初夏の陽気と三連休を頭に入れず、しかもクルマで出掛けたのが失敗。高速を使
わなかったのがもっと失敗。いつもの調子の土曜日という思い込がもっともっと
失敗でした。と反省をしつつこのブログを書いています。
法隆寺地域の仏教建造物として、現存する木造建築物としては世界最古の法隆寺
と現存する最古の三重塔のある法起寺が世界文化遺産に登録されているのはご承
知の通り。法輪寺や中宮寺は残念ながら仏教建造物としてその対象にはなってい
ませんが、登録地域は、周辺の緩衝地帯、斑鳩の里と呼ばれている地域が含まれ
るということです。
人とクルマでひっくり返っている法隆寺を横目に、法起寺、法輪寺の拝観者は数
えるほど、そのぶん両寺をジックリ拝観することが出来ました。
法起寺
郡山から斑鳩に向かうとまもなく左手に国宝三重塔が見えてきます。長閑な里と
は言い難い近頃のこの地に、古代の甍が立ち並んだ情景はなかなか想像しにくい
ものがあります。しかし法起寺はこの斑鳩の地に1400年近い連綿たる歴史を綴っ
て時代の変遷で栄枯盛衰を繰り返しながら今なお法灯を守っています。聖徳太子
一族の息吹が聞こえてきそうな、歴史や伝統といった精神的な価値観はやはり境
内に一歩足を踏み入れてこそ感じるものですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/81/45595f9abde6ce2f549428af68d131f7.jpg)
西門
今の出入り門です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/e3/e19dc1053c6cd73a305e6f2249d30244.jpg)
内側からの西門です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/82/7d3a6c6b383fa699fe13e905328a16d1.jpg)
南大門
お寺の正門は南大門、このお寺の南大門は何故かポツンと取り残された感が強く
大門とは名ばかりの佇まいです。建立年代は、江戸初期で再興時のものと云われ
ています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/84/f5e467f2e38037f19cbd391719c79b2f.jpg)
境内
小さな境内ですが、池の廻りや通路は、きちんと植裁されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/cf/7b48eb1aabe1ed5362f563e77aae69aa.jpg)
三重塔
現存する最古の国宝三重塔です。法起寺式伽藍配置は塔と金堂の位置が法隆寺と
は逆と発掘成果はは語っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/36/ab28c6bb17f74a600215f6397e77bc7d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/26/49e508e3b80298c08d4d527bcacb9b6a.jpg)
三重塔一層の内部です。四天柱と八角の心柱が見えています。中央に見える仏壇
は近世のものだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/e1aae36d49ed0c03365bbb74c0442b51.jpg)
本堂
旧講堂跡に建てられています。完全密閉で内部は窺い知ることは出来ません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/e2/f07839543fa0a2f67e2ea190ac3dee26.jpg)
承天堂
江戸後期の建立で、旧金堂跡に建てられています。ご本尊は歓喜天が安置されて
いるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/8f/5de811f3c30dc3be5d4a6a5924680bb5.jpg)
本堂隣の収蔵庫には十一面観音菩薩立像が安置されています。堂々の体躯の観音
像ですが、ガラス越しなのは欠点、周辺に安置されている仏像はほとんど見えま
せん。
法輪寺
法起寺から歩いても5分とかからない所に法輪寺は在ります。周辺を斑鳩の里と
称していますが、近年の変貌は急変で、カメラマンが撮る美しい斑鳩の里イメー
ジも次第に失われて行くのではないかと思ったりもします。
このお寺は法隆寺式伽藍配置でその規模は法隆寺西院伽藍の三分の二規模と云わ
れミニ法隆寺のイメージを感じることは出来ます。伽藍はすべて近世から現代の
再建で、寺歴で云う草創歴史を感じることは出来ませんが、草創時から伝わる仏
像群の素晴らしさは、伽藍の新しさなど一瞬にどこかへ行ってしまうほどです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/26/c37c3b62318e22ff7c09d149e07ade21.jpg)
南門と珍しい下馬石碑?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/95/6e7688100cb0ae3a6c6302f22729a8d8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/c5/04d2b50f01a8c5f0599d6402d6f5794e.jpg)
南門の法輪寺名入りの丸瓦。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/dd/86c7b270cda0bc82e90442bda9faf11a.jpg)
金堂
旧金堂跡に一回り小さく建てられているそうです。
特に興味を引くのは、このお堂の様式です。2層ですが非常にユニークな堂型を
見せています。1層が裳階なのか純粋の2層建てなのかよく判りません。バランス
的に上層がかなり小さいので安定感は抜群の伽藍です。ご本尊は薬師如来、今
こちらには居られません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/88/d6ac1192b0061d66f675eaec621e1acb.jpg)
三重塔
今ある三重塔は戦前、落雷のため焼失し昭和50年に再建されたものです。然し新
しいとはいえ、ベンガラ色が映える塔姿は、斑鳩三塔の魅力の一つとして見応え
があります。宮大工は薬師寺西塔の西岡常一棟梁です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/58/c52a292f4ea732bdf4f20b25567d1d8a.jpg)
収蔵庫(講堂)
旧講堂跡に建てられており、金堂ご本尊の薬師如来をはじめ壇上に七体の仏像が
安置されています。とにかく凄いとしかいいようのない仏像群です。
薬師如来と虚空蔵菩薩は飛鳥仏、止利仏師のにおいプンプンです。講堂の本
尊十一面観音菩薩は像高360cm、十一面観音の儀軌にそった姿で大迫力、平安中
期の作と云われています。三体とも後補の色鮮やかな板光背ですがチグハグ感は
全くありません。さながらステージ上のスターお披露目の華やかさのようです。
嬉しいのはステージ後ろに廻ることが出来、各お像の背面もジックリ見ることが
出来ます。
[ 仏像は在るべき所、それ相応のお堂の中に在るのが本来の姿、祈りや信仰の対
象として仏像は在るハズ ] の思いがあるので興奮の展示礼賛はこのくらいで。
鐘楼
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/1b/9e378c0a0e914dc93c9e4602fdf4aafc.jpg)
会津八一(秋艸道人)の歌碑
「くわんのん の しろき ひたひ に やうらくの かげ うごかして かぜ わたる みゆ」
十一面観音菩薩を詠んだ歌の歌碑です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/b7/c485054469f1ae49ee502332c8863218.jpg)
境内には椿が盛り、三重塔前には大きな桜がありますが、満開の頃には塔と桜、
さぞ映えることでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/51/275216f05731a96077d8e316fe84d766.jpg)
結局、法隆寺には寄りつくことすら出来ませんでした。斑鳩三塔巡りが、二塔に
なりましたが斑鳩の魅力の一端を改めて味わいました。いままで斑鳩は太子一族
の悲運の地としてどこか暗く、精神的悲哀感を受けるようで、他の寺院のように
頻繁に通うことはなかったのですが、認識を改める良い機会だっのかも知れませ
ん。
わなかったのがもっと失敗。いつもの調子の土曜日という思い込がもっともっと
失敗でした。と反省をしつつこのブログを書いています。
法隆寺地域の仏教建造物として、現存する木造建築物としては世界最古の法隆寺
と現存する最古の三重塔のある法起寺が世界文化遺産に登録されているのはご承
知の通り。法輪寺や中宮寺は残念ながら仏教建造物としてその対象にはなってい
ませんが、登録地域は、周辺の緩衝地帯、斑鳩の里と呼ばれている地域が含まれ
るということです。
人とクルマでひっくり返っている法隆寺を横目に、法起寺、法輪寺の拝観者は数
えるほど、そのぶん両寺をジックリ拝観することが出来ました。
法起寺
郡山から斑鳩に向かうとまもなく左手に国宝三重塔が見えてきます。長閑な里と
は言い難い近頃のこの地に、古代の甍が立ち並んだ情景はなかなか想像しにくい
ものがあります。しかし法起寺はこの斑鳩の地に1400年近い連綿たる歴史を綴っ
て時代の変遷で栄枯盛衰を繰り返しながら今なお法灯を守っています。聖徳太子
一族の息吹が聞こえてきそうな、歴史や伝統といった精神的な価値観はやはり境
内に一歩足を踏み入れてこそ感じるものですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/81/45595f9abde6ce2f549428af68d131f7.jpg)
西門
今の出入り門です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/e3/e19dc1053c6cd73a305e6f2249d30244.jpg)
内側からの西門です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/82/7d3a6c6b383fa699fe13e905328a16d1.jpg)
南大門
お寺の正門は南大門、このお寺の南大門は何故かポツンと取り残された感が強く
大門とは名ばかりの佇まいです。建立年代は、江戸初期で再興時のものと云われ
ています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/84/f5e467f2e38037f19cbd391719c79b2f.jpg)
境内
小さな境内ですが、池の廻りや通路は、きちんと植裁されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/cf/7b48eb1aabe1ed5362f563e77aae69aa.jpg)
三重塔
現存する最古の国宝三重塔です。法起寺式伽藍配置は塔と金堂の位置が法隆寺と
は逆と発掘成果はは語っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/36/ab28c6bb17f74a600215f6397e77bc7d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/26/49e508e3b80298c08d4d527bcacb9b6a.jpg)
三重塔一層の内部です。四天柱と八角の心柱が見えています。中央に見える仏壇
は近世のものだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/e1aae36d49ed0c03365bbb74c0442b51.jpg)
本堂
旧講堂跡に建てられています。完全密閉で内部は窺い知ることは出来ません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/e2/f07839543fa0a2f67e2ea190ac3dee26.jpg)
承天堂
江戸後期の建立で、旧金堂跡に建てられています。ご本尊は歓喜天が安置されて
いるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/8f/5de811f3c30dc3be5d4a6a5924680bb5.jpg)
本堂隣の収蔵庫には十一面観音菩薩立像が安置されています。堂々の体躯の観音
像ですが、ガラス越しなのは欠点、周辺に安置されている仏像はほとんど見えま
せん。
法輪寺
法起寺から歩いても5分とかからない所に法輪寺は在ります。周辺を斑鳩の里と
称していますが、近年の変貌は急変で、カメラマンが撮る美しい斑鳩の里イメー
ジも次第に失われて行くのではないかと思ったりもします。
このお寺は法隆寺式伽藍配置でその規模は法隆寺西院伽藍の三分の二規模と云わ
れミニ法隆寺のイメージを感じることは出来ます。伽藍はすべて近世から現代の
再建で、寺歴で云う草創歴史を感じることは出来ませんが、草創時から伝わる仏
像群の素晴らしさは、伽藍の新しさなど一瞬にどこかへ行ってしまうほどです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/26/c37c3b62318e22ff7c09d149e07ade21.jpg)
南門と珍しい下馬石碑?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/95/6e7688100cb0ae3a6c6302f22729a8d8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/c5/04d2b50f01a8c5f0599d6402d6f5794e.jpg)
南門の法輪寺名入りの丸瓦。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/dd/86c7b270cda0bc82e90442bda9faf11a.jpg)
金堂
旧金堂跡に一回り小さく建てられているそうです。
特に興味を引くのは、このお堂の様式です。2層ですが非常にユニークな堂型を
見せています。1層が裳階なのか純粋の2層建てなのかよく判りません。バランス
的に上層がかなり小さいので安定感は抜群の伽藍です。ご本尊は薬師如来、今
こちらには居られません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/88/d6ac1192b0061d66f675eaec621e1acb.jpg)
三重塔
今ある三重塔は戦前、落雷のため焼失し昭和50年に再建されたものです。然し新
しいとはいえ、ベンガラ色が映える塔姿は、斑鳩三塔の魅力の一つとして見応え
があります。宮大工は薬師寺西塔の西岡常一棟梁です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/58/c52a292f4ea732bdf4f20b25567d1d8a.jpg)
収蔵庫(講堂)
旧講堂跡に建てられており、金堂ご本尊の薬師如来をはじめ壇上に七体の仏像が
安置されています。とにかく凄いとしかいいようのない仏像群です。
薬師如来と虚空蔵菩薩は飛鳥仏、止利仏師のにおいプンプンです。講堂の本
尊十一面観音菩薩は像高360cm、十一面観音の儀軌にそった姿で大迫力、平安中
期の作と云われています。三体とも後補の色鮮やかな板光背ですがチグハグ感は
全くありません。さながらステージ上のスターお披露目の華やかさのようです。
嬉しいのはステージ後ろに廻ることが出来、各お像の背面もジックリ見ることが
出来ます。
[ 仏像は在るべき所、それ相応のお堂の中に在るのが本来の姿、祈りや信仰の対
象として仏像は在るハズ ] の思いがあるので興奮の展示礼賛はこのくらいで。
鐘楼
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/1b/9e378c0a0e914dc93c9e4602fdf4aafc.jpg)
会津八一(秋艸道人)の歌碑
「くわんのん の しろき ひたひ に やうらくの かげ うごかして かぜ わたる みゆ」
十一面観音菩薩を詠んだ歌の歌碑です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/b7/c485054469f1ae49ee502332c8863218.jpg)
境内には椿が盛り、三重塔前には大きな桜がありますが、満開の頃には塔と桜、
さぞ映えることでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/51/275216f05731a96077d8e316fe84d766.jpg)
結局、法隆寺には寄りつくことすら出来ませんでした。斑鳩三塔巡りが、二塔に
なりましたが斑鳩の魅力の一端を改めて味わいました。いままで斑鳩は太子一族
の悲運の地としてどこか暗く、精神的悲哀感を受けるようで、他の寺院のように
頻繁に通うことはなかったのですが、認識を改める良い機会だっのかも知れませ
ん。
ゆっくり拝見させていただきますね。
法輪寺、法起寺への感想は、全く同感です。
以前訪れたときのことを思い出して、深くうなづきながら拝読。
法輪寺の仏像群を絶賛していただいてうれしいです。
私の所有物ではないのですが、なんといいましょうか、我が子を褒めてもらったみたいで、手放しにうれしいです。
法輪寺での薬師如来と虚空蔵菩薩は久し振りに本物を観た思いでほんと感動でした。
ゆうこママさんの
「私の所有物ではないのですが、我が子を褒めてもらったみたいで、手放しにうれしいです」
のコメント、ユニークな表現に感服。相当な仏像ファンですネ。お寺の方に聞かせて上げたいくらいですよ。
まるささんの掲示板を拝見しましても、まるささんとゆうこママさん女性お二人の内容が実にいい。参加されている男性の方、頑張って下さいと云う思いで拝見しています。何と云っても女性は凄いですわ。