土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

出色の阿弥陀三尊、長岳寺を訪ねました。

2010年02月23日 | 奈良の古寺巡り
弘法大師が創建されたとする、高野山真言宗のお寺長岳寺を訪ねました。山辺の道
の半ばに在るこのお寺はツツジの寺としてもシーズンになれば大賑わいの花の寺で
もあります。この日(2月20日)は、好天に恵まれ山辺の道を歩くハイカーが幾人
も訪れていました。久しぶりに境内を歩き巡り、改めて石塔、石仏、歌碑の多く残
るお寺だと感心しました。

大門から続く参道
この参道両側に花のシーズンは平戸ツツジが満開、一見の価値在りますよ。




鐘楼門
弘法大師創建以来、ずーとここに建つ鐘楼門。長岳寺の顔ともいえる楼門です。


本堂
堂内に入れて戴き、阿弥陀三尊に拝しました。
阿弥陀如来を中心に向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩。三尊は、須弥壇奥の一
段高い位置に個室を与えられ通常の三尊の並びとはイメージが違います。阿弥陀如
来は結跏趺坐、各菩薩は半伽椅座で坐して、観音菩薩は蓮華坐から左脚を垂らし、
勢至菩薩は右足を垂らしているのが特徴の椅座です。この三尊はなんと云っても玉
眼使用の最古の仏像と云われているそうです。乏しい光の中で、双眼鏡で覗くと、
水晶と黒曜石(と云われています。)使用で、生きたお顔としてリアル感ありあり
です。時代差があるのかは分かりませんが光背も美しい華の連結紋で見応えがあり
ます。




本堂横の練塔
由緒は分かりません。


放生池の鯉
さすがお寺の鯉です、悠然と泳いでいました。


拝堂
後ろにちょろっと見えるのが太子堂。拝堂を通して手を合わすことになります。


鐘楼
長岳寺では鐘堂と呼んでいるそうです。


長岳寺へんろ路
八十八か所石棺佛巡りはここから。


大石棺佛
へんろ路を少し登ったところに2mほどの石仏があります。如来形の弥勒菩薩です。


石棺佛
石棺の中に可愛い地蔵菩薩が祀られています。八十八か所石棺佛巡りの初めです。


石仏
いたる所で石仏や歌碑に出会います。








今盛りの花、黄水仙と椿。




地蔵院
唯一の頭塔、旧地蔵院。今は庫裏として使われ、そうめんや抹茶など戴けます。


五智堂
心柱上部に四如来の梵字額があり心柱とで五智如来をあらわしているそうです。
お寺から約1kmほど西、国道169号を渡ると間もなくこのお堂が建っています。
なぜこんな所に…。盛寺の頃の境内の広さが偲ばれます。一般に傘堂といわれてい
るそうで、そんな感じがします。





春の音、すぐそこまで。

2010年02月19日 | 花巡り
ひと月ぶりの大阪城梅林です。春ウララのこの日、大勢のカメラマンが大勢の人
の中でパチパチやってました。お年寄りや愛好者の方にとってはた迷惑な事でし
ょうネ。ボクも反省します。梅林はまだ3分~5分咲き位でしょうか。


大盃




月の桂


紅冬至


鈴鹿の関


鹿児島紅




月影


梅林から大阪城天守閣


道知辺




緑萼枝垂れ


舞扇


野梅


上からの梅林


付録です。梅にセキセイインコ。こっち向いてよとお願いしたんですが……。
どこから来たんでしょうね。(答え、ご年配の方が連れてました。)


海龍王寺から喜光寺、菅原天満宮を訪ねました。

2010年02月16日 | 奈良の古寺巡り
喜光寺
このお寺は僧行基が創建したと伝えられ、法相宗別格本山で、薬師寺現管主が住
職を務められています。薬師寺の匂いが感じられるお寺です。
阪奈道路沿いに在り、非常に立地は良いのですが、現在平成の南大門が建造中と
阪奈道路工事中とでこの菅原出口はややこしくなっています。
境内は新装南大門が完成に近づき、鮮やかな朱色と本堂の古色の取り合わせが際
だっています。

建造中の南大門。
この前をクルマがどんどん走っています。


本堂です。
東大寺大仏殿の参考になったという由緒があるお堂です。現在も「試みの大仏殿」
と呼ばれているそうです。


建造中の南大門からの本堂。


釈迦初転法輪像と仏足石
インドの仏跡に巡拝すると、あちらこちらで仏足石を拝見します。そのなかで最
も有名なもののひとつに、ブッダガヤの大塔のほとりに祀られた仏足石がありま
す。喜光寺境内にお祀りしている仏足石は山田法胤住職が 平成8年インド仏跡巡
拝の際、ブッダガヤの聖地にある仏足石を前正覚山の花こう岩に模写して請来し
たものです。(喜光寺HPから)


境内西に47体の石仏群。


弁天堂
こぢんまりとしたかわいいお堂です。ご神体は秘仏の宇賀神王。お厨子の前に非
常にかわいい弁天様がお立ちです。さしずめお前立仏でしょうか。




喜光寺は花のお寺で蓮で有名。今は鉢のみが並んでいるのみです。境内はさしず
め工事現場、お寺の方もいませんでしたので残念ながら本堂へも入れずご本尊に
も会えませんでした。

菅原天満宮
菅原の地は古代氏族土師氏の本貫地で、その流れをくむ菅原道真誕生の地とされ
ている所です。この菅原天満宮は祭神の一人菅原道真を祀る神社で三大天満宮の
一つと云われているそうです。菅原道真は悲劇に彩られた人物として今に伝わっ
ていますが、なんと云っても「東風吹かば…」の和歌と学問の神様としての道真
が有名。今境内では盆梅展が行われています。がまだまだ蕾み固しで梅の芳香は
もう少し先になるでしょう。

菅原天満宮の鳥居と門




菅原天満宮本殿




境内の盆梅展


道しるべ


雲龍梅



筆塚
古い筆を神社に納め、文筆の神、道真に感謝と精進を誓う塚。春分の日に筆祭り
が例祭としてあるそうです。


東大寺知足院から海龍王寺、喜光寺を訪ねました。

2010年02月15日 | 奈良の古寺巡り
大阪側から阪奈道路(タダのほう)で生駒を越え24号線手前に来るとすでにクル
マの列。11日から始まっている「しあわせ回廊なら瑠璃絵」の影響か。夜のイベ
ントにも関わらずかどうかわかりませんが昼間の奈良公園周辺もクルマがイッパ
イ。特にボクたち県外からの来訪者にとって道路工事ラッシュのための渋滞だら
け。平城京周辺の現状はイヤハヤの状態。イヤなら電車でどうぞでしょうけれど。
遷都1300年イベント大丈夫でしょうか?
と愚痴はこの辺で。
この日(2月13日)も「土曜日は古寺を歩こう」のマイポリシーで、東大寺でも
まだ訪ねたことのない知足院と雪柳のお寺海龍王寺、行基さん晩年のお寺喜光寺
を訪ねました。

知足院
東大寺塔頭、知足院を訪ねる気になったのは、「ナラノヤエザクラ」の原木があ
るというので一度は見ておこうと思ったからです。桜のシーズンにはまだまだの
今、余り意味があるとは思えませんが思い立ったらです。この桜は「ナラノヤエ
ザクラ」と云うれっきとした品種で、天然記念物だそうです。
著名な和歌「いにしえの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」この和歌
で詠まれている八重桜が「ナラノヤエザクラ」だと云われているようです。無人
の境内を探しましたが記念碑も「奈良の八重桜」も見付けることは出来ませんで
した。

山門
知足院は正倉院の東側の小道を北へ、春日奥山ドライブウエイ料金所の手前東側
に石段参道が見えます。




山門をくぐるとまた石段があり、本堂が見えます。築地塀の崩れ方がなんともい
えず雰囲気が出ていると云ったら失礼でしょうか。




本堂と境内
訪れる人もなく閑かな境内ですが、立派な本堂が建っています。ご本尊地蔵菩薩
立像で秘仏だそうでご本尊にまつわる有名な伝承があるそうです。




同じ東大寺でもメインエリアに較べ北端に位置しているからでしょうか、この辺
りは全く人の気配は有りません。桜の時もう一度「ナラノヤエザクラ」を見つけ
に来ようっと。

海龍王寺
春の雪柳満開時期には参道から境内を白色が埋め尽くします。凄い景観で何度か
訪ねているのですが、この時期は別のお寺に来たようです。今は小さな境内です
が、このお寺ほど天平有名人が登場するお寺も珍しいのでは。藤原不比等、光明
皇后、聖武天皇、僧玄坊や鎌倉時代の僧叡尊とそうそうたるメンバーが名を連ね
ています。お隣の法華寺との関わりも少なからずあるようで時代的にはこのお寺
の方が少々創建が遡るみたいです。

山門と参道と中門
道路に面した山門前は交通量が可成りのものです。レンタサイクルでしょうか門
前に止めてありました。






築地塀です。
時代を感ずる塀の切れ目から玄坊さんが、「ようお参りを」とスッと現れてくる
ような…。


本堂です。
この日は、ジックリとご本尊十一面観音菩薩に拝しました。鎌倉慶派仏師の作と
云いますが、さすが造像技術の確かさ、僅か1m足らずの像高ながらプロポーショ
ンや彩色、天衣や条はく、瓔珞や細かな部分の細工に高度なテクニックが窺え、
金泥が全身に施されて観音誓願が拝する人へビビット光が降り注ぐような感覚を
覚えます。お顔がサイコー。
お隣、法華寺の十一面観音菩薩に時代差があるにしても決して劣るところのない
お像でした。


西金堂です。
天平唯一のお堂、重要文化財のこのお堂には国宝の五重の小塔が置かれています。


経蔵です。
中興の祖、叡尊の建立といいます。


会津八一歌碑です。
しぐれのあめ いたくなふりそ こんだうの はしらのまそほ かべにながれむ
と詠まれています。

山岳寺院から斑鳩の地へ。

2010年02月10日 | 奈良の古寺巡り
吉田寺
千光寺から下り、国道168号を竜田川沿いに斑鳩の地にへと向かいます。目指す吉
田寺は交差する国道25号を左へ龍田神社の信号を右折すぐのところにあります。
吉田寺と云うよりは「ぽっくり寺」のほうがとおりがいいでしょう。ぽっくり往生
の寺として腰下の病に阿弥陀如来の功徳があり、年輩の方々の信仰を集めていると
云います。開山は恵心僧都源信で浄土宗のお寺です。境内はかなり狭く、本堂を中
心に多宝塔、鐘楼、庫裡と並んでいますがミニチュアジオラマの感じがします。参
道を含め境内は見事なほど清められ非常に綺麗です。この日は重要法要らしく本堂
から読経と説教の声が流れていました。

参道と山門
綺麗に刈り込まれた植裁の参道を20mぐらい進むと山門が在ります。法要のためか
張り幕がされています。




山門内から見た山門、竹林が綺麗です。


本堂
山門をくぐり参道を行くとすぐ左手に本堂が在りやはり張り幕がされています。
一般参拝はダメらしく、入堂できませんでした。
ご本尊は木造阿弥陀如来坐像(重要文化財)、丈六のお像でかなりの迫力と聞きま
すが、残念ながらお会いできませんでした。


多宝塔
奈良県下では一番の古さを誇っています。九輪、宝輪、組物、屋根の反り等すべて
のハーモニーが見事なプロポーションを生んでいます。
ご本尊は大日如来像で秘仏です。この2点の多宝塔は西側から見た写真です。




二層高欄の上組み物の間に変なもの?
蜂の巣です。重要文化財保護(蜂の巣ではありません、多宝塔のことですヨ)の観
点から取らないようにという町からのお達しらしいです。


鐘楼


鬼瓦
鐘楼の袴下に鬼瓦が数点置いてありました。


本堂前にある椿の大木、ぼつぼつほころび加減です。


山門前放生池畔に大きなもちの木が赤い実をわんさか付けていました。


不思議な石段
本堂前から南に立派な石段がありますがこれを下ると道が無くなります。不思議。


ここでもお寺ガイドを手にすることは出来ませんでした。一説には天智天皇の妹君
間人皇女(孝徳天皇皇后)の古墳がこの地にあり、天智天皇勅願の寺では、との説
もあるそうです。