土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

花の寺般若寺は、山吹の黄色が目に染みます。

2013年04月17日 | 奈良の古寺巡り


(2013.04.13訪問)

少し前、快慶さん面目躍如の安倍文殊院文珠さんが国宝指定されたニュース、ご存知の方も多いかと思いま
す。ここ般若寺にも文珠さんが居ます。こちらは重文で小さいお像ですが、小粒でもピリリのなかなかのお
姿、童子姿の赤面で不敵な面構え、智慧の固まりのような凛々しい表情は、快慶さんの整った美男文殊とは
また違った文珠さんです。お厨子真近でジックリと拝観でき、ご親切にLEDフラッシュライトも置かれてい
ます。

▼八重山吹と石仏。




[ 般若寺 ]
●山号 法性山 (ほうしょうざん)
●寺号 般若寺 (はんにゃじ)
●宗派 真言律宗 (しんごんりっしゅう)
●草創 伝高句麗僧 慧潅法師 (えかんほうし)
●開基 聖武天皇
●創建 天平七年 (735年)
●中興 叡尊 (えいそん)
●本尊 文殊菩薩騎獅像 (重文)
▲奈良県奈良市般若寺町221 電話/0742-22-6287
▲拝観料 500円 御朱印 300円
▲近鉄「奈良」駅から奈良交通青山住宅行きバスで「般若寺」下車徒歩3分  

般若寺縁起 (般若寺パンフより抄出)
創建事情や時期については正史に記載なく、創建についても諸説あり、正確なところは不明。
日本三論宗の初祖、高句麗の僧、慧潅法師がこの地に瑞祥を見て「般若台」と号する精舎を開創。
聖武天皇が平城京の鬼門鎮護のため紺紙金泥の大般若経六百巻を地中に納め、卒塔婆をはじめ伽藍を整え勅
願寺としそのとき経題に因み般若寺と命名。その後観賢僧正が学僧千人を集め学問寺の名声を高め、長らく
繁栄を誇ったという。平安後期平重衡の南都焼き討ちによりこの地は合戦場となり伽藍は焼亡、観良房良慧
上人の発願で西大寺の律僧たちの協力を得て金堂や講堂、三面僧房など七堂伽藍が復興。また同時に興正菩
薩叡尊上人が発願の丈六文殊像を開眼供養し中興を果たす。

▼楼門 (国宝)。重層、入母屋造、本瓦葺き、六脚門。鎌倉時代再興。楼門として日本最古。




▼楼門扁額。




▼楼門から境内。




▼花の寺と同時に石仏の寺般若寺、早速三十三観音のお出迎え。




▼鐘楼。元禄7年(1694年) 建立。




▼本堂。桁行五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺。寛文七年 (1667年) 再建。

 

本尊 文殊菩薩騎獅像 (重文)。 木造榧(かや)一木造、像高45.5cm。仏師 康俊、康成親子、造像元亨四年
(1324年)。仏師 康俊は運慶六代の孫と称しているそうです。
文珠さんは、赤面童子の姿で八つの髻を結んでキリリとした像形、胸飾や腕釧など細かな彫り出しで衣文に
は截金文様がハッキリ残っています。きれいな文珠さんです。 

▼本堂前の山吹。




▼名残の桜。




▼石仏。




▼石灯籠。般若寺型名灯籠。火袋には獅子、鳳凰などが彫られています。鎌倉後期の作。




▼石仏。




▼十三重石塔 (重文)。塔高1412cm。宋石工伊行末の代表作。般若寺信仰の中心としての存在感は凄い。
 相輪は新作、旧相輪は基壇南西隅に置かれています。伊行末は東大寺再建事業に参加した宋の石工。




▼十三重石塔のシルエット。




▼旧相輪と十三重石塔。

 


▼八重山吹。




▼一切経蔵 (重文)。桁行三間、梁間二間、切妻造、本瓦葺。鎌倉時代。


 
 元版一切経が収められています。南朝護良親王が置かれた唐櫃に隠れ難を逃れた伝承があります。唐櫃は
 本堂で見ることが出来ます。

▼護良親王供養塔。

 


▼岩上に建つ不動明王。




▼石仏。




▼名残の八重桜。




▼笠塔婆 (重文)。十三重石塔を建てた伊行末の息子伊行吉によって両親供養のため建立された石塔婆。




▼山吹。白がちょっと混ざっています。




▼庫裡門。時代がかった寺門らしい門です。




▼会津八一歌碑。



ならさかの いしのほとけの おとかひに
          こさめなかるる はるはきにけり

▼石仏と十三重石塔。




▼本堂。




▼山吹と十三重石塔。




▼御朱印です。




コスモス寺般若寺の今は、樹々叢林の若芽がそのグリーンパワーを競うように境内一面を生めようとしてい
ます。花の寺に相応しく、その若い緑の中に間もなく満開になる八重、一重の山吹の黄色が一斉に目覚め出
して目に染みます。境内は秋に備えてコスモスの苗床や畝がつくられ散策足場が決してよくないのがチョッ
ト残念ですが、青空に映える黄色はそれなりに花の寺を謳ってました。




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