普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

私の安倍さんの評価

2007-07-04 11:21:06 | 安倍内閣

最近の安倍さんに関する報道やブログでの批判を見たり聞いたりすたびに安倍さんと同郷の山口出身の昔の同僚を思い出す。
と言うのは私のもといた会社は北九州にあるのに、何故かお隣の山口県の卒業生が珍しかったのと、性格や仕事の進め方が私の正反対だったので強い印象を持っていた事、彼の性格ややり方が安倍さんのそれに、非常に似ているからだ。

<山口出身の同僚と私の比較>
[入社]
・彼と私 旧制中学の資格で、施設管理の職場に配属された。
[性格]
・彼 温厚で、良い人当たりだが、筋の通った自分なりの考え方をしっかり持ち、言い出したら一歩も引かない。
・私 お人好し、独りよがり、気が弱い。

<10代後半から30代後半まで>
[仕事の進め方]
・彼 オーソドックスのやり方で確実に仕事を進めるので殆ど失敗なし
一方、設備トラブル解決のための改善などのリスクのあることはなるべく避ける。
・私 仕事の進め方や設備の改善などいろいろ考える事が好きなのは良いが、仕事にポカが多い。

[会社や同僚の評価]
私は当時から昇進や昇給に殆ど関心が無かったが、今になっ改めて考えてみると、上のことから明らかに
・彼 職場の中で少なくともトップ5には入っており、同僚や上司からの評価も良かった。
・私 いくら良く考えてもワースト5内で、私を認めて呉れる人は極く限られていた。

<40代から50代前半>
彼:就職時と同じ職場に引き続き勤務。
私:新設の工場に配転(左遷?)設備管理部門の立ち上げ従事させられた。
後で聞いた事だが、私の配転は私のごく限られた理解者である、関係部門の課長の推薦だったそうだ。
関係者の協力のお蔭で、会社初のコンピューターを利用をした管理システムは全社の評判になったり、当時珍しかった旧中卒の海外派遣なども経験したが、ポカの多い私らしく、関係会社出向(左遷?)の直前に、担当部門のぼや騒ぎのため、自分の作った工場規則違反で始末書を書かされ、所謂晩節を汚す結果となった。

<50代後半から退社まで>
・彼 施設管理部門の社員の王道コースである同業の子会社に出向した。
・私 社風の全く違う、関連会社で苦労しながら、2度にわたる海外プロゼクトに参加した。
[退社時の地位]
・彼と私 当時の旧制中卒の最高の地位である部長待遇で退職。
一口に言えば、多くのマイナス評価と少しのプラス評価、波瀾に満ちた会社生活の後半を送った私に比して、彼は自分の計画したレールで平穏無事に過ごすなど、サラリーマンとして理想的な一生を過ごしたのだ。

<<安倍さんの業績>>
安倍さんの場合は自民党の中で私の同僚のように、着実な仕事ぶりで地位を進め、小泉さんの官房長官への抜擢で一挙に花開き、彼の引退で首相まで登り詰めた。
彼の言う「美しい国」は筋の通った考えで、多くの国民から大きな共感と期待と少しの不安で迎えられた。

<安倍さんの基本路線>
然し彼の小泉政権の残した道を完成させると言う彼なりの筋を通した発言が第一のつまずきだった。

安倍さんの所信表明演説の内容は、実質的に、小泉さんの米国と市場経済一本槍とは全く違う物だった。
安倍さんは、小泉政治の決別をはっきりと宣言すべきだった。
同じ事を「たけしのTVタックル」で浜幸さんが冗談めかして言っていたが、そう言わないのも彼の筋を通すに拘った考え と、人柄によるのかも知れない。

然し、もし浜幸さんが言う通りにしていたら、例えば安倍内閣支持率低下の一因となった復党問題も、あっさり希望者全員を復党させれば、小泉さんの冷酷なやり方に反感を持っていた国民から喝采を浴びたに違いないし、全員の復党は今回の参院選にもプラスになったはずだ。
また今回の年金問題処理もずっと楽になっていたはずだ。

<組閣人事の失敗>
もう一つの問題は組閣人事だった。
安倍さんの現状の打破の方針は逆に言えば、新しい政策を打ち立てることだ。
だから人事も現状路線を確実に遂行する人の他、改革の必要なセクションには、クリエイティブな人を入れるべきだった。

その点から考えると現在問題になっている教育改革→伊吹さん、年金改革→柳沢さんなど官僚の言う事そのまま伝える人達は明らかにミスキャストで問題がこじれた一因となっている。

何故ならこう言う人達にいきなりクリエイティブになれと言って、自分なりの拘りもあり、プライドからもすぐなれないのだから。

要は現状を確実に処理出来る人と、どちらかと言えば改革などが好きな人達とのバランスが取れた人達の組み合わせが必要と思う。
実情は私の同僚のように王道を歩く安倍さん の下に同じ道を歩く人ばかり集めて良く人が言う「仲良し内閣」を作ってしまった。

安倍さんを含めてそのような人達が新しい事態が起こった時の対応が安倍内閣発足以来の混を招いているのだ。

それと今回の久間さんの発言問題の処理に見る様、自分が一旦決めたことに固執する性格が内閣の傷口を拡げたのは、同じ失言をした柳沢さんの温存、自殺を招いた松岡さんの例で明らかだ。

その性格は今回の強引な国会運営となり、内閣の支持率を落とす事になった。

<諮問委員会の問題点>
安倍さんは新しい方策を立てるのに、閣内でなく諮問委員会に頼った。
然しこれにも問題がある。
1.安倍さんの考える路線からはみ出る自由な発想がないこと。
教育再生会議に関して言えば、安倍さん好みの教員の管理の強化だけの答申で、教育予算増額、教員を困らせている父兄の再教育などの如何に教育環境を良くするかと言う素案としては出ても、最終答申案では消えてしまう。
そしてその答申は王道を歩む安倍さんが考えに沿えそうな結論に終わっているようだ。

2.全員の意見を纏めるため、どうしても無難な答申になってしまう。
折角の斬新で役に立ちそうな意見も多数の意見のなかに埋没してしまう。

<<小手先政策の乱発>>
<長期的な視野からの重要政策の検討>
安倍さんの「美しい国」発言や所信表明演説の内容を見ると大きな問題を含んでいる。
例えば、
1.主張する外交→今後の米国との関係
彼の言う主張する外交は、小泉さんの米国一本槍政策からの転換も含んでいると思う。
もしそうとすれば、
世界からとかく批判の多い米国と未来永劫に続けて行くのか。
そうなった時の国の独立をいかに確保するか、武力を持つ範囲は。

2.主張する外交体制の確立、情報機関の設置

3.キャリヤー、ノンキャリヤー、早期退職システム等の官僚の管理システムの見直し。
などの他、石油資源、地球温暖化、少子化、800兆負債の問題など基本的な事から検討すべき問題がそのまま放置されている。

この様な重大な問題は、別に専門の機関を作って長期的な視野で根本的ことから検討して置くべきだ。

<小手先政策の乱発>
このような大きな問題についての事前の検討不十分のためと、クリエイティビティーとそれに関連する危機管理対策不足のために前に述べた教育改革で示した問題以外でも多くの問題が起こった。

・慰安婦問題
米国で発生した慰安婦決議案→安倍さんの強制発言→安倍さんの米国での謝罪→慰安婦広告→非難が世界に拡がる→決議採択の可能性大→拉致問題に影響
情報機関の設置など情報戦対策が出来ていたら、そして危機管理システムが確立していたら、この問題ももっとうまく処理できた筈だ。

・官僚の早期退職システム→天下りのための政府関係法人の増加→談合発生→談合防止のための→天下り規制→人材バンク
これを見ると今度の新人材バンク法はいかにも小手先の対策だと判る。
もし基本的な官僚管理システムの見直しが出来ていたら、もっとスマートに基本的な解決ができていたかも知れない。
これは自民党内からも反対が出るほどの問題法案だ。

なお、政府関係法人の増加や彼らの予算の浪費の問題も、官僚管理システムの見直しのほか、特別会計の国会と財務省のチェック制度があれば、自然にコントロール出来るのと思うのだが。

<<政権を担う党へ>>
自民党(それと将来の政権政党?の民主党)には多くの現状を的確に処理出来る現実派の人が多くいると思う。

然し、現実派ばかりでは今度のような、新しい事態になったときは、人材バンクのように自党の人も呆れる対策を考えるのが落ちだ。

これでは地位を保証された優秀な人材を基盤にした官僚主導の政治は永久に終わらない。

政党は選挙戦略や国会戦術など、現実の対応は苦手でも、長期的視野でものを考える人達の育成改革や改善などの提案など意欲に満ちた若手の人達の提案の欠点ばかり上げてその足を引っ張らず、彼らの指導や養成にも努めて貰いたいものだ。

私のような「ぽか」とは無縁で、然も長期的視野で物を考える人や、斬新なアイディアを持つ優秀な人材は多くいると思う。
自民、民主とも自党の為だけでなく、日本の為にそのような人達の発掘と養成につとめて貰いたいものだ。

参照:
安倍首相の所信表明演説 2006/10/3 
安倍内閣支持率向上策 2007/2/23 
安倍内閣改造の勧め 2007/3/10 
米国との関係の見直し 2007/3/18 
最近の安倍さん批判について 2007/4/25        
安倍さんの理想と現実 2007/6/5      
主張する外交と慰安婦問題 2007/6/16      

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