土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

田辺大根で有名な「たなべのお不動さん」、法楽寺を訪ねました。

2010年10月28日 | 大阪の古寺巡り


(2010.10.27 訪問)
皆様、へんてこりんな気候にうんざりしていませんか。
もちろんしてますネ 普通の人は。
体調はいかがですか。
いいはずありませんワ。
今年は秋がありません。いきなり冬です。紅葉は冬の季語になるそうです。ウソ
ですヨ。

所用で阿倍野からの帰り、寒さにうんざりしながら、仕事もうんざりするほど暇
なんで、少し遠回りしようと、東住吉の「たなべのお不動さん」を訪ねました。
かなり遠回りです。そりゃそうです、反対方向です。

[ 法楽寺 ] ほうらくじ
山号 紫金山(しこんざん) 
院号 小松院
寺号 法楽寺  
宗派 真言宗泉涌寺(せんにゅうじ)派大本山 
本尊 不動明王像

法楽寺縁起
1178年、平清盛の嫡子平重盛の草創と伝えられるも、1571年織田信長の摂津
攻撃の戦火で焼かれ、1711年に本格的な復興がはかられたと伝えています。山門
と本堂は、宇陀松山藩織田家の寄進と伝えられています。信長嫡流のせめてもの
罪滅ぼしだったのでしょうか。
平重盛
神護寺に伝わる「似絵(にせえ)三幅の一つ、素晴らしい肖像画、伝平重盛像と
云われている、あの画のお方です。

●寺標石柱。



●山門。
宇陀松山藩織田家の寄進。時代は経ても美しい山門。



●山門から一直線に三重塔、その後ろ本堂。



●三重塔。
正式名 法楽寺平成の三重寳塔。
本尊 金剛界大日如来像、脇侍 不動明王立像、愛染明王坐像。
建立 1996年(平成八年)。
塔高 礎石上23.425m。









●三重塔に田辺大根。もちろん作り物です。
この地域のシンボルたなべ大根。江戸期は生産地だったと云いますが、今は大阪
市が地場伝統野菜として復興に力を入れているそうです。毎年十二月二十八日終
い不動で田辺大根を使った大根炊きが参拝者にふるまわれています。



●本堂。
宇陀松山藩織田家の寄進の大きなお堂です。外陣へ入堂させていただきましたが、
なにぶん奥行きが広く内陣須弥壇が暗くて見えませんでした。外陣内陣とも荘厳
は凄いものでした。



●地蔵菩薩像。



●大師堂。
本尊弘法大師空海さんを祀っています。



●鐘楼と梵鐘。





●境内一角に不動明王と制多迦童子、矜羯羅童子の石像が祀られています。



●鎮守のお稲荷さん。



●手水舎。



●大楠。
大阪府指定天然記念物 推定樹齢800年の大楠。



根元に二宮金次郎石像。昔小学校の片隅によく見かけましたね。
しかし、なぜお寺に二宮金次郎なんでしょう。



「分度推譲」二宮尊徳の言葉。
推譲は創業の道なり。分度は守成の道なり。推譲に因って興らざる者はあらず。
分度に因って保たざる者はあらず。

ウ~ン  ム・ツ・カ・シ・イ  !!


東大寺。戒壇院千手堂と指図堂を初めて拝観しました。

2010年10月20日 | 奈良の古寺巡り


(2010.10.16 訪問)
●大仏殿(金堂)。
光明皇后御遠忌法要終了後、大仏殿を久し振りゆっくりと探索。廬舎那仏以外の
仏像に今まであまり注視しなかったので脇侍や二天像の大きさを再認識した次第。

廬舎那仏。
横から見ました。光背の厚さどれくらいあると思います?



如意輪観音菩薩坐像。(重文)
廬舎那仏左脇侍(向って右)木造漆箔 江戸中期1738年完成。仏師は京仏師山本
順慶一門と大坂仏師椿井賢慶一門の共同造像と云われているそうです。



虚空蔵菩薩坐像。(重文)
廬舎那仏右脇侍(向って左)木造漆箔 江戸中期1752年完成。仏師は如意輪観音
菩薩坐像と同じ仏師グループと云います。



広目天。
四天王のお一人で西方守護神。木造彩色。江戸後期1799年完成。
像姿は右手に筆、左手に巻き物を持つ標準的な彫像。戒壇堂の広目天の静のイメ
ージはありませんが、彫りの高低差が大きく、薄暗いお堂の中で窓から射す僅か
なライトとシャドウのバランスが見事で迫力満点のお像だと思います。



多聞天。
北方守護神。木造彩色。江戸後期1800年完成。
大柄にも関わらず、広目天と同じく精巧な彫像技術が窺えます。帝釈天の眷属と
して阿修羅との激戦にはさぞ華々しい戦果をあげた豪快な戦士像を想像します。



四天王のうち、増長天、持国天は未完成。首の部分だけが残されているらしいの
ですが、お堂内におられたのかどうか?

●戒壇院 戒壇堂。
唐から渡来した鑑真さんが正式な授戒の場として戒壇院を建立。広大な境内には
講堂・僧坊・回廊など壮大な堂宇群が江戸時代までに3度火災で焼失、平家の南
都焼討や数度の兵火で今の姿になったと云います。超著名な四天王像はこのお堂
に祀られています。



●戒壇院 千手堂。
戒壇堂の西に千手堂は在ります。東大寺最西端に位置しているので或いはご存じ
ない方も多いのでは。このお堂も数度の被災で平成十四年六月復興再建されまし
た。初めて入堂しました。
本尊 十一面千手観音立像。像高74.2cm 木造。鎌倉後期。
このお像は、身近なところで海竜王寺の十一面観音立像を彷彿とさせます。いい
お顔で全身漆箔の剥落など殆ど感じられません。須弥壇中央黒漆お厨子に四天王
を従えて祀られています。須弥壇前の座からしばらく離れることが出来ませんで
した。
千手堂特別公開 10月15日(金)~10月31日(日)午前10時~午後4時



千手堂パンフレットです。写真中央が本尊十一面千手観音立像。



●指図堂。
指図堂は大仏殿の西隣に在ります。この地は平安期に創建された元中門堂の跡地
で、江戸中期大仏殿復興再建事業の時、この辺りに復興事務所として多くの勧進
堂宇が立ち並らんだと云います。大仏殿再建計画図面を掲示し指図するお堂とし
て建てられたそうで、この時に活躍したのが全国勧進や時の幕府との苦難な交渉
事をまとめた公慶上人なのです。上人は完成を見ずして亡くなりますが立派に再
興された大仏殿を彼岸からどんな思いで眺めていたのでしょう。
現在のお堂は、大仏殿復興再建時のものではありません。鎌倉復興の立て役者、
俊乗房重源さんと法然上人との関係でこの地が法然さん縁の地と云うことで江戸
後期、浄土宗徒が喜捨したものだそうで堂名だけが残っています。
本尊 法然上人絵図。



●指図堂偏額。
圓光大師霊場第十一番大勧進所と書かれています。
圓光大師が法然さんとは知りませんでした。お恥ずかしい。



指図堂パンフレットです。写真は法然上人像。



●俊乗堂。
江戸中期公慶さんが重源さんの遺徳を讃え建立。
堂内中央に「重源上人坐像」(国宝)が安置。7月5日 俊乗忌 12月16日良弁
忌に特別開扉されます。



●奈良太郎。(国宝)
日本三名鐘の一。 重量26.3トン。奈良時代
鐘楼は栄西禅師が鎌倉初期に再建。(国宝)



●二月堂(国宝)
ご存じお水取りのメイン堂宇。
本尊 二体の十一面観音菩薩像。誰が何と言おうと拝観出来ません。誰もが拝し
たことはないという幻のご本尊。



●三月堂(法華堂)(国宝)
正堂須弥壇と尊像は修復のためは入堂出来ません。拝観は礼堂からになり、デパ
ートショウウインドウのような感じで数尊のみ拝観です。日光月光両菩薩には会
えました。
本尊 不空羂索観音立像(国宝)



●四月堂(三昧堂)
本尊 千手観音坐像



●開山堂(良弁堂)(国宝)
12月16日良弁忌に特別開扉されます。
本尊 良弁僧正坐像(国宝)



大仏殿を除いて他のお堂は参拝の方も少なく、お寺の方にいろいろ説明をしてい
ただき結構な東大寺の一日でした。


東大寺。光明皇后千二百五十年御遠忌法要に参列させて戴きました。

2010年10月18日 | 奈良の古寺巡り


(2010.10.16 訪問)
聖武天皇の皇后光明皇后は聖武崩御四年後に六十歳で崩御。病者、貧者の救済に
慈悲を施したことはよく知られている事績です。今年は光明皇后千二百五十年御
遠忌にあたり、大仏殿でその法要が三日間に渡り厳修されました。
各日事細かな法要次第が組まれています。
十月十五日(金)開白 華厳宗東大寺厳修 金光明最勝王経講讃舞楽法要
十月十六日(土)中日 華厳宗東大寺厳修 華厳経講讃舞楽法要
十月十七日(日)結願 光明宗法華寺厳修 梵網経講讃舞楽法要
お寺の公式法要に参列させて戴くのは全く初めての経験で、ボクは十六日中日に
参列させて戴きました。

法要の合間にウオーの歓声、一瞬何かと思いました! 見えます? ごみではあり
ませんヨ、散華です。 だけど何処から吹き上げているのでしょう。



天皇殿を出立した行列が中門に向かいます。まさに粛々と進みます。







行列は中門から大仏殿前舞台へと進みます。



惣礼。
講師東大寺別当、北河原公敬大僧正。
讀師東大寺長老、守屋弘斎大僧正。



講師、讀師登高座。



参列者着席。



舞楽。
天平の舞と楽の調べ、古の格調にひたりたいところですが、ボクには舞楽知識は
ありません。全くの門外漢。雰囲気のみの臨場です。ショボン!







大仏殿の荘厳。






戴いた散華です。
画は小泉淳作画伯、題字は北河原公敬大僧正。





法要次第は一部しか撮れていません、もっとたくさんのシーンを紹介したかった
のですが厳粛で整然とした雰囲気の中でとてもそこまで撮る根性はありませんで
した。

薬師寺。白鳳の名塔はしばらく白鳳伽藍から姿を隠します。

2010年10月14日 | 奈良の古寺巡り


(2010.10.11 訪問)
連休最終の11日薬師寺を訪ねました。またも人出とクルマ予想大はずれ、よみが
相変わらず甘いですわ。
薬師寺では平成30年度まで本格的に解体修理に入る国宝の東塔初層が公開されて
います。相当な人気で東回廊が並ぶ人で埋まっています。なぁ~んだこれは…。
になるとも知らないで…。 ウソですよ。



11月以降覆屋に姿を隠す白鳳の名塔は平成30年までその姿を見ることは出来なく
なります。今のうちですよ、みなさん、名塔に会いに薬師寺へ行きましょう。

[ 薬師寺 ] やくしじ
寺号 薬師寺  
宗派 法相宗 大本山  
本尊 薬師如来坐像(国宝)脇持 日光・月光菩薩立像(国宝)

薬師寺縁起
白鳳時代、天武天皇が皇后(持統天皇)の病気平癒を祈願し、藤原京に創建。平
城遷都に伴い、養老2年に現在地に移されました。移座か新造か、史学界ではいま
も論争が続いているようです。薬師寺式伽藍配置と云われる独特の伽藍構成は、
金堂を中心に北の講堂から回廊がとりまき金堂前に東塔と西塔が配され、南の中
門に回廊が繋がる伽藍配置になっています。

●参道。
この日は本来の参拝順序に沿って、中門からの拝観コースをとりました。駐車場
から北へ参道が続きます。



●参道途中に在る休ガ丘八幡宮。
宇佐から勧請された薬師寺の鎮守社。国宝三神像が祀られていますが、もちろん
拝観不可です。



●南門手前に在る孫太郎稲荷神社。薬師寺の鎮守社。由緒はサッパリ…。



●南門。
小ぶりの四脚門。伽藍の正門南大門ではありません。南大門はもともと在ったの
かどうか不明です。白鳳伽藍への入山は左の脇口から入ります。



●中門。
昭和59年復元復興。
一応この門が正門と云うのでしょうか。五間間口の横に長い門です。



●仁王像。
中門の左右に睨みをきかせています。向って右阿形、左吽形像。平成三年復元さ
れた彩色晴れ晴れの仁王像です。



●金堂。
昭和51年復元再興。
本尊 薬師三尊 薬師如来坐像(国宝) 左脇侍 日光菩薩立像、右脇侍 月光菩薩
立像(国宝)。
いつ拝見してもこの三尊だけは、言葉に尽くせませんです。



●大講堂。
平成15年復元再興。
本尊 弥勒三尊 弥勒如来坐像(重文)左脇侍 法苑林菩薩立像、右脇侍 大妙相菩
薩立像(重文)。
講堂の背面(お寺では後堂「うしろどう」と云うそうですが)には仏足石をはさ
んで彫刻家、中村晋也さんの釈迦十大弟子像(平成十四年作)が祀られています。
釈迦哲学を消化した往時の精神性が、現代に蘇った感が強くその像形は、仏像表
現の新たな具現例ではないかと思います。





●大講堂と金堂の間の大空間。




●大講堂と北回廊。



●三重東塔。(国宝)
さていよいよ、「凍れる音楽」ですよ~。
白鳳時代の姿が今もそのままボク達が目にすることの出来る唯一の三重塔。凍れ
る音楽と讃えられた美しい塔も間もなく解体修理のため覆屋が建てられます。





●三重東塔の相輪。
著名な飛天は上部、水煙の透かしの中で飛んでいます。



●中門越しの三重東塔。



●三重西塔。
昭和56年復元復興。
初層が開扉されています。心柱三方に光り輝く如来三体が祀られています。
それにしても、このアングルセンス、ひどいもんですね~。



●三重西塔南面の釈迦如来。



●三重西塔北面の弥勒如来。



●東回廊。
平成7年復元再興。左側に東院堂が見えます。



●鐘楼。



●東院堂。(国宝)
観音菩薩像のスタンダードと云われて久しい聖観音菩薩立像が祀られているお堂
です。このお堂は、当初は南向きが西向きに変えられたお堂で鎌倉時代のもので
す。
本尊 聖観音菩薩立像(国宝) 須弥壇中央お厨子に、四方を四天王が守護してい
ます。



●聖観音立像。数年前に描いたペン画です。
お像は2mに満たない像高ですが、「端正で気品」とはこのお像のためにある言葉
と云っても言い過ぎではないでしょう。金堂日光、月光菩薩立像と比べるとポー
ズや動きにややかたさが見られるのは造像時期がいくらか早いのかも知れませんネ。



●不動堂。
白鳳伽藍西北隅に在り、お堂前庭に不動明王石仏が建てられています。石仏の前
が護摩を焚いた跡が在り護摩堂的性格のお堂でしょうか。
本尊 不動明王立像。



●ジャジャ~ン薬師号待機中!!



●興楽門。
白鳳伽藍の北門。近鉄西ノ京駅が近いので大半の参拝者はこちらから入山してい
るそうです。



●本坊山門。



●本坊境内。
ズ~と奥に玄奘三蔵院が見えます。



●慈恩殿。
玄奘三蔵の第一高弟、慈恩大師画像を祀るお堂。



●薄墨桜。
今頃桜と云われてもネェ~。



●名残の彼岸花と萩。
片隅のもっと片隅でそっと、けなげに咲いていました。



玄奘三蔵院伽藍へ向いましょう。

●玄奘三蔵院礼門。



●玄奘三蔵院玄奘塔。
玄奘三蔵院伽藍は平成3年新造建立。本尊は法相宗始祖、玄奘さんを祀っています。



●玄奘塔の宝珠。



●玄奘塔四方に敷かれた瓦タイル。設計者の感性スンバラシイと思いません?



参拝後、秋篠川畔を少し歩いてみました。
ここから見える東塔九輪もまたGOOD風情!!
写真があればVERY GOODなんですが。

カメくんが悠然と…。



薬師寺散策、お し ま い !