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普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

農業の衰退を招く農家戸別補償制度

2009-10-18 06:25:38 | 農村問題

 私は15日の鳩山政権発足1カ月の成果[鳩山政権の政策の矛盾点]のブログで農家戸別補償制度制度は農村の生産性向上に逆行し→農村の弱体化を招くものだと書きました。
 今日はこの問題に焦点を当てて考えて見たいと思います。
  参照:農家戸別補償 生産性向上につながる修正を
(読売社説)

「戸別所得補償制度」は本当に農家を救うのか(産経新聞)で記載された関係者の声
米作農家A: 「現実的に米余りと米価の安値にどう対応してくれるのか。」
米作農家B: 「一番の問題は米価が安すぎることだ。昔みたいに米だけ作って食っていけるように、農家が再生産を続けられるようにしてもらえないものだろうか」
米作農家C: 今の米価なら機械を買うだけで赤字になる。整備代もかかる」
大規模米作農家: 「言い方は悪いが、手を抜いても国が所得を補償してくれるようなものだ。頑張って収量を上げると、所得補償の対象にならない懸念もある。低所得者に対する安全網だけでなく、努力した分は報われるようなシステムがないと生産意欲につながっていかないのではないか」
月刊誌「農業経営者」副編集長の浅川さん:
「最大の問題は、農産物の販売コストと販売金額の差、つまり『赤字額を補填』する仕組みであることだ」、「農家にとっては、赤字が増えれば増えるほど、国からもらえる金が増える。頑張らない農家でも手厚い補償を得られるのでは、健全な競争原理は働かず、日本は赤字農家だらけになる」

経済評論家の 大西良雄(経済ジャーナリスト)の戸別所得補償は高生産性農家をつくるか 
この制度は「社会政策」であって日本農業を衰退・滅亡から脱出させるための産業政策にはなっていない。
・0.1haの「販売農家」が政策の対象になる。そんな零細な農家を含めて1兆円(1戸当たり平均58.8万円)の予算が毎年ばら撒かれることになる。
・所得補償政策が実施されれば、老齢農家といえども小さな農地を売ったり貸し出したりする必要はなくなる。日本の農業が衰退から免れるための農地の集積による農業経営の大規模化、生産性の引き上げなどますます困難になる。
・日本の農業が狭い耕地面積に多くの農業関係者が群がる極めて生産性の低い衰退産業である。
 北海道を除く都府県の農家1戸当たりの平均経営耕地面積は1.41ha、これに対してイギリス55ha、フランス45haと桁が違う。
・北海道の農家の47.6%が1000万円以上の農業収入をあげている(他の都府県は300万円未満が70.7%)。日本農産物の品質のよさを考えれば、北海道の規模まで1戸当たりの耕地面積を広げることができれば、日本の農業は国際的な競争力を持つことが出来ると考えている。
・日本の農業産出額は、8兆2000億円前後、農業就業人口は290万人にもなる。
 それに(その約1割の)間接人員である農協役職員24.5万人が寄生している?。日本の農業を一個の会社とすれば間接人件費が大きすぎて利益など出せるわけがない
・一部執行凍結がなければ、今年は8.2兆円の産出額を維持するのに実に3.6兆円の国民の税金が農業に支払われることになったのだ。 (原文のまま)
・毎年これだけ多額の税金を注ぎ込みながら、日本の農業の生産性はほとんど上がらず、1戸当たりの農業所得は増えるどころか減っている。所得が減るような産業に後継者が現れないのは当然。その結果、農業就業人口に占める65歳以上の高齢者の比率は60%にもなっている。高齢者が増えれば、耕作放棄地も増える。耕作放棄地は年々増加し平成17年で埼玉県の面積にに達している。
・日本の農業は衰退・滅亡の道を歩んでいる。後継者が続出するような高生産性農家に作り変えなければ、自給率などどんどん低下してくる。
・しかも、(各戸に直接給付する)制度では農家の生産量、販売量、販売価格、生産費を調べ、販売価格が生産費を下回った差額分だけ補償することになるから、きめ細かな170万戸農家の数字管理が必要になる。補償金を支払うための基礎になるデータ数字を、いったい誰が調べるのか。農協組織に調査費を払って下請けさせるのか。
 
[私の意見]
 昨日、何時もの本屋で立ち読みで前記の「農業経営者」副編集長の浅川さんの論文を「WILL]で見ました。 (本屋さん、何時も立ち読みで御免なさい。)
 それで浅川さんの意見(青字)も参照しながら私の意見も書いて見たいと思います。
・鳩山政権が狙う農家戸別補償制度の目的
 上記の批評で明らかなように、農家戸別補償制度は農村の生産性向上や活性化より、社会保障の一貫のようです。
 浅川さんはこの制度で農家の弱体化を図り、それでいつまでも民主党政権の補助に頼らねばならない状態にして、民主党政権の安泰化を図るものだと書いていましたが、私はそこまで行かなくても、多くの批評にあるような、選挙目当てのばら蒔き政策だけに過ぎないと思います。
・制度で唯一評価されている戸別支払い
 この制度に就いてネットで調べてみると殆どが批判的ですが、批評家の中には今までのように農協などを通さずに直接各戸ごとに支払うのは評価すべきだと言っている人もいるようですが、浅川さんも大西さんと同じように農家への戸別所得の調査の膨大な人手を要すると反対しています。
・高齢者や稲作に不便な地域への配慮
 上記の批評の中では、高齢者や棚田など耕作に不便な土地を持っている人達への配慮に就いて書いてありませんが、農村の効率化と上記の様な人達への配慮は別個に行うべきで、これを一つ戸別保障制度に纏めたので、訳の判らない制度になって仕舞ったのだと思います。
・農産物価格の決定システムの変更
 農業従事者の悲鳴は安すぎる米価ですが、その根本は農産物の流通システムにあると思います。
 前にも書きましたが基本的には、大手スーパーなどの一方的な価格決定システムにあるので、現在行われている産直方式の強化と、彼らに劣らない大きな経済力を持つ団体、例えば農協などが価格決定に参加すべきだと思います。
 具体的には農協が妥当と決めた価格以上の価格で各戸ごとの取引は良いとしても、それ以下の価格での取引は農協の関与するようにすれば良いと思います。
 販売側がそれならと言って安い外国米を輸入して、その結果国産米が負けるなら、基本的には自由競争の時代ですから値引するしかないと思います。
 要するに価格と品質の競争です。
・農産物の質と農村の生産性向上
 品質について大西さんは日本農産物の品質の良さを言っていますが、浅川さんは小麦では質の面でも外国産に劣ることをあげ、単純な補助金制度の害を批判していました。
 日本は米の品質にに就いては(農協でなく)国立、地方団体の農業試験場で大きな成果を上げています。 (農協が生産団体としたら、ろくな自前の研究所も持たないのはおかしいと思います。)
 小麦の品質が悪いのなら、農家への給付を削っても、その品質の改良に米やリンゴなどと同じように力を入れるべきだと思います。
 工業製品の品質に就いては世界に冠たる力を持っていますし、その根本は日本人の完璧志向があり、日本の得意分野です。
 また生産性向上についても工業分野では世界一のシステムを持っています。
 この考え方を農業分野に適用できない訳はありません。
 一年の内米作だけに半年しか使わない田んぼ、一年に一度しか使わない農業機械を各戸別に持つなど、生産性向上の観点から言えば、問題ダラケの農業生産システムです。(*注記)
・農村の構造改革
 このためにはやはり若い力が必要です。棚田の耕作では一部の地域でやっているように、消費者を巻き込んだ運営が必要と思いますが、高齢者にこれを望むのは酷な話です。
 そして上記の対策のためには大企業の参入か25万人のスタッフを擁する農協の圧力団体から株式会社化のような体質改善が必要となって来ます。
 農協の体質改善は、民主・自民とも選挙絡みで、官僚制度以上に難しいと思いますが、何時かは何とかしなければ、農業の将来はないと思います。 
・農家戸別補償制度が批判される本当の理由
 全体的に言って、農家戸別補償制度がこれほど問題になるのは、その発想の原点は政権獲得のためのばら蒔きであり、鳩山政権の言う農村の生産性向上などは後で取ってつけた理屈でその弱点を新聞や専門家に突かれているのだと思います。

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*注記:昔の農村風景
 年寄りがまた昔の話しを持ち出すのですが、少なくとも九州では、米と麦の二毛作が普通で、麦を作らないときはれんげ草で土地改良を図るか、菜の花を植えて油を取っていました。
 そして畦には大豆まで植えてありました。
 それが米作だけの田んぼを見るのが普通に成りました。
 今後どう田んぼを活用するのか判りませんが、少なくとも昔のように田んぼを遊ばせないようにするのは高齢者では無理で、この点からいってもなんとしてでも若者の農村復帰できるような施策が望まれるところです。


日本の再生は農業の再生から

2008-10-26 16:17:08 | 農村問題

 世界的金融不況が日本の実体経済にも及ぼすことについて、マスコミでもその打開策として色々の提言がなされているが、その中の主なものは輸出中心から内需の拡大へのシフト、環境、エネルギー技術の振興と、農山村の開発のようだ。
 このうち内需の拡大については、少子高齢化の進行、派遣労働者の増加による国民所得の減少、今後予想されるリストラによる失業率の増加、不況に伴う消費マインドの低下などの解決困難な問題がある。
 環境、エネルギー技術利用については何度も書くが、その製品または技術の輸出量は、自動車の輸出量て比べれば遥かに小さいもので日本経済の発展に大きく寄与することは出来ないようだ。
 その点から言えば農村の開発、農業の振興は工業製品の輸出量の減少を補うまでには行かないかも知れないが、環境、エネルギー技術の応用よりまだ有望なような気がする。

「米農家が抱えている問題点]
 あるテレビで、農家の人が生産した米の処理について放送していた。
 その農家の人は生産した米のごく一部を、儲けの多い直接消費者に提供する「計画外流通米」(*注1)として取り扱い業者に売り、他の大部分を農協に納めた。
 然し農協は政府の方針に従って、農家への減反割り当て分だけを「計画流通米」として受け入れ、そのほかの米は同じ銘柄でも前者の半値以下の「計画外」の工業用米としてしか受け入れない。(*注2)
 詰まり農家は高値で売れる米をみすみす工業米の安い値段でしか売れないのだ。
 その理由は高い農業機械を農協から買うために、その農協から大きな借金をしているから、農協の方針に従うしかないからだそうだ。
 これでは昔の因業な地主と貧乏な小作人の関係の現代版だ。
 農家は一年の内に数日しか働かない農業機械を多額の借金をして買い、そのために心ならずも貸主の言う通りにして安い米を売っているのだ。
 もし農協が普通の企業だったら、そのような高価な機械はリースにして農家に順繰りに貸すことで、農家のコストの低下を図るだろう。
 全農のような全国規模の大企業だったら、農業機械を沖縄から順番に北海道まで使い回しをして、さらに農家のコスト削減に協力するだろう。

[酪農家が抱えている問題点]
 牛乳の場合は米に比べると下記のように簡単な流通ルートを流れ、そしてある程度市場原理で価格が決まっているようだ。
 酪農家→酪農組合→牛乳工場→(卸売業者?)→小売業者→消費者
 ここで農家側にとって問題なのは最近の飼料価格の高騰でのコストアップをカバーする程小売価格に反映出来ないために、経営が苦しくなり廃業する農家が増えているそうだ。
 その一つには牛乳の小売価格の決定は牛乳製造会社と大手の小売業者の間で決定され、それが酪農家の収入に反映してくる仕組みだ。
 農家がいくら値上げを要求しても、牛乳製造会社が小売業者との話し合いの結果、それが売れ行き減少に繋がるといえば引っ込むしかない。
 詰まり大手の小売業者が他の同業者との競争を勝ち抜くために、牛乳会社の間で競争させて値段の叩き合いをさせているのが廻り廻って零細な酪農家の廃業に繋がっているのだ。

[山村の抱えている問題]
 私は趣味の登山で近郊の山に良く登るが、荒れ果てた杉や檜の人工林、間伐で切り倒された後放置された木や竹など良く見かけるたび思うのだが、ごく一部の地域でもやって居る様に、山林の手入れや間伐材の処理に山登りの好きな人や、都会生活から一時的にでも自然に戻りたい人たちに呼びかければ、多くの人達が応募してくると思うのだが。
 黙々と唯登るだけの山登りも良いが、たまの山での作業が少々辛くてもどんなに楽しいか都会人の憧れだ。
 私など手足纏になるような老人は別として、訪れた若い人達へお礼の山村の料理を振る舞ったり、出来れば気持ちばかりの日当を払えばみな大喜びで参加する筈だと思う。
 それと同じで棚田での田植えや稲刈りなど声を掛ければ、大勢の人達が集まると思う。

[農山村の産業の発展策]
 上記の三つの例で書き漏らしたことも多いが、次のような農山村の発展策が考えられると思う。
製造業や流通業のノウハウの導入と実行
農業や林業の経営や運営の合理化による生産性の向上
 大規模農業、新規参入者を含む農山村上げての改善活動、産直など流通システムの改善し消費者となるべく直結する
 大分県の一村一品運動や、田中義剛さんの成功例になどのノウハウの共有
 酪農に関して言えば糞尿の処理→田畑の生産力の向上→飼料の増産のリサイクルシステム
 農山村の生産資源の有効活用
  休耕田の利用、生産力が落ちない限度での米・麦の連作など長期間の田畑の利用、農業機械を遊ばせないように全国レベルでの使い廻し
・公共機関だけに頼らぬ農産物や農業技術の改善や開発
・品質、味とうで競争力のある農産物の輸出
・消費者を農山村に来て貰い、その活動に参加や交流、消費者の意見を生産や販売に反映する
・農山村の活性化による収入増加分を高齢者や僻地の人達の支援に当てる

 自民党、民主党とも衆院選へ向けての公約作りでいずれも農家の支援を考えているようだが、日本が迎える経済不況の打開策として、農山村への活性化と言う前向きの投資を考えて貰いたいものだ。

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*注1:米の分類
・「計画流通米」は政府の減反政策によって決められた量の米のことで、政府の米価維持政策である程度の米価が保証されている
・「計画外流通米」は農家が直接消費者に売れる米と工業用米
*注2:米の流通ルート
・「計画外流通米」
 生産者→消費者
・「計画流通米」と工業用米
   生産者→農協→県経済連→(政府→)卸売業者→小売業者→消費者


あきらめるな農村問題

2008-02-21 17:01:57 | 農村問題

 2月5日NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀「あきらめなければ、失敗ではない~片山象三~」」の放送があった。
(2月25日(月)翌日午前1:05~翌日午前1:50、2月26日(火)午後4:05~午後4:50に再放送の予定

 NHKの紹介文では次のように述べている。
 
全国の地場産業が衰退する中、常識を塗り替える技術革新を果たし、海外からも注目される男がいる。織物の町、兵庫県西脇市。生産量が最盛期の4分の1にまで落ち込む中、中小企業の経営者・片山象三(47歳)は、2003年に織物のコストを最大5分の1にできる画期的な糸作りの機械を開発した。今、片山は新たな開発に取り組む。地場産業復興の一つのモデルケースとして、そのカギを等身大のプロフェッショナルの姿から探る。
出演:片山商店社長…片山 象三,  【キャスター】茂木健一郎,  住吉 美紀

 その中で印象に残った片山さんの言葉を書いてみる。
 これは私の一つの関心事のシャッター通りの再生にも当てはまるが、ここでは農村問題に併せわて考えて見たい。

・開発は産地のために行う
・産地を護るために開発した機械は競争相手の中国に売らない
 これを日本に言い換えれば、開発は日本のため行う、開発した機械や技術、新品種の農産物の種子どを中国その他の国に売らない。
 日本はコシヒカリなどの種を諸外国に売って、逆にその米を輸入するように圧力をかけられてきた。
 最近はこれに懲りて、福岡県の例で言えば、苺の新品種の「あまおう」の技術を他国に盗まれない様に対策を講じているそうだ。
 然しこれには開発した人や会社の愛国心の問題があり、また国家レベルの新技術の輸出禁止など外交問題になりやすいので政府の別の面からの的確な判断が望ましい。

・素人には壁がない
・ヒントは外にある
・異業種を結びつける
・産学官の協力とそれを纏めるリーダーシップ
 今までの農業問題は政府、所謂農水族、農業従事者の代表の農協、農業技術は政府と県の農業研究所中心で行われてきた。
 言わば農村を中心とする閉鎖社会の中で、戦後50年間過ごしたきた。
 その中では農産物の消費者の立場が殆ど無視されたきた。
 その一番のよい例が、国民の米離れパン食の増加の傾向を無視した、つまり需要と供給の経済原則を無視し米作り一辺倒の農業政策だ。
 その結果が、食料自給率が先進国で最低レベルの39%の一方、休耕田の増加、稲作専用で刈り入れから田植えなで遊んでいる田んぼ、若者の離脱、過疎化などの問題を生んでいる。
 政府はこれに対して農業の株式会社化を認める新政策を出したが、農地購入禁止など数々の制限がありなかなか進んでいないようだ。
 片山さんの言を借りれば、農業には素人の工業製品や食料加工品会社の人達が農村に入れば、生産性向上に血眼になっている彼らが見れば、約半年も遊んでいる田んぼや、今までの年に数日しか使っていない一戸に一台の高額な農業機械の有効利用を考えるだろうし、貴重な従業員をもっと有効に使うことを考えるだろう。
 今までは公立の機関に頼っていた新品種の農産物や、農業技術の開発も独自で始めるに違いない。
 農村に新規参入の企業にとっては、小麦価格が一気に30%の上昇に代表される食料品の価格上昇、国民の安全な食生活を望む傾向などを最高のビジネス・チャンスと捉えるだろう。
 そして彼らの動きを見ている農村の人達にも刺激となりヒントを得る事も多いと思う。

・あきらめなければ、失敗ではない
・希望が困難に絶えて持続する力を与える
 私は毒入りぎょうざと農業の活性化
日本の食料自給率の問題を解決するために、需要と供給の観点から見た農業政策を考えるべきだ。
 そして農業の生産性を上げることで農村を活性化してはどうかと書いた。
それについて「はかたのさとう」さんから、
 市場経済の農業は、価格変動のリスクに晒されている。農業の場合は、気候変動のリスクもある。公務員、農協職員、あるいは家作収入など、安定した別収入がないと、リスクに耐えるのが困難。
 大規模な専業農家は、上記の兼業農家よりリスクが大きいので、破産する可能性が高い。
 生産性を高めるだとか、大規模農業にするとかは、何も知らず机上の空論を述べているに過ぎない。

と言う厳しいコメントを頂いた。
 
(コメントは農村の現状を良く突いていると思いますので、是非コメント欄全文も見て下さい。)

 コメントを読んで、また私の悪文の例に洩れず書き漏らしたことが多いのに気がついたのでまた上記の文章の補足させて頂く。

 勿論、「はかたのさとう」さんも良くお判りで厳しいご指摘をされたと思うのだが、このままの農村保護政策による農業の弱体化、農村の疲弊、若者の離脱、過疎化のままで良いことを放ってよいことにはならない。
 片山さんの意見を借りれば、私たちはこれで「諦めてはいけない」。
 諦めたら終わりだ。
 現に大分県の平松元県知事の主導で展開した「一村一品」運動はそれなりの成果を上げているそうだし、東国原さんが宣伝されている完熟マンゴーや「金柑たまたま」良い値で売れている様だ。
 言い換えれば農村の生産性の向上、または労働分配率
の改善だ。
 (労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)×100)

 また棚田の不便を逆手に取って、都会の人達にオーナーになって貰いその米の生産資源である田んぼや畑を守ろうとしている農村が増えているそうだ。
 これも農村の生産性維持や村おこしに繋がるものだ。

 参照:棚田オーナー制度 

 私はそれらの従来の活動に加えて、前に書いたように工業や商業などの農業に素人の企業が農村に入って来る意味は大きいと思う。
「はかたのさとう」さんは大規模農業について言われたが、一般企業の人達が農村に入ってきて、土地の実情を無視して、米国やオースリラリア式の大規模農業をやるなど多分考えないと思う。
 そうすれば負けるのは必至だ。
 (なお私の上記のブログでは大規模農業についても触れることを忘れていた。)

 彼らが今までの常識通り、まず始めそうなのは、既にやっているるらしいが、消費者の需要予測に基づく中または小規模のスケールでのトマトなどの野菜の、それも天候に左右されないハウス栽培だ。
 出来過ぎの時は彼らは事前に生産調整をするか、余剰分を加工食品に廻すか、或いは輸出に振り向けて損害を最小限に抑えるだろう。

 米や麦作を考えれば、地域で見れば中規模の農業の全国展開により、高価な農業機械の使い廻し、遊んでいる田んぼの有効利用、どうしても出る農閑期に余る人員をを利用するために農村に建設する食料品加工工場を作るだろう。
 勿論彼らはこれ以外の多くのアイディアを農村に持ち込むだろう。
 そして失敗すれば次の手を打ってくるに違いない。

 要は、開かれた農村に異業種の人達が入り込んで、お互いに切磋琢磨して、良い所は学び、問題なところは改善しあえば、少なくとも何からの道が開けてくる一助にはなると思う。

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毒入りぎょうざと農業の活性化

2008-02-11 10:27:37 | 農村問題

[毒入りぎょうざと食料自給率]
 毒入りぎょうざ問題についてまたテレビなどで日本の食料自給率の低さが取り上げられている。
 確かに先進国ではフランスは130%台、ドイツ91%台、英国70%台に比べると、39%と言う日本の低さが際立っている。

  一方、9日の読売新聞は次のように報じている。
 
8日のシカゴ商品取引所で、小麦の先物の3月渡し価格の終値が、1ブッシェル(約27キロ・グラム)=10・93ドルと過去最高値を更新した。
 米農務省が同日発表した小麦在庫の推計値が約60年ぶりの低水準となり、市場で需給の逼迫感が広がり、買いが優勢となった。世界的な小麦の不作が背景にある。
 様々な食品の材料となる小麦の多くを輸入に頼る日本でも、製品の値上がりが懸念される。

 なお日本人の主な食料源である大豆価格も急騰し、これを原料とする豆腐、納豆、醤油などの値上げを迫まられていると伝えられている。
 テレビなどでは経済学者が、金余りのファンドの金が値上がり確実な小麦や小豆に回り更なる価格上昇は避けられないと言っている。
 なかには食料自給率は経済の問題ではなく、日本の自然環境を如何に保つと言う観点からこの問題を捉えるべきだと言う専門家もいるようだ。

[需要と供給の観点から見た農業政策]
 これには一理も二理もあると思うがここでは敢えて経済問題の点から考えて見たい。
 良く言われる事だが、日本の休耕田全てを併せると埼玉県の面積に匹敵するほどの広さがあるそうだ。
 今頃、農村地帯に行って見ると、稲を刈り取られたあとの多くの田んぼがそのまま放置されているのが目立つ。

 私ども工場で如何に生産性を上げるかと尻を叩かれながら働いていた人間から見れば、安全な日本の農産物やその加工品を食べたいとか、自給率を上げるべきだとかの声が多く、小麦や大豆の価格の上昇に示されるように旺盛な需要があるのに、貴重な生産設備である田んぼを休耕田として放棄したり、次の田植えまで遊ばせるなど考えられないことだ。

 また年寄りの悪い癖で、昔のことをくどくどと繰り返すのだが、昔は少なくとも九州の農村では米と麦の二毛作は当たり前だったし、遊んだ田んぼではれんげ草を植えて地力を回復させたり、菜種を植えていた。
 また田んぼの畦には、大豆を植えているのが普通の風景だった。
 この農村風景を壊したのは大雑把に言って、
・戦後の米不足→米作の奨励
・日本の工業の発展→外国、とくに米国への輸出の増加→財政の余裕→農業への補助金増加
・(特に米国からの圧力による)安い価格の米の輸入増加→日本の農家の収入減
・米価の統制と言う形の農村の支援の恒久化(大企業などからの税金により)
・これが農家の当然の権利と言う観念を植えつけ→農協の圧力団体化
・日本人のパン食などの食生活の変化→米余り→減反への補助
などで、減反などの珍妙な政策など、普通の工業製品製造企業などでは考えられないことだ。

 詰まり、1960年には80%もあった自給率が半減した最大の原因は、農村への援助の対策として余りにも米作ばかりに重点を置いた、極端に言えば、米作だけに向いた農業政策の失敗だ。
  だから、米さえ作っていれば少なくとも元はとれる生活に慣れてしまったのだ。
 減反で収入が減った分は出稼ぎをする人や都市部周辺では兼業農家が発生した。
 その一方昔のように麦や菜種など作っていては、損するばかりだ。
 これらが今の田んぼが遊んでいる原因だ。
 つまり農村の生産性ががた落ちにになっててる原因だ。
 低い食料自給率を余所に折角の生産設備である田んぼが遊んでいるのだ

 勿論農村問題は他に多くの問題があり、農村の人達も悪い条件の中で頑張っていいる人も多いと思うが大局的にみれば私の考えはそう誤っていないと思う。

[これからの農業政策]
 今までの農業対策は生産者保護が重点だった。
 これからは経済的な面からも考える必要があると思う。
 政府や識者も国民に米食の見直しや食育をすべきだと言う。
 然し経済面から言えば農村が需要に応えるような援助をするのも大切なような気がする。
 米余りの原因の一つは国民の嗜好がパンや麺類などの小麦製品に向いているためだ。
 小麦の需要があれば小麦を作るべきだ
 一方小麦の価格は高騰し、その傾向はまだ続くそうだ。
 つまり高い小麦の需要に応えるべきだし、高騰する小麦価格を考えればその補助金も少なくて済むかも知れない。

 大豆も全く同じことだ。
 私は農業はまったくの素人だが、田んぼの畦という悪条件で育つのだから、いま遊んでいる休耕田なら十分過ぎる適地と思う。
 後はその生産効率を如何に上げるか指導すればよい。

 今、大問題になっている、ぎょうざや農産物の加工製品なども、農村部に工場を作れば、農閑期などの農村特有の生産性向上を妨げる原因を無くすことが出来る。
 特に日本人には安全性の高い食品への需要が高い。
 そのために少々値段が高くても買ってくれるだろう。

 今まで政府は農村の方ばかり向いていた。
 そして農村も昔は政府ばかり向いていた。
 今では農村の人達もそのお客である一般消費者の方を向き始めているようだ。
 そして今以上に経済原理に従って消費者の需要に応えるべきだと思う。
 小麦の需要があれば小麦、安全な農産物加工食品を欲しがっているならそれを供給すべきだと思う。

 小麦や大豆の価格が暴騰し、安全指向がますます強くなっている今を逆にチャンスとして捉えられないだろうか。
 そして、政府もその方向に進む方に農村への補助金を廻すべきだと思う。
 民主党の農家の所得保証の形の補助金支出政策に対応して、自民党も何か考えているようだが、過去の自民党の対農村政策がそれを弱体化させた過ちを二度と繰り返してはならないと思う。

 同じ補助金を出すのなら、農村の生産性の向上とそれについて行けない老人や過疎地の人達の援助の方に向けるべきだと思う。

参照:農村の再生のために 
       
小麦値上げをビジネス・チャンスに 
       
政治討論番組の見方→[報道2001の「農家の悲鳴に政治はどう応える」]


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民主党の農家へのばら蒔き政策

2007-11-27 10:34:45 | 農村問題

 23日、余り天気がよいので思い立って小さな山だが、J山→K山→J峠の縦走をした。峠から駅はO町に降りた方が駅に近いが、山道を走る車を避けながら歩くのが煩わしいので、山を降りる近道のあるH集落の方に出るとした。

[村起こしの公園と広い道路]
 Hに出た所には近頃流行りの広々とした親水公園が拡がっている。
 これも村起こしの一環として開発されたのだろうが、人気のない園内にお決まりのように車が2台止まっているだけ。

 峠から降りてきたN町からM市に出る県道は峠道の片道一車線から二車線に拡がったが、自家用車が5分から10分位の間隔で広々とした道を猛スピードで通り過ぎるだけ。
 歩道も私のように歩行者には嬉しいが、何故か4メートルの自動車も走れる巾。
 私が駅に出る為に左折する交差点につくまでの間の約1時間で逢った人は土地の人らしい人一人だけ。

 こんな道路も色々の理由をつけられてこの様な場違いの広い道路になったのだろうが、峠の向こうの町も完全な農村で、これ以上の車の増加は、O町からM市への通勤の車位しか考えられないのだが。
 そしてその財源も県が国からの補助金を当てにして作ったのだろう。

[冬眠している田んぼ]
 道の両側には整備の行き届いた、稲の刈り取りが終えた広々とした田んぼが眠っている。
 この冬眠状態は田植えの準備が始まるまで続くのだ。

 昔なら、田を遊ばせない様に、稲刈りの後、直ぐに麦作りの準備をし、余った田んぼは計画的に「れんげ草」を植えて地力の回復を図ったり、菜の花を植えて油を採ったりしていたし、田んぼの畦には大豆まで植えていたのに。

 農家の人達も政府の米中心の補助金制度で、(多分補助金の出ない)麦作など採算に合わないとか、米価の低迷(世界的に見れば高い)など、色々な事情があるのだろうが、国の立場から言えば、食料の自給率が40%まで落ちたと心配されているのにこのような事で良いのだろうか。

 これを工場に例えれば、貴重な生産資産を10月末から5月の終わりまでの約半年も遊ばせて、それで採算が取れるなら、このような美味しい商売はない。
 然も、田植機、稲刈り機など、年にほんの数日しか使わないのは非能率の見本と言うものだ。

 昔の田植えから草取り、稲刈りまで人力で行っていたのと比べると労働生産性は上がったが、田んぼの生産性は米の質や、人為的に決められた値段を考慮にいれても、数十%も下がっているような気がする。

 昭和16年から導入された新食糧法によれば、輸入米への関税と政府が買い上げる備蓄用の「政府米」でいくらかは米価の下支えをする他は「自主流通米」として、原則として市場原理に任されることになった。

 然も農業の会社組織や従来の農業従事者以外の人達の導入で農業の生産性を上げようとしている。

参照:
  
新しくなった食糧法(改正食糧法)について


[民主党の主張]
 これに対して、民主党は公約で農家の所得保証制度の導入を主張している。
 然し、それをどのように運用するのか全く不明だ。

 勿論、新食糧法には棚田などの狭い田んぼしかない農家や、高齢者の農家が付いて行けないと言う問題がある。
 それらへの所得保証は当然だ。

 また私が昔に見た様な、田んぼを遊ばせない様に、その地力が落ちないように、一年中うまく使い廻して頑張っている農家も居るに違いない。
 こんな農家への所得不足への保証もある程度納得できる。

 然し一方では折角の田んぼを稲作ばかりに頼って半年も遊ばせ、不足の収入は農業以外に頼っている兼業農家もある。
 多分、いくら民主党でも兼業農家まで所得保証するとは考えてないと思う。

 つまり一言で言えば、民主党案の目指すものは農村の今の形の現状維持だ。
 半年も貴重な田んぼを半年も遊ばせる対策など何も考えて居ない様だ。

 農村問題を悪化させた責任は従来からの政府の将来の形も考えなかった減反制度などのばら蒔き政策の失敗だと言う人も多い。
 その失敗に懲りて、農家の生産性向上を目指した新食糧法のほうが将来を見据えた案で先に書いた問題があるにしても遥かに優れている。

 次期の政権を狙う民主党は田んぼを半年に遊ばせて、後は出稼ぎに頼る人達をもっと農業に関与させ、貴重な田んぼという農業資産をもっと活用できるような、そして農村の生産性をもっと向上できるような、新食糧法に勝る前向きな提案をすべきだと思う。

[選挙で勝つことしか考えてない民主党]
 その他、私の見た、殆ど使われていない村起こしための公園や建物などの箱ものの建設、交通の実情に合わない立派過ぎる道建設などへの政府補助金支出など、政府を攻撃したり、それへの対案の提出などど色々出来ることがあると思う。
 然し、次の選挙で農家の票を狙ってのばら蒔き政策を公約にしている民主党の方針を考えれば、農家に不利なるような事はこのまま目を瞑ってしまうに違いない。

 こんな事で次期政権を担当できる党と言えるだろうか。

参照:
 カテゴリー → 民主党

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農村を活性化しよう

2007-11-23 11:39:16 | 農村問題

 福田さんがシンガポールからの帰国後の11月22日の読売はその社説のASEAN外交 EPA締結を関係強化のテコにで概略次のように主張している。
・日本と、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、経済連携協定(EPA)の締結で最終合意した                         
・日本は、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどASEANの主要6か国や、メキシコなど計8か国とEPAに署名し、一部は発効済みだ。
・日本は韓国との交渉が中断し、農業大国・豪州との交渉も難航している。成長センターのASEANとの経済関係の強化は、人口減社会を迎えた日本にプラスとなる。
・ASEANは、主要6か国が日本からの輸入額の90%以上の製品で、関税を10年以内に撤廃する。ベトナムなども15~18年以内に段階的に関税を撤廃する。
・日本は、ASEANからの輸入額の90%分の関税を即時撤廃し、さらに3%分を5年から10年かけて撤廃する。だが、コメ、乳製品など農産品の一部は対象外とした。農業分野の市場開放に、相変わらず消極的だ。
・日本は、ASEANに日中韓、豪州、ニュージーランド、インドを加えた16か国での「東アジアEPA構想」を提唱している。
・だが、農業の国際競争力を高め、農業を含めたオープンな市場を目指さなければ、構想の実現は難しい。市場開放に伴う痛みに耐えられるよう、農業の構造改革を加速しなければならない。
・ASEANは首脳会談で、2015年までに貿易・投資などを自由化し、域内経済を一体化する「経済共同体」を目指すことで一致した。
・中韓両国やインドなどが、ASEANとの関係を強化している。日本もASEANとのEPAをテコに、戦略的な通商政策を構築しなければならない。

 他のブログではこの社説を日本政府へヨイショするものだとコテンパンに書いているものをたまたま見かけたが、その社説に一理あるものもあると思う。

 ASEANとの関係強化の中でいうように、工業製品の輸出に頼るしかない日本で一番頭の痛いことは、日本農業の保護の問題だ。

 その点から言えば、衰えかけたとはいえなお世界最強の工業力を持つ米国や工業の発展が目覚ましい中国がなどが広大な土地を利用した農業製品の輸出でも有利な立場を利用して、自由貿易を推進するのに対して狭い国土を持つ日本が及び腰なのは致し方ないのかもしれない。

 国土の広さと言えば、私がもと住んでいたことのある淡路島ていどの国土しか持たずに頑張っているシンガポールの例を考えて見たい。
 (以下一部 Wikipedia
の記述を参照した。)

 シンガポールは金融、貿易、産業立国だ。
 金融では日本、香港と共にアジアの中心だ。
 東南アジア・東アジアとヨーロッパや中東、オーストラリアを結ぶ交通の要所であるため、古くから海運産業や航空産業が発達している。
 狭い海岸線や付近の島などは工場が林立している。

 そのため政府は特に人材育成にも力を入れている。
 同国では中国系民族中心の国だが、最近では小学校から全ての授業(数学も理科なども)が英語で行われるので、若い人は皆独特の発音だが殆ど英語が話せる。
 小学校4年生から全国一斉の共通学力テストが行われ、普通コース(工員や店員向け)と進学コース(エリート向け)に強制的に分けさせられる
 例として、国際教育到達評価学会(IEA)による理科の成績は、
      シンガポール  日本 
 小学3年    7位         2位
 小学4年    7位         2位
 中学1年   1位         4位
 中学2年   1位         3位
が示すように、日本は全ての生徒の成績であるのに、シンガポールでは小学4年までは一般、それ以後は選抜された生徒の成績だ。
 それ以後も進学のたびに全国共通テストが行われ、一定の成績を得たものの他は上級校に進めないようになっている。(普通コースの人も進学の機会は与えられているが、その結果は想像に難くない。)

 詰まり選ばれた生徒達が特別の教育を得て第一線で活躍する仕組みになっているのだ。
 このように金融、貿易、産業に力を入れる一方、農業はごく一部の人達の家庭菜園くらいの物で、本格的な畑などみたことも無かったように、殆ど全ての食料品は輸入に頼っている
 それどころか、人々や工業の生命線である水もライバル関係にありいつも仲が良いとは限らないお隣のマレーシヤから輸入している始末だ。

 外国人の私からみると事が起こったときの危機管理はどうなっているのだろうと思うがシンガポール政府は農業は完全に諦めて、全てを同国の得意分野に力を入れているようだ。
 そしてASEAN随一の経済力と東南アジアの中では、無視できない軍事力を背景にして、同地域のリーダーとして近隣各国と友好関係を続けることで食料を確保しょうとしているのだろう。

 国内では、社会主義政党の一党独裁のもとで今までの成功してきた実績と、強い言論統制で国民の不安をなんとか押さえているのかも知れない。

  一方日本は米国や中国のような広い国土はないし、しかも山に囲まれた狭い農地で集約農業が行われている。

  然し、食料自給率はドイツが1965年66%が2002年には91%に向上しているのに比して、日本は(農業政策の失敗などで)73%から40%(2007年も40%)に下がっている。

 韓国、北朝鮮、中国など近隣諸国との関係も余りうまくいっていない
 ロシヤも今のプーチンさんのやり方を見ていると100%信頼できない。
 それでアジアでなにか紛争が起こったときに、はるか太平洋を隔てた米国やオーストラリヤなどからからの援助を期待するのも不安だ。

 また農業を守る為に農産物の輸入を抑え過ぎると肝心の工業製品の輸出にかげりが生じる。

 しかもシンガポールと違って日本は自民、民主も頼り無いが独裁国家ではないので、国民を押さえつけるなど論外、国民の支持なしには同国のような思い切った対策も取れない

 残る道は唯一つ、そして決め手ではないが、読売の主張するように、農業団体なとどからの抵抗など万難を排しても農業の生産性を上げ、そして農作物の輸入の圧力を少しでも緩和する位しか出来ないと思う。

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農村の再生のために

2007-09-23 11:53:07 | 農村問題

 今地方格差が大きな問題となっている。
 然し、
小沢さん提案の民主党案は、農村、山村、漁村の所得格差に対する保障と言う手っとり早い具体策しか提案していない。

 これは従来からの、自民党の政策そのもので、これが農、山、漁村の生産性向上を遅らせていることは明らかだ

 自民党も参院選の大敗を受けて、地方格差の見直しを考えているようだが、民主党有利な今は、従来政策のぶり返しの可能性が高い。

*****************************************
  農村改革、企業参入とその問題点
*****************************************
 これに対して、読売新聞はその9月18日付の社説の、農地制度改革 生産性向上に欠かせぬ規模拡大
で基本的な提案をしている。

 その要旨は、
現在実施または実施の検討をされている
 耕作放棄地の増加→耕作に不利な地域の農地の借り入れ→優良農地でも賃借を可能にするため→20年間程度にわたって借りられる定期借地権制度を導入。
の他に、
1.耕作放棄地への固定資産税の優遇措置などを停止
2.農業分野での市場開放
3.企業による農地所有
を提案している。

 特に企業の農地所有については、
 問題は、諮問会議が提案しながら農水省が外した改革である。企業による農地所有を認めなかったことだ。所有権が企業に移れば、農業以外の用途に転用される恐れがある、というのが理由だ。
 農地の転用には厳しい規制がかかっている。違反企業には是正を命令し、それでも効果がない場合は、農地を買い戻せるようにしておけばよい。企業による農地の所有を認めるべきだ。
と主張している。

 私は、読売新聞の社説は全面的に賛成だ。

 然し、社説で論じられていないことが二つある。
 その一つは住民の意識、もう一つは農村で大きな力を持っている農協関連の団体の役割の問題だ。

 この種の問題については、何故か知らないがいつも日本のマスコミ、政治家、批評家が批判を避けて通ってきた。
 例えば
・教育改革→教師と日教組
・少子化→当事者の若者の意識、特に女性の意識
・農村の花嫁問題→同問題のテレビ放送には、肝心の農村の若い女性が殆ど登場しない

 新しい所では、
・社会保険庁→官僚の意識と官公労
 現在政府の官僚や市町村の職員の着服が問題になっているが、官僚組織のあり方、定年制度、彼らがどうして横領するようにモラルが低下したか、それに関わる自治労、官公労の関与など殆ど論議されない。
 この様な調子では日本の古くて新しい問題が何時までも解決されないのは当然だ。

 それで、地方都市に住む私が農村の問題に立ち入るのはおこがましいが素人考えを述べさせて頂きたい。

 基本的に農業参入の収益性などから、企業側にも問題があるかも知れないが、もし農村に工業技術などで生産性向上のノウハウを持つ全国規模の大企業が入ってきたら、次のように日本農業に大きな変化が生じるだろう。。

1.生産性が企業のノウハウで格段に向上する。
(1)農業の大規模の促進
(2)人員の合理化が進む
   ・農業と言う季節労働に従事する人員の有効活用
     九州から北海道にかけての出張が多くなる。
     農業生産だけでなくて本来の工業製品工場を地域に建設。
   ・人員の削減
   ・田植え機などの機材の有効活用
   ・農場の合理化が進む→生産性の低い農場の廃止(農水省の企業導入の理由)
2.自社開発の生産物が出来る。
3.商社と結んだ全国レベルの販売の強化、輸出の増加

[企業参入のメリット]
・(もと農村で働いていた)社員の収入の増加が期待できる。
・若者の離村の防止や、Uターンが促進する。
・所謂農村の花嫁問題が解決する。
・農村の収入が期待できる。
・政府の補助金の削減ができる。
・地方格差が減少する。

*****************************************
  農協とその関連団体
*****************************************

 上記の企業のやり方を考えると、地域に既に存在している、農協関連団体でもやろうと思えば出来ることばかりだ。

 然し私の印象によれば、自民党の大きな支持・圧力団体、お役所化した組織、国からの補助に頼りきっていた習性、農業技術の普及に力は入れてもそれは全て政府・地方の機関で開発した技術というやり方をしてきた農協がそれを受け入るかどうかだ。

 直ぐ考えられるのは、自民党の族議員を通じての政府への圧力をかけることだ。 
 農村に大きな同業の企業が入ってくれば、今までの農協のあり方が問われるし、企業との競争に晒され、その存亡にも関わることになるからだ。

 農水省が農村改革の企業の農地の所有を認めなかったこと、農業規模の拡大が進まないのは、農協の存在が大きいと思うのは私だけではないと思う。

 然し、世の趨勢としては、何時かは受け入れねばならない時期が来ると思う。

 農協の各団体は地域の事情に詳しく、地域の人達との人間関係もある。
 逆にそれが新しい企業としての足かせにもなるかも知れぬが、農協がその足かせを克服して、心機一転して、農協が自身で会社を設立出来れば、後に書く様に、地域との関わり合いから考えると、それに越したことはないと思うのだが。

*****************************************
  農村のコミュニティーの問題
*****************************************

 実は農協関連団体以上に難しいのは現在農村に生活してきた人達の問題だ。
市場中心主義経済と農村の活性化
でも書いたが、

 企業の参入には、
 若者の農村復帰、農村の活性化、過疎化の防止など多くのメリットがある一面、
・低い生産性ながらも一国一城の主だった農家の人達が、急にサラリーマン化して会社の幹部の言う通りにできるかなど気持ちの切り換えも時間がかかる、
・僻地の農家や、棚田で米を作っている農業を如何に合理化をするか、そしてそれが出来ない時は如何にフォローして行くか、、
・世の中の変化について行けない老人中心の農家をいかにケアをして行くか、

 
など農村の人達の持つ価値観やそのコミュニティーの大変化に地域の人や企業の人達が如何に対応するか、大企業の従業員と従来型農家の人達との収入格差の発生とそれに伴うトラブルの発生防止などの大きな問題も抱えている。

 農村に入って行く企業も従来の工場の建設と違って、最先端の技術を駆使した農業と、従来型の農業が混在する可能性が高い地域では、如何にして地域の人達と調和して行くか、如何に地域に貢献するか(手っとり早く言えば企業の利益の地域への還元)と言う今までに無い考え方や<やり方を考えねば、失敗に終わる可能性が高いだろう。

 しかしそうかといって農村の生産性の向上は地域にとっても、国にとっとも避けて通れない問題だ。

 農村の人々自身はは勿論だが、中央や地方の政府も、大企業も、都会に住む一般の人も農村の活性化に是非、本腰になって考えそして力を入れて貰いたいものだ。

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市場中心主義経済と農村の活性化

2007-08-27 12:38:15 | 農村問題

<<市場経済の意味すること>>
 市場経済について考えるに当たっての基本条件がある。
1.日本は市場経済によって今まで繁栄を維持してきたので、これを抜きにしては考えられない。

2.市場がグローバル化すれば、世界的に同一労働同一賃金になってくる。
 仮に日本で、時間当たり、100個の同一製品を同一の品質で生産をしている人が時給1000円を得ているとする。
 隣国の中国で仮に同じ条件で時給100円しか得てないとすれば、日本企業が従業員に支払っている時給を下げねば競争に勝てない。

 韓国が競争相手として現れた時は、同国の発展に伴って生活レベルが向上し、賃金も上がった。
 然も人口が少ないのと、もともとの賃金格差が少なかったので、両国の賃金が平均化が急速に進み、相変わらず強力な競争相手には違いないがバランスしてきた。

 中国の場合は、圧倒的な賃金格差、人口数の違いががあり、同国の生活程度が向上とともに賃金が上がり、日本の賃金とバランスするまでは(多分非常に)永い年月を要する。
 その間日本は同国の賃金が上がる前に日本の賃金を下げねば競争に勝てない。
それが低賃金のパートや派遣労働者の増加になり賃金格差、ワーキング・プアの言葉まで生まれてきた根本原因だ。

<<日本の貧乏化の対策>>
 だから真っ正直な首相がいたら今の状態では、ある程度の給料ダウン、消費の減少、日本の全体の貧乏化は避けられないことを日本人に告げるだろう。
 特に賃金については、同一賃金同一労働の原則から、正社員の給与ベースのダウンと、契約労働者のベースアップの必要性だ。

 当然国内の消費は減少する。
 それでも経済を発展しようとすれば、当然に残る道は昔ながらの輸出の拡大→賃金カットしか道はない。

 そう考えれば、政府首脳は日本人の持つ価値観の見直しを説くべきだ。
 例えば貧乏ながらも、一億、ほぼ同じレベルの意識を持った暮らし、公平、公正な社会の確立、文化の尊重などなど、そして今まで以上に社会福祉の充実、平和な社会の確立などだろう。

 勿論そんなことを言えば選挙に負けるのは、当然だから絶対に言わない。
 だから安倍さんは依然として、耳障りのよい経済発展を基本政策を国民に訴えている。

 その対策がパート、派遣労働者関係の諸法律の提出→企業で働く要員全体としてね賃金の削減と社会格差の発生と繋がっている。

 これに対する大企業の問題については、前にも何度か書いたので、今回は農村の問題について考えてみる。

<<農村の活性化>>
 バブル時代は大企業中心の発展で、それから得た税金を主に米生産の補助金の形で農村に与えてきた。

 私など若いころは、田んぼはれんげ草による土壌改善、麦と米の二毛作と殆ど遊ぶ暇なし、然も畦道には小豆を植えているのが常だった。

 それが政府の農村政策のお蔭で、いつの間にか、米専門の一毛作の田んぼが増え、休耕田の発生、草原化→農村の過疎化まで進んできた。

 詰まりただでさえ低かった農村の生産性が政府の補助金でますます落ちてしまったのだ

 一方農村の人達は、国際的に見て高い米価のお蔭と、都会への出稼ぎで、低い労働生産性にも関わらず、総中流意識をもって生活を送ることが出来た。

 ところがバブルが破裂と同じ頃の中国の政策転換に伴う発展速の影響で、国家の収入が減少し、補助金の支出による農村の生活の保障も困難になり、またそれがその生産性を却って下げている反省から、他の業種の改革に合わせて、農村の改革を考え出してきたのだ。

 その対策として補助金の大部分を大規模農家へ振り向けることになった。
 この方針は大枠では間違ってないと思う。
 例えば素人眼から見ても、年に僅かに数日しか使わない耕運機や田植機、稲刈り機などを農家ごとに保有するのは大きな眼で見れば、明らかに不合理で不経済だ。

 しかし、この荒っぽい政策のお蔭で多くの農家が政府から見捨てられたと思った所に、民主党が昔ながらのばら蒔き政策を出したのが、今回の自民党大敗の一因となった。

 一口に生産性向上といっても、これに大きな解決すべき問題を含んでいる。
・低い生産性ながらも一国一城の主だった農家の人達が、急にサラリーマン化して会社の幹部の言う通りにできるかなど気持ちの切り換えも時間がかかる。
・これからは具体的に如何に生産性を挙げるか、その為に製造業で成果を挙げている管理手法や改善活動などのノウハウを如何に導入するか。
僻地の農家や、棚田で米を作っている農業を如何に合理化をするか
・世の中の変化について行けない老人中心の農家をいかにケアをして行くか。
・米以外の作物の選定。

 農村の生産性向上については明るい未来がある。
若者の農村復帰
農村の活性化
・過疎化の防止などなど。

 農村の人々は勿論だが、政府も、大企業も、都会に住む一般の人も農村の活性化に是非本腰になって力を入れて貰いたいものだ。


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農村の自立化への道

2007-01-18 23:18:48 | 農村問題

1月14日に登山したS岳へのアプローチの道の両側に拡がる、刈り取り後の田んぼを眺めながら二つの事を思い出していた。

<<昔の農村風景>>
戦後直ぐ阿蘇の根子岳から見た春の阿蘇の野。
菜種の黄色蓮華のピンクの碁盤目が外輪山に突き当たるまで拡がっている景色。
その頃は少なくとも九州では、稲の刈り入れが終わると、直ぐに麦の植えつけの準備に掛かり、その刈り入れが終われば、直ぐに田植えの準備にかかり、田が遊んでいる時間が殆どなかった。
その僅かの間または、麦を植えないところは、蓮華を植えて田んぼの地力の改善をしたり、菜種を植えて、油を取っていたものだ。

<<農村問題に対する朝日新聞の対応>>
戦後日米間の貿易摩擦が発生し、米国が貿易収支の改善のために、日本に農産物の輸入を迫った時の、朝日新聞の投書欄。
農民が工業製品の輸出のお蔭で、犠牲になっていると言う抗議の投書の山。
これはある意味では正しいかも知れないが、実は工業製品を輸出している会社からの税金の可なりの部分が食料生産補助に廻り、他国に比して高い米価を設定して貰っているお蔭で、日本の工業や他国の農業に比して低い労働生産性にも関わらず、相当程度の生活水準を維持していること周知の事実だった。
然し、これに反論する投書はなく、これに対する新聞社からの解説もないままだった。
実は私事だが、父の時から取っていた朝日新聞を止めたきっかけとなったのは、それまでの自社の主張に反する事実は極力載せない報道姿勢に頭に来ていたところへ、当時から企業を目の敵にしていた同社の投書の扱いだった事を今でも覚えている。
この朝日新聞の自分の主張に反する投書はほぼ絶対と言って良い程載せない伝統は今でも続いているようだ。

<<現在の農村を取り巻く状況>>
それでは事実を並べて考えてみよう。
(1)現在の田んぼは殆ど米だけした作っていないので年の半分は遊んだまま
(2)昔は、米と麦を作るほか、畦には大豆まで植えていた
(3)農林省発表の2010年度目標の重量ベースの品目別自給率 %
米 96(うち主食用 100)、小麦 12、大・裸麦 14、カンショ 97、ばれいしょ84、だいず 5
(4)米食の減少傾向
(5)将来を見据えたエタノール燃料の確保の必要性の増大
(6)農業への会社参入OK
(7)圧力団体化した農協を始めとする農業団体の存在
(8)それを支援団体とする自民党の政権が変わらない事
(9)農村の改革の遅れ
(10)農村の花嫁問題、過疎化、高齢化
この事実を見て何とかしなくてはと思う素人は私だけではないだろう。

農村の問題は色々論議尽くされているが、素人が考えても異常と思えるほどの、米生産への補助がその最大原因である事は間違いないだろう。
つまり有利な米だけをつくり、後は田んぼを遊ばせても、後は都会に出稼ぎに出た方が遥かに有利だからだ。
しかし、狭いに日本で、少ない自然資源である田、農産物生産の可能性がある田の稼働率を50%前後に置いて行くのは明らかに、勿体ない気がする

<<生産性向上精神に富んだ会社の参入>>
もし、優れた工業製品会社のように、生産性向上精神に富んだ会社が農業に参入すれば、多分、
1.田を今のように遊ばせるような会社は居ないだろう。
2.今、各戸で持っている農機具をもっと有効に使うだろう。
3.どうしても出てくる何らかの農閑期には、他の地域に派遣するとか、地域に作った農産物加工などの工場に従業員を回す等人をもっとうまく使うだろう。
4.農業技術開発は今のように公共機関だけに頼らず、自分でも開発に関わり、結果として今の工業技術のように、農業部門でも、世界に誇れる技術が生まれるだろう。
5.1~4のお蔭で農業の生産性が上がり、農業従事者の士気が上がり、補助金政策による今までの歪んだ状態も改善されて行くだろう。
6.成長して行く会社には若い人が戻り、農村の過疎化、高齢化から回復出来るだろう。花嫁問題ももちろん解決する筈だ。
7.補助金に頼らぬ農家、農村の自立化へ進み、補助金も減少出来るかもしれない。
思いつきだけでも、自民党の支援団体である農協などの票が減る可能性があるかもしれない他は、良い事だらけのような気がする。

これには在来型の農業を固守する人達や農協、弱いものの味方?の朝日新聞などから、クレームや批判が来るだろう。
それは、どのようにも対応出来るし、考えられる問題の防止策もあると思う。
それでもまだ問題点が出ると思うが、会社の参入の利点の方が余りにも大きいとおもう。
色々言うのなら、地もとの農家や農協自身でも会社を作れば良い。
但し競争原理を無くすような、独占企業化は国や、市町村側で禁止し、偏った保護政策を避けなければ、会社参入の効果は全くなくなるだろう。

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