(2017.11.11訪問)
今年6月再建された食堂 (ショクドウではないですよ、ジキドウといいます) が7月1日から11月30日まで一般公開されている薬師寺
を訪ねました。食堂は僧侶の儀礼の場で寺院の主要な建物の一つだそうで、創建後何度かの焼失を繰り返し、1005年再建されるも、
再び失われその後ほぼ1000年ぶりに再建されたのが今回の食堂。内部は絵本尊で、4年がかりで完成された日本画家田渕俊夫さんの
「本尊阿弥陀三尊浄土図」「仏教伝来の道と薬師寺」と建築家伊藤豊雄さん設計の堂内デザインの拝見です。我が国トップのお二人
の仕事にワクワクします。
▼今日は南参道を行き南門からの参拝です。
[ 薬師寺 ]
●寺号 薬師寺(やくしじ)
●宗派 法相宗(ほっそうしゅう)大本山
●勅願 天武天皇(てんむてんのう)
●開創 天武天皇九年(680年)
●本尊 薬師三尊。
▲拝観 新食堂500円(要通常拝観料) 玄奘三蔵院公開時1100円 玄奘三蔵院非公開時800円 朱印300円 駐車場500円
▲時間 8:30~17:00
▲奈良市西ノ京町457 電話0742-33-6001
▲http://www.nara-yakushiji.com/
▲1998年「古都奈良の文化財」として世界遺産登録。
▲近鉄橿原線「西ノ京駅」下車徒歩3分
▼仲良く並ぶ南門前の世界遺産碑と寺号碑。
薬師寺縁起 (薬師寺パンフから抄出)
天武天皇により発願、天武天皇九年(680年)持統十年(697年)本尊開眼、、更に文武天皇の御代に至り、飛鳥の地において堂宇
の完成を見ました。その後和銅三年(710年)平城遷都に伴い現在地に移されたものです。享禄元年 (1528年) の兵火で東塔を除く
諸堂が灰燼に帰しました。昭和四十二年(1967年)高田好胤管主により白鳳伽藍復興の発願、写経勧進に寄って諸堂が、平成十五年
(2003年) 大講堂がさらに平成二十九年 (2017年) 食堂が復興再建され白鳳伽藍が甦りました。
▼中門。五間三戸、桁裄五間、梁間二間、切妻造、本瓦葺。両サイドに二天像を安置。昭和五十九年(1984年)復興再建。
中門越し左は西塔、右覆屋が現在補修修復中の東塔です。両脇間の二天像は正面向きではなく互いに向き合ってます。
▼右に阿形二天像。
▼左に吽形二天像。
▼中門を潜るとド~ンと白鳳伽藍の中心金堂です。
▼金堂。桁裄五間、梁間五間、入母屋造、本瓦葺。二重二閣の竜宮造り、各層に裳階付、初層の裳階は三間繰上げ式。
昭和五十一年 (1976年) 復興再建。
▼金堂前面の三間戸口。
▼金堂本尊薬師三尊の中尊、薬師如来坐像(国宝)。像高254.7cm、銅鋳造像。(以前堂外からの撮影です)
▼金堂左脇侍 (向かって右) 日光菩薩立像(国宝)。
像高317.3cm、銅鋳造像。(以前堂外からの撮影です)
▼右脇侍(向かって左)、月光菩薩立像(国宝)。
像高315.3cm、銅鋳造像。(以前堂外からの撮影です)
日本仏像史上最高の彫刻、おそらくこの三尊を越える仏像は存在しないでしょう。制作年代の定説は不詳と云いますが、約1300年
前にこの美仏を完成させた仏師がこの時代に確かにいたんです。実はもう一体それは後ほど。
▼金堂。この堂形、龍宮造りとは巧く云ったもんですネ。
▼凍れる音楽は平成三十二年修復修理が完了する予定、気長に待ちましょう。
▼白鳳伽藍で唯一の紅葉。
▼中門から見た西塔。
▼西塔。享禄元年(1528年)の兵火で焼失、昭和五十六年 (1981年) 453年ぶりに復興再建。
各層の下屋根は裳階で屋根の大小でリズム感を出していると云われているそうです。
▼西塔二層目の連子窓。
▼相輪。水煙の飛天の舞は東塔の飛天と対になってます。
▼西塔。
▼西回廊でご詠歌を詠う団体さん。
▼大講堂。
なんと左右41mある横長のお堂です。桁裄九間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺、下屋根は裳階。平成十五年(2003年)の再建。
奥行20m、高さ約17mの薬師寺伽藍最大の建造物です。これほど大きいのは南都仏教が教学を重んじ講堂に大勢の学僧が参集し
て経典を講讃したためだそうです。
▼今日は全戸口が開放されています。
▼本尊彌勒三尊(重文)。中尊像高約267cm。お顔は中尊彌勒如来坐像です。(以前堂外からの撮影です)
▼大講堂。
▼大講堂大屋根鴟尾の輝き。
▼
今日のメイン拝観、再建食堂です。
桁裄十一間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺。お堂外観デザインは変化のないシンプルな構成になってます。
▼お堂内部です。見て下さいこの豪華華麗斬新さを。写真は報道陣に公開されたときのものです。
中央に絵本尊「本尊阿弥陀三尊浄土図」壁面三方に「仏教伝来の道と薬師寺」
そして堂内デザインの斬新な事!建築家伊東豊雄さんデザイン。
画家田渕俊夫さんは「極楽というのを、仏画からも天井からも、ひとつの雰囲気をつくりたい」
天井を覆うのは、光を反射させる特別なパネルで阿弥陀如来の光に包まれた極楽浄土を表現しています。
建築家伊東豊雄さんは「阿弥陀如来は無限の光を与える仏様。光が広がって伝わっていく感じを表現したい」
それぞれのプロのお言葉です。(写真はネットから貰ってきました)
▼改めて絵本尊「本尊阿弥陀三尊浄土図」と天井の極楽浄土です。(写真はネットから貰ってきました)
▼食堂正面の扉。
▼食堂軒の垂木と組み物。二重垂木は□と○、凝ってますネ。
▼屋根四隅の風鎮。無風快晴ではないんです今日は。相当風が強いのですが、この風鎮我関せず?
▼こちらから入って向こうから出ます。
一見、二見いや三見の価値十分! 一般公開が今月末までなのでこりゃもう一度訪ねることになるでしょう。素晴らしい!
▼東回廊から東院堂へ行きます。
▼東院堂(国宝)。元明天皇の鎮魂を祈り建立。東廻廊の外側に建ってます。
桁裄七間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺。弘安八年(1285年)再建。
▼須弥壇と本尊お厨子。本尊左右に四天王が祀られています。(この写真は堂外からの撮影です)
▼本尊聖観音菩薩立像(国宝)。像高188.9cm、銅鋳造像。(この写真は堂外撮影の許可を戴きました)
金堂本尊薬師三尊に決して負けない美仏。直立不動でリズム感はやや固いのですが天衣、裙の裾のドレープの柔らかさは素晴らし
く単独仏としての威厳はこちらの方が圧倒的だとボクは思います。
▼聖観音のお顔。
▼境内北端の玄奘三蔵院へ向います。広い境内ですネ。玄奘三蔵院は今公開中で11月30日まで。
▼礼門。桁裄三間、梁間三間、切妻造、本瓦葺のシンプルな門で、境内は連子窓の回廊で囲まれています。
▼礼門前に建つ凝りに凝った石柱。
▼礼門の扁額。
▼玄奘塔です。法相宗祖である玄奘三蔵の遺骨を奉安し、須弥壇には玄奘三蔵像をお祀りしています。
▼玄奘塔の不東と書かれた扁額。
▼本尊玄奘三蔵像。
▼玄奘塔の宝珠。
▼玄奘塔四方に敷かれた好感性の瓦タイル。
▼玄奘三蔵院壁画殿です。
▼平山郁夫さんの「大唐西域壁画」が公開されています。申すまでもなく平山さん渾身の壮大なスケールのシルクロードが描かれて
いる壁画です。(写真はネットから貰ってきました)
▼御朱印です。
ナットクの薬師寺食堂の拝観でした。食堂内部はボクが知るお堂の雰囲気はありません。ようもまあこれだけ斬新なデザインを採用
したなと思うほど思い切った設えです。薬師寺さんの決断に拍手を贈りたいと思います。限定公開をナントカ通常公開にならんもん
でしょうか薬師寺さん。
これにて薬師寺 オ シ マ イ
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