22年に2度実施し、計2400万
円を集めた。 20年からは生き物のオリジナルグッズと引き換えにした寄付の仕組みも作り
エサ代に回しているという。
水族館の運営に詳しい帝京科学大学の“原沢 非常勤講師”は「値上げだけでは客足は遠のく。 寄付
などを募るのは有効な手段だ」と指摘。 「支援の輪を広げるためには、水族館側は娯楽面だけ
でなく、研究や水産資源の持続可能性を守る行動を促す場としての社会的役割を積極的に果たし
ていく必要がある」と話しています。
日本は海に囲まれた国なので、水族館が果たす役割は大きいと持っています。 従って維持管理
についてはできるだけ協力したいと思っています。