普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

新「前川レポート」と少子高齢化問題

2008-07-03 11:58:34 | 少子高齢化

[前川レポート]
  経済財政諮問会議の専門調査会が策定を進めてきた「21世紀版『前川リポート』(*注1)」の全容が明らかになった。これについては各紙の読み取りかたもまちまちだが、その中でもやや詳しく報道している読売新聞
毎日新聞の報道を纏めてみた。
・年率2%の成長を維持するために女性や高齢者などを積極的に活用
 少子高齢化問題を放置すれば、今後10年間で労働力人口が約400万人減少し、経済成長率は1%程度まで低下すると指摘
 1・3前後で低迷している合計特殊出生率(*注2)を、10年間で1・8程度まで引き上げる数値目標も盛り込んだ。
・日本経済の若返りに向けて、年金など社会保障給付を見直すことで若者の負担を軽減し、将来に希望を持てる社会を実現
 若者の意見を政策に反映させるため、「政府の審議会に若者代表を加える「世代別代表制」のような仕組みの導入

・10年後に目指すべき日本の姿(上記の分を除く)
 非正規雇用と正規雇用の格差の是正
 人材が業種・分野・国境を越えて動ける内外無差別の市場ルール確立
 革新的な企業が、欧米並みの企業開業率(現在約4%)に引き上げ
 道州制の導入などにより、地域が広域的な単位で自立
 環境問題など、世界共通の課題に対して先導的に取り組む
 
 専門調査会は、福田康夫首相が北海道洞爺湖サミットで日本の今後のあるべき姿として国際社会に発信するメッセージに、同リポートを生かしてもらう考えだ。

[私の意見]
実現困難な提案
・内容は経済財政諮問会議の守備範囲をはるかに超えたものだが、これについては報道によれば大田弘子経済財政担当相の判断で敢えて入れたのだそうだ。
 然し提案された個々の問題の一つ一つの解決が難しい上に、今の政治情勢、縦割りの行政の各省とそれにくっついた族議員の政治体制では、大風呂敷を拡げ過ぎたこの報告の通り進む可能性は非常に少ないような気がする。
 それと元祖の「前川レボート」は注記にもあるように、中曽根さんの強いリーダーシップがあってこそ活きてきたのだ。
 もし福田さんが専門調査会の要望のように、北海道洞爺湖サミットで新構想を打ち上げても、前日の消費税引上げ構想は外国特派員向けに言ったのだ、と言うような発言をすれば、新前川レポートの存在価値は一遍で消えて、専門調査会の折角の大構想はごみ箱に直行することにも成りかねない。

 然し、提案の中の、積極的に女性や高齢者の活用、1・3前後で低迷している出生率を、10年間で1・8程度まで引き上げる数値目標の設定は注目に値するものだ。

高齢者の活用
 高齢者の活用も経済の活性化以上に、高齢者からの所得税の収入増、年金収入を考慮した低賃金による企業のコスト減、生き甲斐をもった高齢者の健康増進→医療費削減など大きな効果が期待出来る。
 私の様な年寄りは、身の回りに現役中に酷使され、健康管理など無視された中で、飲み過ぎや喫煙で、満期後早死にした人達を多く見てきた。
 高齢者の活用など、現在のように成果主義でこき使い、満期までに従業員の体力、気力まで使いつくして、社会に放り出すやり方ではことは出来なくなる。
 もし高齢者活用の必要性が、社会全体で認識されれば、企業も成果主義と従業員の健康管理のバランスに気を配らなければならなくなる。
 考えてみればこんなことは「新前川レポート」の有無に関わらず、企業としても当然にやらねばならぬことなのだが。

少子化問題
 今日の読売ではレポート全体として数値目標が設定されていないと批判記事が出ていたが、少子高齢化問題については珍しく?このまま放置すれば、今後10年間で労働力人口が約400万人減少すると指摘し、1・3前後で低迷している出生率を10年間で1・8程度まで引き上げる数値目標が出ている。
 このままではここ10年で出生率が1.0%近くになるそうだが、それを放っている日本政府は何を考えているのだろう。
 少子化問題も、経済問題だけでなく、年金問題、子供社会の喪失→社会訓練の出来ない無い子供の起こす諸問題、労働力不足を補うために中川秀直さんグループが出した10万人の外国人労働者の導入に伴う日本社会の混乱など、多くの深刻な問題を含んでいる。
 多くの人員を抱える企業での専用または共同の保育所、石原都知事が言った各駅ごとの保育所設置などは企業や都府県の全体予算の割合からすれば僅かなコスト負担で出来るし、育児休暇の人員補充の問題もぎりぎりの人員で仕事をする経営のマイナス面(*注3)から考えても検討に値するものだ。
 然しこれはまた言うのはやすく、行うのは難しい問題だ。
 何故なら専業主婦かキャリヤーで生きるか、またその両立、育児より自分の生活優先の若い人達が増えていることなど、出生率増加には当面の関係者の若い人達の基本的の個人の価値観のあり方について誰もどうすることが出来ないからだ。(*注4)

 然しこのような色々の問題を含み、実現困難な問題も多いが、専門調査会の提案は殆どが正論ばかりだ。
 政府、与野党ともこれにまともに取り組んで欲しいし、マスコミも応援して、そのいくらかでも実現させて貰いたいものだ。

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*注1:前川リポート
 1986年、日米摩擦を緩和するため、日本の対米黒字を減らす狙いで中曽根康弘首相の私的諮問機関「国際協調のための経済構造調整研究会」(座長、前川春雄・元日銀総裁)がまとめた報告書。市場開放と内需主導型への転換が柱で、経済政策運営の基本方針となった。
*注2
合計特殊出生率
 1人の女性が一生に産む子供の人数に近い推計値 
*注3:ぎりぎりの人員で仕事をする経営のマイナス面
・今までの日本企業を支えてきた、自主管理活動、改善運動などが出来なくなる。
・病欠、不時の情勢の変化などの人員不足を現有の人達で補うために、深残業の増加→残った人達の病気や心的な症状の発生→企業の評価の低下
・技術やノウハウの伝承等の教育の時間がない。
などなどの多くの問題がある。
*注4
少子化の個人の価値観の問題
 下記の資料参照のこと
 ・少子化と個人の責任 
 ・少子高齢化と年金
 ・医療問題
  末期医療制度  
 ・カテゴリー → 少子高齢化


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