[あの国谷裕子さんも首を捻る農家への戸別所得保障制度]
昨夜のNHKのクローズアップ現代では「農業は再生できるか?~検証・戸別所得補償~」のタイトルで農林水産大臣の赤松さんとキャスターの国谷裕子さんの対談がありました。
NHKの番組案内によると、新政権が打ち出した農家に対する戸別所得補償。農家の経営が安定するという評価の一方生産性向上など農業の効率化につながらないという懸念もある。制度の課題を検証する。という目的です。
赤松さんの説明によると農家の生産コストの内容を大きく分けて、必要経費と労働費に分けられるが、生産コストと販売価格の差を、労働費に関する部分だけ取り上げて保障するとシステムになっているそうです。
だから農家の収入の安定化は勿論、頑張って働けば働くほど収入が増えるから生産性向上にも繋がると言うのです。
それに対してNHKは農家の大部分を占める兼業農家で今まで大規模農業に取り組む人達に貸していた農地を取り戻す動きが始まり、大規模農業志向の人達を困らせていること。 (これに対して赤松さんはノーコメント)
同じように戸別所得補償を実施しているフランスでは、すでに農地の大規模化が進んでいること、しかも大規模化を推進するために、政府は農地の強制借り上げ制度を実施していることを紹介していました。 (これに対しても赤松さんはノーコメント。民主党の公約から考えられる国民に優しい(言葉を変えれば甘やかし)の態度からこのようなことはほぼ絶対にできないでしょう。)
国谷さんはこの他、所得保障対象農家は減反政策に賛成している農家に限ること、米以外の農産物を生産する農家はどうするかなど質問して居ましたが、鋭い頭の持ち主の彼女も赤松さんの(特に農家の生産性向上に関する)説明に納得しているようには見えませんでした。 (前にこの問題を取り上げた私も赤松さんが何を言っているか良く判りませんでした。)
この番組を見た限り、兼業農家や高齢化した農家の中には、折角の戸別所得保障制度を利用して、農地を手放さず、または取り返して、年に一度しか使わない高価な農業機械を使って、稲作だけをし、残りの半年は貴重な生産資材である田んぼを遊ばせる農家が増えることは眼に見えているようです。
つまりこの制度の基本的な考えの中から、生産コストの内訳の必要経費と労働費の内、製造業に携わった人なら直ぐに考えつく必要経費の合理化の考え方が欠如しているのです。
その制度の基本的な問題は農村の振興よりも、 (私の勘繰りですが )農村票獲得のためのばら蒔きと言う目的の方が大きかったことにあるのが、国谷さんも首を捻る様な制度になったと思うのですが。
参照:農業の衰退を招く農家戸別補償制度
[民主党の公約も事業仕分けしては?]
いよいよ話題の行政刷新会議による事業仕分けが始まりました。
これに関して読売新聞はその社説の行政刷新会議 事業仕分けでどう無駄を削る
で概略次のように解説と批評をしています。
「税金の無駄遣いの根絶」を目指す鳩山内閣の目玉組織が、ようやく始動した。
政府の行政刷新会議が初会合を開き、当面、95兆円超にも上った来年度予算の概算要求の削り込みに取り組む方針を確認した。国会議員らによる3作業グループが200以上の事業を精査し、年末の予算編成に反映させる。
民主党は、子ども手当、高速道路無料化などの新規政策に必要な財源の主要部分を、従来の予算の組み替えで捻出するとしている。この作業の中核を担うのが行政刷新会議である。
事業仕分けは既に、一部の自治体で実施され、一定の成果を上げている。だが、短期間の作業日程の中、はるかに複雑な政府予算にどこまで通用するか。
政府は、行政刷新会議が取り組む課題の工程表を早期に作成し、改革の全体像を示すべきだ。
そして報道によると「見直し基準」は、
〈1〉公益性が乏しいなど、事業目的が妥当でない
〈2〉目標達成の見込みがないなど、手段が有効ではない
〈3〉他に低コストの手段があり、効率が悪い
〈4〉直ちに実行すべき緊要性がない
て4条件のいずれかに該当する事業は、廃止を含めて再検討するとしている。
いるそうです。
この基準に照らしてみると農家への戸別所得保障制度は〈1〉、〈2〉、〈3〉に就いては該当しているかまたはその疑いがあるし、 (適切な政策ならともかく)このようなあやふやな政策を実行するには次期参院選の票集め以外〈4〉に示した緊急性もないと思うのですが。
読売は民主党は、子ども手当、高速道路無料化などの新規政策に必要な財源の主要部分を、従来の予算の組み替えで捻出するとしている。と説明していますが、私は党の新規政策についても事業仕分けするべきだと思います。
特に世論調査で17%の支持しか受けていない、そして温室高価ガスの25%削減の公約との整合性のない、高速道路無料化始め問題のありそうな公約で財政支出を伴うものも全て事業仕分けすれば、大幅な無駄を節約できると思いますが。 (例えば高速道路無料化予算の6,000億円は一発で削減できますし、農家への戸別所得補償制度の為の約3,400億円も当然見直しの対象になるでしょう。)
それにしても無駄な金を削って、その金で余り役に立たないかも知れない公約を実行するなんておかしいような気がします。
特に読売、産経は勿論、民主党寄りの朝日まで反対している高速道路無料化は事業仕分けの対象としては最適と思うのですが、鳩山さんは目玉政策として頬被りしてでもやる積りでしょう。
何故ならこれも上記新聞が全て反対している(事業仕分けの対象とならない)暫定税率の廃止に加え、目玉政策の高速道路無料化、農家への戸別所得補償制度を除けば、 (これも批判はありますが)子ども手当てしか残らないのですから。
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