農業じゆう人

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旅人とのふれあい

2022年06月05日 12時45分13秒 | 世間
  旅先で困ったとき、ちょっとした心遣いを受けた経験は、いつまでも記憶に残るものです。
  330年ほど前、江戸から北へ向かった松尾芭蕉も、思い出を「奥の細道」に記している。
  今の暦でいうと5月半ばに出発した俳聖らが、現在の栃木県あたりへたどりついたころ
   のこと‥。 知人を訪ねようと野原を進むが、日が落ち農家に泊めてもらう。 明けて
   さらに行くと、草を刈る男が「初めての人は迷います。 この馬を貸しますので、止ま
   ったところで戻してください」と言ってくれた。 やがて、人里に至り、謝礼の金を鞍
   (くら)に結び、馬を返した‥‥。 人馬の親切が名文に刻まれ、後世に受け継がれた。

  旅人らとのこんなふれあいが、またあちこちで生まれればいいな~と思う。 米中など
   98の国と地域からの観光客の受け入れが、約2年ぶりに再開することになった。
   段階的に緩和し、当面は団体旅行に限るという。 数年前のように、名所旧跡に外国
   人の姿が増え、地域経済が勢いづくことを期待したい。 今は超円安でもあるので訪
   れる外国人観光客にとっては大きなメリット。 大いに追い風になるだろう。
  日本を存分に知ってもらって帰ってもらえたら、とにかく分断が叫ばれている世界のあ
   りように少しは変化が兆すかもしれない。 そうなってくれればなお結構だ。
   芭蕉は日光で「あらたふと(なんと尊い)」と感嘆で始まる一句を詠んだ。
   「ビューティフル」や「佷美(とても美しい)」といった声がコロナ下で沈みがちだ
   った街の人に活力を取り戻してくれる日も近いのでは‥‥と思いますが、そうなるた
   めには、政府のもう少しきめ細やかな工夫があってもいいのではないかと思われます。