土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

三尾高雄の神護寺は、空海さん真言宗立教の聖地です。

2011年09月13日 | 京都の古寺巡り


(2011.09.10訪問)

京の西北、周山街道沿いの三尾(さんび)三山を訪ねました。
真言宗祖弘法大師空海さんが唐帰朝後入山、十四年間住持し真言宗立教の基礎を
築いた名刹、そして錦秋の紅葉の名所今は青もみじの高雄神護寺を訪ねました。
空海さんの潅頂暦名(国宝)や源頼朝他二名の似絵(国宝)で知られているお寺です。

▼清滝川にかかる高雄橋。一応結界といわれています。



[ 神護寺 ] じんごじ
●山号 高尾山(たかおさん)
●寺号 神護寺(じんごじ) 正称 神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ) 
●宗派 高野山真言宗別格本山
●宗祖 弘法大師空海
●中祖 文覚上人
●創建 天長元年(824年)
●開基 和気清麻呂
●本尊 薬師如来立像(国宝)

神護寺縁起(神護寺HPより抜粋)
平安遷都の推進者として知られる和気清麻呂は、国家安泰を祈願し河内に神願寺
を、ほぼ同時期に、山城に私寺として高雄山寺を建立。和気清麻呂が宇佐八幡大
紳の神託を請うた時「一切経を写し、仏像を作り、最勝王経を読誦して一伽藍を
建て、万代安寧を祈願せよ」というお告げを受け、その心願を成就するためと伝
えられ、寺名もそこに由来している。
清麻呂没後、清麻呂の息弘世、真綱、仲世は最澄、空海を相次いで高雄山寺に招
き仏教界に新風を吹き込んでいる。弘世、真綱の兄弟は、比叡山中にこもって修
行を続けていた最澄さんに、高雄山寺での法華経の講演を依頼している。この平
安仏教の第一声ともいうべき講演が終わると、最澄さんは還学生として唐にわた
ることとなる。また、空海さんは留学生として最澄さんとともに入唐するが、二
年で帰国、三年後にようやく京都に入ることが許されるや高雄山寺に招かれ、以
後十四年にわたり天台と真言の交流へと進展してゆく。
天長元年(824)真綱、仲世の要請により神願寺と高雄山寺を合併し、寺名を神護国
祚真言寺(略して神護寺)と改め、一切を空海さんに付嘱し、それ以後真言宗として
今日に伝えている。

▼参道。結界高雄橋を渡るとスグに参道入口。こんな石段が続くと思うとウンザ
リ。思わず帰りかけました。



▼水色と赤の嬉しいサイン。
早速ガソリン補給。緑の砂漠のオアシスで宇治金時(大阪ではウジキンといいます)
をお願いしました。地獄で仏とはこのことです。ここはお寺ですもんネ。



▼硯石。
参道中頃にある名物岩。今更説明もないでしょう。



▼山門が見えてまいりました。
もう少しです。されど書くのはカンタン! 上るは地獄!



▼山門です。八脚二層の楼門。人の姿が途切れた一瞬のチャンス!



▼大体こんな感じの人出です。



▼山門左右の金剛力士に変わる向かって右持国天と左増長天。
持国天



増長天



▼鐘楼。
袴腰の豪快な鐘楼です。外から梵鐘は見えませんが、日本三名鐘の一つとして銘
の神護寺と呼ばれ国宝指定の名鐘です。



▼明王堂。(護摩堂)



▼明王堂前の紅いもみじ。
秋先走りの紅か年中の紅かはちょっと判りません。けど青空に映えることこの上
なし。



▼毘沙門堂。
本尊木造毘沙門天立像(重文)。
昭和金堂の建立前はこの堂が金堂で、本尊薬師如来立像もこのお堂に安置されて
いたそうです。元和9年(1623年)建立。



▼五大堂。
元和9年(1623年)建立。



▼大師堂(重文)。
本尊板彫弘法大師像(重文)。入母屋造こけら葺。空海さんの住房であった納涼房を
桃山時代に再建したお堂。



▼金堂前の石段。
けっこう皆さん喘ぎ喘ぎ上っていましたよ。



▼金堂。
本尊薬師如来立像(国宝)。
昭和9年(1934年)建立。昭和の名建築といわれているそうです。



▼以前描いた本尊薬師如来立像のお顔ペン画です。
如来の柔和なお顔からは想像のつかない厳しい表情の本尊薬師如来、奈良末期か
ら平安初期の世情政情の不安、為政者への怒りなのか圧倒される緊張感が迸るお
像です。



▼多宝塔。
金堂左脇から少しに上ったところに建っています。昭和9年(1934年)建立。
銅板葺、高さ約18m。
塔前門と塀によりガッチリとガードされています。狭小地なので塔の全景が撮れ
ません。
党内須弥壇には、五大虚空蔵菩薩像(国宝)が安置されています。
ご注意! 
昨年まで拝観予約しておけばお堂の扉を開けていただけましたが、今年から年二
回春と秋の特別開扉に変わりました。



▼境内から清滝川の流れ。なんかよく判りませんけど清滝川です。



▼山門入った右に和気氏の霊廟。
開基の和気清麻呂さんのお墓は少し離れたところにあります。



▼いつもながら清浄感漂う境内。



三尾はそれこそもみじの大名所、まだまだ紅葉にはほど遠いですが、燦燦の陽光
に映える青もみじのグラデーションは赤とはまた別の意味での癒しがありますヨ。



とは云いつつ、身はヘトヘト、よれよれ、されどされど予定完遂。いざ西明寺か
ら高山寺へまいりましょう。