土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

石山寺、多宝塔の大日如来は快慶さん作、是非一見を。

2014年10月24日 | 滋賀の古寺巡り



(2014.10.18訪問)


岩間寺を下ること約十五分、西国三十三観音霊場十三番札所石山寺は琵琶湖瀬田川沿いにある大寺院です。
石山の名の通り硅灰岩の固まりの上に立つお寺です。お昼前に着いたのですが駐車場は満杯、門前のカフェ
の駐車場に止めてとりあえずお茶。「参拝だったらどうぞ」という訳で駐車代六百円タダ!
ルンルンで山門を潜ったのは云うまでもありません。


▼快慶さん渾身の作、多宝塔の大日如来坐像。




[ 石山寺 ]
●山号 石光山 (せっこうざん)
●寺号 石山寺 (いしやまでら)
●勅願 聖武天皇 (しょうむてんのう)
●開基 良弁上人 (ろうべんしょうにん)
●開創 天平十九年 (747年)
●宗派 東寺真言宗
●本尊 如意輪観音坐像 (秘仏)
▲拝観料500円 朱印300円 駐車場600円
▲拝観時間 8:00~16:30
▲西国三十三カ所観音霊場第十三番札所
▲http://www.ishiyamadera.or.jp/
▲滋賀県大津市石山寺1-1-1 Tel. 077-537-0013
▲JR西日本湖西線「石山駅」下車、京阪バス「石山寺山門前」下車スグ
 京阪電車浜大津で石山坂本線に乗り換「石山寺駅」下車徒歩10分


▼東大門 (重文)。
 三間一戸、十二脚門、入母屋造、本瓦葺。建久元年 (1190年) 建立。




石山寺縁起 (石山寺パンフより抄出)
東大寺大仏造立のための黄金不足を愁えた聖武天皇が、ここに伽藍を建て如意輪法を修すようにとの夢告を
受け、良弁僧正を開基とし本尊の秘仏如意輪観音像を祀って開かれた寺院。石山寺は奈良時代から観音霊地
とされ、平安時代観音信仰が盛んになると、朝廷や摂関貴族と結びついて高地位を占めるとともに、多くの
庶民の崇敬をも集めました。その後、源頼朝、足利尊氏、淀殿などの後援を受けるとともに、西国三十三所
観音霊場としての地位を確立しました。


         ▼寺標。





▼東大門仁王阿形さん。





▼吽形さん。





▼東大門から参道。





▼桜並木の参道。





▼手水舎。





▼この石段を上ると境内です。





▼観音堂。





▼三十三観音が整然と並んでいます。





▼毘沙門堂。桁裄三間、梁間二間、宝形造、桟瓦葺。安永二年(1773年) 建立。





▼主役兜跋毘沙門さん(重文)、左右に吉祥天さんと善賦師童子。





▼蓮如堂 (重文)。





▼御影堂 (重文)。桁裄三間、梁間三間、宝形造、檜皮葺。室町時代建立。
 檜皮の屋根は今カバーが掛っています。養生なんでしょうか。





▼御影堂須弥壇。
 石山寺の中興の祖と言われる菅原道真の孫で第三世座主淳祐 (890~953年) 像が祀られています。





▼奥が空海さん御影。





▼石山寺名称由来の硅灰岩 (天然記念物)。いたるところ顔を出しています。





▼本堂 (国宝)。入口です。





▼本堂。本尊如意輪観音坐像 (秘仏)。





▼下の道から懸け造りが精一杯。建物はどの位地からも全景が撮れない珍しいお寺です。





▼開基良弁さん坐像。脇堂に祀られています。東大寺の良弁さんとよく似ています。





▼鐘楼 (重文)。桁裄三間、梁間二間、重層袴越、入母屋造、檜皮葺。鎌倉後期建立。





▼ボチボチ赤味がさしてきました。





▼少し上った所からの硅灰岩。





▼経蔵 (重文)。桁裄三間、梁間二間、高床校倉造、切妻造、桟瓦葺。桃山時代建立。





▼多宝塔 (国宝)。建久五年 (1194年) 建立。年代の明らかなものとしては日本最古の建物。





▼本尊大日如来坐像 (重文)。像高102cm、寄せ木造。建久五年 (1194年) 像立。仏師快慶作。
 今日の訪問はこの大日さんに会いに来たようなものです。
 国宝指定にどういう基準があるのかボクは知りませんが、この像が何故該当しないのか不思議です。





         ▼多宝塔。





▼月見亭。桁裄一間、梁間一間、寄棟造、茅葺、袴越。四方下屋庇付、外壁は吹き放し、高欄付。保元年間
 (1156~58年)建立。貞保4年 (1687年) 再建。





▼心経堂。桁裄三間、梁間三間、宝形造、檜皮葺。般若心経写経を収めています。





▼本尊の如意輪観音半跏像。





▼光堂遠望。





▼光堂。懸造りの慰霊堂。桁行七間、梁間五間、入母屋造、本瓦葺、平成二十年 (2008年)復興再建。





▼山上付近の染まり具合。





         ▼牡丹園の中に源氏物語執筆中の紫式部さんが居てはります。





庭園無憂園へ下りてみます。
▼八大龍王社参道。





▼池の真ん中に社、龍神を祀っています。





         ▼甘露の滝。小さいながらも水量、音申し分なし。





▼庭園無憂園。今は無惨な感じ、黄菖蒲の頃のこの庭園見応えありますよ。





         ▼天狗杉。
          学僧朗澄律師ゆかりの杉。経典類を守るため死後鬼の姿で、
          この杉のテッペンに現われたと伝わります。





▼御朱印です。露出した硅灰岩に置いて撮ってみました。





今日のフロク。
▼比叡の山並みに抱かれ静かに滔々と流れる瀬田川。





観光寺院としてすべてを備えているお寺、広い境内ながら巡っていて疲れる事はありません。お寺好きには
ワンダーランド、楽しいお寺です。本堂の秘仏ご本尊如意輪観音さんはお厨子の中、しかし堂内は巡礼者、
参拝者で入れ替わり立ち替わり、大人気札所の証明なんでしょう。この時期、境内を彩る色気はありません
が、好シーズンの梅園、牡丹園に桜並木、全山覆う紅葉と境内の色景色は捨て難いものがありそうです。




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岩間寺、正式には岩間山正法寺、西国三十三観音霊場第十二番札所です。

2014年10月21日 | 滋賀の古寺巡り


(2014.10.18訪問)

またまた近江路を走っております。迷車大和路号、今日も快調。
標高443mの岩間山のテッペンに位置する岩間寺は、西国三十三観音霊場十二番札所です。山岳寺院の最た
るもので徒歩参拝となると、相当ハードな登山参拝を覚悟、往昔の人々はこういう困難な道のりを信仰心を
たよりに精一杯の巡礼をしたのでしょう。今ではクルマでスイスイ、隔世の感です。
朝九時頃お寺到着、さすがこの時刻、まだ巡礼の方はいません。朝の太陽思いのほか強く、鬱蒼の樹々を通
してこぼれる陽光に気分上々、森閑とした清涼感を十分に味わう上等の時間をいただきました。

▼本堂。




[ 岩間寺 ]
●山号 岩間山 (いわまさん)
●寺号 正法寺 (しょうほうじ) 通称 岩間寺 (いわまでら)
●勅願 伝 元正天皇 (げんしょうてんのう)
●開基 伝 泰澄 (たいちょう)
●開創 伝 養老六年 (722年)
●宗派 真言宗醍醐派
●本尊 千手観世院菩薩 (秘仏)
▲拝観料 300円 朱印300円 駐車場無料
▲拝観時間 9:00?16:30
▲西国三十三カ所観音霊場第十二番札所
▲http://www.iwama-dera.or.jp/
▲滋賀県大津市石山内畑町82 Tel. 077-534-2412
▲JR「石山駅」京阪電車「石山駅」より京阪バス52、53、54系統で「中千町」下車 徒歩約50分
 毎月17日縁日シャトルバスをご利用ください。
 京滋バイパス石山ICから約10分 名神瀬田西ICから約15分

▼参道。石灯籠がズラリ。




岩間寺縁起 (岩間寺HPより抄出)
養老六年加賀白山を開いた泰澄大師が元正天皇の三十三歳の大厄の病を法力により治した褒美として建立し
たことに始まる元正天皇の勅願寺院である。往昔は、後白河、後宇多、正親町天皇等、歴代天皇の尊崇厚く
熊野、吉野に並ぶ、日本三大霊場の一として隆盛していた。養老六年元正天皇の病気平癒祈願を成満した泰
澄は、加賀白山を開く途上、霊地を求め岩間山を訪れた折、桂の大樹より千手陀羅尼を感得し、その桂の木
で等身の千手観音像を刻み、元正天皇の御念持仏をその胎内に納め祀りご本尊とし当山を開創した。


         ▼寺標は札所が刻字。




境内口には仁王さんが守ってます。このお寺には山門がありません。
▼阿形さん。





▼吽形さん。





▼すこし行くと左手に大師堂。





▼大師堂扁額。





         ▼本尊はいうまでもなく、宗祖空海さん。





         ▼デッカイ銀杏のもとに稲妻龍神社。





▼火伏の銀杏という大銀杏です。樹高26.0m、幹周り3.68m、樹齢450年。





▼本堂前の手水舎。





▼本堂。





▼本堂正面、結構ゴチャゴチャしてますネ。ココで御朱印をいただきます。





▼「写真、外からやったらOKです」と云ってもらって撮つたのがこれ。言い訳はしません。
 お厨子内に秘仏ご本尊。写真はお前立ちの千手さん。右脇侍は婆蘇仙人、左吉祥天さん。
 この組み合わせサッパリ判りません。空海さん教えて下さい。





▼観音堂。





▼細長いお堂の中、三十三カ所札所のキンピカ観音さんが並んでいます。





▼これがカワズ飛び込んだ芭蕉池。





▼カワズ句碑。古池や 蛙とびこむ 水の音 芭蕉
 この句の池は各地に結構あるみたいですネ、マァ詮索はよしましょう。





▼非常に小さい池です。





▼池のとなりに不動堂。





▼不動堂扁額。





▼お厨子は閉まったまま、お不動さんは拝見出来ませんでした。





▼少し上った所、五社権現堂。





▼この五神をお祀りしています。





▼本堂前にご本尊出現の霊木大桂、この木はその子孫樹。
 開基泰澄大師が霊地を求め行脚中、岩間山中この大樹から千手陀羅尼経が聞こえた。そこで泰澄さんこの
 木をもって千手観音、吉祥天、婆蘇仙人を刻まれその胎内に、元正天皇念持仏を納め、本尊となし当山を
 開創したと寺伝は云ってるそうです。





▼護法龍王拝殿。岩間山中に鎮座する、九頭龍龍王、白龍龍王、七面弁財天を遥拝する拝殿。





▼三十三ヵ所霊場のお砂踏み場。立派な三十三観音石像が建ってます。





▼八大龍王堂。法華経に説かれる水を司る八龍王を祀っています。





▼路傍のお地蔵ちゃん。





         ▼ぼけ封じ観音。爺ちゃん、婆ちゃんの護り観音さん。





▼鐘楼。





▼御朱印です。





神仏習合の見本みたいなお寺です。とくに龍にまつわるお社がたくさん存在し、龍神信仰が盛んなようで開
基泰澄さんが白山龍神を感得された縁で観音菩薩と習合、このお寺の性格付けがなされたようです。
西国十二番霊場、これにてオシマイ。続いて十三番石山寺へGO!ですよ。

フロクと云っちゃなんですが……。
当初、岩間寺の奥之院鎮守社かと思ってました奥宮神社はお寺とは関係のない神社でした。
所在もこの神社は京都府宇治市になります。それでは少し怖い道を辿って奥宮神社へ行きましょう。


▼奥宮神社への道。道なき道風の参道。途中分かれ道、左上醍醐寺、右奥宮神社への道しるべ。





▼こんな山道が続くんです。この道、実は裏参道らしいのです。





▼一転、最高所に神社が現われます。





▼本殿です。祭神は大山津見命。





▼鈴を二打振り二拝二拍一拝。





▼神社の歴史は新しいものです。鎮座昭和四十六年。





▼岩間山最高所標高443mから琵琶湖の眺望。





▼コチラ大津市街の眺望。




岩間寺からの参道は、あまり人の通行は無いようで相当荒れています。山上から表参道は急ですが立派な石
段参道が続いていました。



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善水寺、感動の仏像オンパレード。

2014年10月17日 | 滋賀の古寺巡り



(2014.10.11訪問)


長寿寺の檜皮本堂に名残惜しみつつ、湖南三山最後の善水寺に向かいます。前の二寺とは少しばかり離れた
所、野洲川を渡り東へ岩根山の麓を回り込みながらクルマは上ってゆきます。駐車場は広くクルマは止まっ
ていません。いきなり入山受け付けがありお寺の雰囲気皆無。後でお聞きすると徒歩での参道は当然の事な
がらあり、仁王門趾も残り上り参道が本堂まで続いているそうでシマッタと思っても後の祭り、上り直すに
は気力体力ともに残念ながらです。よって山間寺院の参道雰囲気写真ありません。
しかし久々の感動が待ってました。


▼本堂。





[ 善水寺 ]
●山号 岩根山 (いわねさん)
●寺号 善水寺 (ぜんすいじ)
●勅願 伝元明天皇 (げんめいてんのう)
●開創 伝和銅年間 (708~715年)
●再興 最澄 (さいちょう)
●宗派 天台宗
●本尊 薬師如来坐像 (秘仏)
▲拝観料 500円 朱印300円 駐車場無料
▲拝観時間 9:00~16:00
▲http://www.zensuiji.jp/ 
▲湖南三山の一
▲滋賀県湖南市岩根3518 Tel. 0748-72-3730
▲JR草津線甲西駅下車、湖南市巡回バス下田行き「岩根」下車徒歩10分
 
 JR草津線三雲駅下車タクシー15分


         ▼寺標。




善水寺縁起 (善水寺HPより抄出)
奈良時代和銅年間元明天皇勅命により鎮護国家の道場として草創され和銅寺と号した。延暦年間、傳教大師
最澄上人、比叡山開創の堂舎建立の用材を甲賀の地に求め、材を野洲川河岸に筏を組み流す時、日照り続き
で河水少なく材が流れない。大師請雨祈祷し、岩根山中より一筋の光が射し、誘われるまま登られた。山中
堂東側に百伝池あり、池中より薬師仏出現、その薬師仏を本尊として請雨祈祷七日間、満願日大雨降り、流
勢大いなるまま、材は川を下り琵琶湖対岸比叡の麓に着岸したと云う。その後、都で桓武天皇御悩の際、大
師は霊仏出現の池水を薬師仏の宝前にて病気平癒祈祷、秘法修すること七日間、満行の日霊水を天皇に献上、
御悩忽ち平癒された。この縁に依り岩根山善水寺の寺号を賜わったという。



▼元三大師堂。本尊 元三慈恵大師良源像。
 三間四方、宝形造、桟瓦葺、正徳三年 (1713年) 再建。





▼元三大師堂扁額。





▼須弥壇お厨子に元三大師のお顔がチラッと。





         ▼石造法華塔。





▼鐘楼。寛文三年 (1663年) 建立。





▼本堂 (国宝)。本尊 薬師如来坐像 (重文) 
 桁行七間、梁間五間、入母屋造、檜皮葺。南北朝貞治五年 (1366年) 再建。





▼本堂扁額。





▼正面中央一間開き戸、周囲は内開き格子蔀戸、向拝なし。





▼超豪勢で豪華な内陣須弥壇。(写真は善水寺HPからお借りしました)
 中央お厨子に秘仏本尊薬師如来 (重文)。上段左右に梵天 (重文)、帝釈天 (重文)。中段左右に四天王 (重文)、
 下段左右に十二神将が祀られさながら仏像オンパレード。これで日光、月光菩薩がいらっしゃり、お厨子
 が開いていれば文句なし、なんですがネ。
 後堂にも兜跋毘沙門天 (重文)、不動明王 (重文) をはじめ諸像が安置されています。総勢三十余躯、失礼な
 がらこの山間地で、湖南三山最高のページェントに出会い、これだけの仏を目にした幸運に感謝。写真が
 ないのはなんとしても残念!





▼本堂東側、最澄さん縁の百伝池。古来、ももつての池と云うそうです。池を中心に池泉回遊式庭園です。





▼少し上から見ます。





         ▼善水という霊水。





         ▼善水由来の碑が建てられています。





         ▼本堂西側小庭園になんとも云い難い石灯籠が。
          笠がユニークですネ、自然石です。





▼石蕗が咲き出しました。





境内上の方へ行ってみましょう。
▼六所権現参道。





▼六所権現。善水寺の鎮守社。
 伊勢、春日、八幡、賀茂、熱田、鹿島、の六所の神々を奉安。





▼役行者を祀る行者堂。前方には護摩壇が設えてあります。





▼境内最高所の法面に羊歯がビッシリ。





境内下の方へ行ってみましょう。
▼地蔵堂。





▼お地蔵さんがギッシリ。





▼観音堂。本尊聖観世音菩薩坐像。元禄九年(1696年)建立。





         ▼本尊聖観世音菩薩坐像。宝冠がえも知れぬ独特のかたち、漆箔が
          キレイに残ってまいます。丈六坐像で平安期作。





▼観音堂東にある、東西6m、南北5.5m、高さ8.2mの巨岩。
 北面上に不動明王が彫られているそうですが発見出来ませんでした。





▼御朱印です。





ご住職の案内で本堂と数ある仏像を巡り、懇切丁寧な説明、ドがつく素人参拝者の知ったかぶり質問などに
も丁寧な応対、三十分ほどお話しさせていただきました。お寺に取ってはありがた迷惑でしょうが、参拝者
がいない時の訪問はこういうメリットがあります。           ありがとうございました。合掌。

近江の奥深さは湖水あり、平野から山麓、山間と変化に富んだ地形を持ち、あらゆる所に古刹や神社が残り
甍を競う、古来からの神信仰と神仏習合の最たる天台を中心にした仏教文化が広く深く浸透し、仏教文化の
特色がその地域の民衆性とその地域特色とが融和しながら独特の宗教観が育まれてきた、少し前から近江の
お寺(訪ねたお寺は少ないですが)を歩いていて、いかに民衆の神仏への帰依が深いか、色々お話を伺いな
がら外面的ではあるけれども感じた今回の湖南三山巡りでありました。



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長寿寺、とびきりの本堂が待ってます。

2014年10月15日 | 滋賀の古寺巡り



(2014.10.11訪問)

つづいて常楽寺からクルマで五~六分、湖南三山の一つ長寿寺を訪ねます。名前がいいじゃないですか、先
週は長命寺で今日は長寿寺、それなりの齢を重ねると「長命」に「長寿」とは目出たい限り、それなりに気
になり、子宝、安産、長寿のご利益をくださるお寺、長寿寺を訪ねてみましょう。
子宝 安産? ひたすら「長寿&長寿」をお願いしましょう。面白いお母さんが案内してくれました。


▼檜皮葺の堂々とした本堂でしょ。




[ 長寿寺 ]
●山号 阿星山 (あぼしさん)
●寺号 長寿寺 (ちょうじゅじ) 別称 東寺 (ひがしでら)
●勅願 伝聖武天皇 (しょうむてんのう)
●開基 伝良弁僧正 (ろうべんそうじょう)
●開創 天平年間(72年~)
●宗派 天台宗
●本尊 地蔵菩薩立像 (秘仏)
▲拝観料 500円 朱印300円 駐車場無料
▲拝観時間 9:00~16:00 
▲湖南三山の一
▲滋賀県湖南市東寺5-1-11 Tel. 0748-77-3813
▲JR草津線「石部」駅下車 市バス 約16分 「長寿寺」下車スグ
 JR草津線「石部」駅下車、 タクシー約7分
 名神栗東ICより約8キロ、約15分



         ▼立派な寺標。





長寿寺縁起 (長寿寺パンフより抄出)
寺伝では天平年間、聖武天皇勅で良弁僧正により紫香楽宮の鬼門封じの長寿寺を開基。皇女生誕にちなみ子
安地蔵を行基に刻させ本尊とし皇女長寿を願い長寿寺の寺号を勅した。長寿寺と先の常楽寺は位置関係から
それぞれ東寺、西寺と呼ばれその後、阿星山麓には「阿星山五千坊」と呼ばれる天台仏教圏を形成。かつて
は壮大な寺観を誇ったが、織田信長により三重塔は安土城に、楼門は今は無い蓮台寺へと主要建物を失い現
在に至っている。


▼瀟洒な檜皮葺の山門。
 内側の檜皮がきれいに葺直され、外は朽ちかけ。お寺のお母さん曰く「お金ないので内側だけにしたんよ」
 普通外を先にしません?





▼山号が書かれた扁額。外側は扁額だけ新調。





▼参道。奥に見えるのは本堂です。





         ▼参道右に巨木と木漏れ日の中、いささか変な石造多宝塔。
          聖武天皇供養塔で鎌倉期建立。





▼檜皮葺のやや細身の鐘楼。





▼ちょっと淋しげに秋明菊が二輪だけ。ピントも淋しげで。





▼手水舎。桟瓦の屋根が重そう、細身の柱が必死に屋根を支えています。





▼本堂 (国宝)。桁行五間、梁間五間、檜皮葺、寄棟造、三間向拝付。平安期再建。
 圧倒的な存在感で、檜皮屋根の張り出しが軒を深くし、三間向拝が美しい屋根の変化を強調しているよう
 です。本尊子安地蔵尊立像は秘仏でお厨子の中。お厨子は春日厨子型で国宝です。お釈迦さんと阿弥陀さ
 んが両脇を固めています。後堂にも数体の仏像が控えています。
 入堂するとさっそくお母さんが「お地蔵さんは秘仏で見れません、この写真がそうです」と相当古い写真
 を見せてくれました。はっきり言って古すぎてよく判りません。





▼山号が書かれた扁額。ほとんど読めません。





▼本堂脇に一株だけのフジバカマ。





▼小さな放生池の中之島に建つ弁天堂 (重文)。
 桁行一間、梁間一間、檜皮葺、入母屋造、正面唐破風付。室町中期文明十六年 (1484年) 建立。





▼収蔵庫にはデッカイ阿弥陀さんが。





    ▼阿弥陀如来坐像 (重文)。像高285.5cm、丈六坐像、寄木造り。平安初期藤原時代の作。
     全身金箔が見事に残り、堂々たる体躯。お顔はお餅風、半眼でやや幼い印象かな。
     この阿弥陀さん、いったい何処におられたんだろう。





▼本堂左手いくらか上った所に、三重塔の礎石が一つぽつんと、これも信長のイジメの涙あとでしょうか。





▼長寿寺鎮守の白山神社の参道がお寺参道と並んでます。





▼鳥居を潜り参道を行きます。





▼参道を行くと三面格子の拝殿 (重文)。三間四方の檜皮葺。室町後期の建築。
 普通は柱間開放が多い中、格子囲いは珍しい例だそうです。





▼本殿。主祭神 白山比咩神 (しらやまひめのかみ)。石垣に石段、立派な本殿です。





▼御朱印です。





決して広くない境内に、今あるお堂は本堂と弁天堂だけ。しかし檜皮本堂の存在感はとびきりです。湖国の
いわば辺鄙な山里にありながら、創建当初の強大な寺勢の隆盛と衰退をこの本堂が総身で受け、今ボク達に
天台の息吹を伝えている。そんな気がします。

参拝の後、案内してくれたお母さん、不満と喜びを語ってくれました。
天台イジメの信長に、
「常楽寺の三重塔は残して、うちの三重塔を持っていったんよ」
「あんな見晴らしのええとこに建ってたのに」「礎石見てくれた、たったあれだけ残して、ヒドイでしょ」

そして、
「お寺はお金がないのよ、あの山門見て、内側だけ檜皮を葺き直したんよ」
「裏山の木も安い外国の木に負けて売れへんの」
「うちは、檀家もお墓もないの、けど近隣の方達が色々助けてくれて嬉しいわ」

さいごに、
「湖南市が長寿寺、常楽寺、善水寺を湖南三山としてPRしてくれたお陰で、お客さんが思い切り増えてあり
 がたいわ」
正直なお母さんでした。

お母さん、コーヒーごちそうさま。お母さんのキャラで湖南三山を盛り上げてネ、応援してまーす。

それでは湖南三山最後のお寺、善水寺に向かいましょう。大和路号快調で~す。



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常楽寺、湖南三山を初めて訪ねます。

2014年10月14日 | 滋賀の古寺巡り



(2014.10.11訪問)


巨大台風19号射程中、迷車大和路号は今週も近江路を軽快に走っています。湖南地方と云ってもやや内側、
山間を走るので山道細道が続きます。今日は初の湖南三山を訪ねます。湖南市にある常楽寺、長寿寺、善水
寺を湖南三山と称し、いずれも国宝に指定された本堂を持ち、仏像の宝庫、そして紅葉で有名なのが共通点
だそう。先ずは常楽寺へ。今日も大和路号快調です。


▼木立隠れの本堂。




[ 常楽寺 ]
●山号 阿星山 (あぼしさん)
●寺号 常楽寺 (じょうらくじ)
●勅願 伝聖武天皇 (しょうむてんのう)
●開基 伝良弁僧正 (ろうべんそうじょう)
●開創 和銅年間(708~715年)
●宗派 天台宗
●本尊 千手観世音菩薩立像 (秘仏)
▲拝観料 500円 朱印300円 駐車場無料
▲拝観時間 10:00~15:00 拝観は事前予約制
▲湖南三山の一
▲滋賀県湖南市西寺6-5-1 Tel. 0748-77-3089
▲JR草津線「石部」駅下車 4キロ、タクシー約7分
 名神栗東ICより約8キロ、約15分


         ▼寺標。




常楽寺縁起 (常楽寺パンフより抄出)
聖武天皇の勅願により東大寺開山、良弁僧正が、甲賀に造営された紫香楽宮の鬼門封じの為に開いたとされ
る。元々常楽寺は、南都六宗の法相宗寺院であったが、延暦年間、延暦寺の末寺へと組み込まれ、天台宗に
改められたと云う。その後火災で全焼したが延文五年再興された。

疑問が一つ。
鬼門は北東のはず、常楽寺は紫香楽宮の北西に位置、これで鬼門封じになるの?
どなたか教えてくれませんか。


▼鐘楼。





         ▼本堂前の石灯籠 (重文)。応永十三年(1406年) の銘あり。





▼本堂 (国宝)。桁行七間、梁間六間、入母屋造、檜皮葺、三間向拝付。延文五年(1360年) 再建。
 琵琶湖東岸の天台古寺には檜皮の屋根が多く、このお寺もそうで、古刹然とした貫禄を感じます。



 本尊は千手観世音菩薩立像で秘仏、お厨子の奥深く祀られ、お厨子左右に二十八部衆が並んでいます。
 小粒ながら中々のショーを見せてくれてます。文字で書いても写真がなけりゃ説得力ありませんネ。



▼本堂扁額。寺号が書かれています。





▼本堂から境内。ボツボツ染まりだしましたが錦秋近江路のあの人出を想うと……。





         ▼本堂越しに三重塔。





         ▼三重塔 (国宝)。
          塔高22.8m、本瓦葺、四方三間。室町時代の応永七年 (1400年) 再建。
          実に堂々流麗の姿、近江路では最大の三重塔らしいです。





▼組み物の美。二層目、三層目の組み物を見て下さい、芸術を越えてもう神業、凄い寺大工がいたもんです。





▼木立向こうに三重塔。





▼小さな楓がはや、主張してます。





▼ヤバい行者堂。お堂身ごろが右に捩れ、屋根は左へ、震度実験のようですね。
 お堂の中は空っぽ、役行者像は現在行方知れず、早い話が盗難中。





▼普賢堂。





▼薬師堂。





         ▼本尊 薬師如来。新しいもので信楽焼き薬師さんだそうですヨ。





▼階段状に積まれた石仏群。





▼本堂裏山を巻くように西国観音巡礼の散策道。三十三の観音さんが待ってます。





▼最終三十三番札所華厳寺の観音さん。





         ▼最後にもう一度三重塔。





▼御朱印です。




近江路もいよいよ楓が染まりだし秋本番が近づいています。秋はもみじの唐錦、とりどりの赤や橙、黄が織
りなす錦秋の美しき織物がもうすぐ織り上がるのでしょう。愛でる人もワンサカでしょうネ。
早く冬が来ないかなァ。

十九号が列島暴れまわっていますが皆様の方、被害はなかったでしょうか。お見舞い申します。
先ほど我が家に近い大阪岸和田市付近に再上陸しました。



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