竹内康人社長「皆さん、こんにちは。キャッチフレーズを発表させていただく前に一言だけお話をさせていただきます。2011年シーズンに臨むに当たってエスパルスは新しい監督、スタッフを招聘して、新たに9名の加入選手を迎え、大きく変わります。また、エスパルスは今シーズン、チーム発足20周年を迎えます。(中略)一方ではチーム存続の危機も経験し、ホントにちょっとオーバーかも知れませんけど、『激動の20年間』だったかなという風に思います。ただ、エスパルスは今シーズンからこの先10年、20年、そして100年と新たな歴史を作って行かなければならないという風に思っています。そして今シーズン、新しい歴史を作るためにですね、エスパルスは『変革』を選択致しました。もちろん『変革』にはですね、『痛み』も伴います。但し、更なるステップアップのために、どうしても『変革』が必要だということで、決断を致しました」
(Sの極み 1月21日付)
いよいよ清水エスパルス2011年シーズンのスタートが切られた。
短いながらも竹内社長の冒頭の挨拶は実によく理解できる。それは「激動の20年」を経て、オレたちはチームがどう変貌していこうが、今後の「10年、20年、そして100年」のチームの存続、ヴィジョンを描いていかなければならないということを身に沁みて理解しているからだろう。
しかし大きく舵を切ったフロントの内情がよくわからない。
11月上旬から1月にかけて清水エスパルスに起こった様々な事柄の経緯について、多少の説明を期待していた。竹内社長は結局何も語っていないとも言えるし、あまりにも語るべきものが多すぎて語りつくせないがためにこの言葉を選んだとも言える。そして竹内社長は「小さなエピソード」ではなく「大きな物語」を語ることを選んだ。現状ではそうするしかないというのが本音なのだろう。ちょっと小泉風なのか嫌な感じではあるがw
ただ、はっきりしたこともある。
竹内新社長の「激動の20年」という言葉から、クラブは公式に「ひとつのサイクル」の終わりを表明したといえるのではないか。これは6シーズンに及んだ健太体制というサイクルではなく、「サッカー王国」という土壌はあったものの、母体を持たない市民クラブからスタートした20年前のクラブ設立から、設立メンバーのひとりでもあるプレイヤーだった長谷川健太が監督として指揮した2010年シーズンまで(そして改革の2011年シーズンも含めて)、20年という大きなサイクルが終わり新しいサイクルが始まったということである。黎明期は終わったのだ。
今季のシーズンオフ、クラブはあまりにもスキャンダラスで、ドラスティックな変化を選択した。だからこそ大きなサイクルの終わりにテルが去り、イチも去るということは、悲しいけれども、その意味では仕方のないことである。三羽烏が去り、ノボリが去り、彼ら以上の「生え抜き」はいなかった。しかし、これまでの「10年、20年、そして100年」に彼らの名前は確実に刻まれている。決して悲しいことばかりではないのだ。
またドラスティックな変化はエスパルスというひとつのクラブだけに起こっていることではなく、移籍ルールのスタンダード化から、おそらくその先に見据えているであろう秋春制移行へと、Jリーグの全クラブ、日本サッカー界全体に起こっていることでもある。フロントの対応も含めて、この変革は不可避な面もあっただろうとは思うが、エスパルスが真っ先に大きく舵を切った(切らざるを得なかった)ことは決して悪いことばかりではないと思う。
エスパルスは保守的とは言われるものの、チャレンジングなクラブであって欲しいとも思う。日本でこんな歴史と背景を持ったクラブは他にはないのだから。
しかし「(質疑応答で)報道陣から質問はありませんでした」というのは一体どういうことなのだろう。
Sの極みの記者会見の採録ページの最後の一文を読んで笑ってしまった。
オレはこの記者会見がある意味で「荒れて欲しい」と思っていた。しかし「質問はありませんでした」という一文を読んで、「まあそんなもんだろう」とも思った。現在、イラン代表監督としてアジアカップを戦っているアフシン・ゴトビ監督不在の中で、新指揮官のヴィジョンを訊くことができないという状況では、新体制発表の記者会見といえども、なかなか新体制の中身について斬り込み難いのも理解できなくはない。
しかし昨年11月から昨日まで、飛ばし記事を含めて散々清水を美味しいネタにしてきた「報道陣」が質疑応答で質問が出なかったというのは一体どういうことだろう。
クラブから注文がついたか、記者同士が申し合わせたのか。
オレも記者会見なるものには何回か参加したことはあるが、エンタメ系の記者会見というのは本当にロクでもない質問をするか、主催者側がなおざりの質問をして形を整えるか、まあそんなもんである。そして経験上、重い質問は主催者から余り歓迎されないということも理解できないわけでもないw
そんな腑抜けた記者会見ではなく、いくつかのクラブやプロ野球の球団がサポーターやファンを招いて「キックオフ・イベント」にしてしまうのも、それはそれで仕方がない。通り一遍で、ロクでもない質問が続く会見よりはイベントにしてまった方が、ファンやお客さんへのサービスにもなるし、PR効果もある。
しかし彼らはジャーナリストではないのか? 公の場で質問するということはどういうことなのか、彼らは考えたことはあるのだろうか。例えばこれはワールドカップを終えて帰国した代表の会見で、タブロイド紙の記者がまったく空気を読まない質問を繰り出したエピソードとはわけが違う。クラブは大きな変化を選択した。それをサッカーマスコミはスキャンダラスに書き立てた。世の中に「説明責任」というものがあるのならば、彼らには記事を書いた以上、「質問する責任」がある。
というか、それがジャーナリストやライターの性というものではないのか。もちろんデリケートな話題でもあるので、各誌・紙が独自に取材・インタビューしたいという気持ちもわからなくもない。しかしそれなら何のための記者会見なんですか? という話だ。
その彼らがアジアカップ終了後に来日するゴトビへどういう質問をするのか、むしろ楽しみでもある。ある意味で、フロントに訊くよりも、よりメジャーでよりインパクトのある対象にキャッチーな質問をする(取り上げる)のは「マスコミのスタンス」としては当然のことではあると思う。しかし散々煽り続けたわりに、この公の場で「質問はありませんでした」ではやはり呆れる他ない。
とひと通り愚痴ったところで、最後にアフシン・ゴトビ新監督のメッセージ。
「私は清水エスパルスのファミリーの一員になることに、非常に感動しています。選手、スタッフ、そして素晴らしいファンのサポートの下、エキサイティングなサッカー、勝つサッカーへの新しいショーの幕開けとなります。Jリーグでタイトルを勝ち取るという夢は、実現するでしょう。そして、皆さんとお互いに心が通い合えるようになりたいです。私、そしてエスパルスと一緒にアジアの頂点に上るという、この忘れることのできない旅路の一員となってください」
(清水エスパルス公式 1月21日付)
彼のオフィシャルサイトに掲載されているイラン国民へのメッセージに似てないこともないがw これまで凹み気味だったサポーターやファンに勇気を与えるような言葉である。
we make history together
新しいサイクルの始まりと新しい仲間との新しい旅立ちが楽しみになっている。
まあ、その前にアジアカップの準決勝でゴトビ率いるイランと対戦できれば最高のお披露目になるんだけどな。
この記者会見を読んでから2010年シーズンも振り返ろうとも思っていたのだけれども、たぶん2010年シーズンを回顧するには「まだ」早い。去っていった健太や兵働たちが語り始めなけらば書く気にもならない。
もう「始まっている」のはわかっているし既に受け入れることもできているんだが、やはり「終わる」ってのはなかなか受け入れ難いし、辛いことだよね。
(1月22日追記・修正)
(Sの極み 1月21日付)
いよいよ清水エスパルス2011年シーズンのスタートが切られた。
短いながらも竹内社長の冒頭の挨拶は実によく理解できる。それは「激動の20年」を経て、オレたちはチームがどう変貌していこうが、今後の「10年、20年、そして100年」のチームの存続、ヴィジョンを描いていかなければならないということを身に沁みて理解しているからだろう。
しかし大きく舵を切ったフロントの内情がよくわからない。
11月上旬から1月にかけて清水エスパルスに起こった様々な事柄の経緯について、多少の説明を期待していた。竹内社長は結局何も語っていないとも言えるし、あまりにも語るべきものが多すぎて語りつくせないがためにこの言葉を選んだとも言える。そして竹内社長は「小さなエピソード」ではなく「大きな物語」を語ることを選んだ。現状ではそうするしかないというのが本音なのだろう。ちょっと小泉風なのか嫌な感じではあるがw
ただ、はっきりしたこともある。
竹内新社長の「激動の20年」という言葉から、クラブは公式に「ひとつのサイクル」の終わりを表明したといえるのではないか。これは6シーズンに及んだ健太体制というサイクルではなく、「サッカー王国」という土壌はあったものの、母体を持たない市民クラブからスタートした20年前のクラブ設立から、設立メンバーのひとりでもあるプレイヤーだった長谷川健太が監督として指揮した2010年シーズンまで(そして改革の2011年シーズンも含めて)、20年という大きなサイクルが終わり新しいサイクルが始まったということである。黎明期は終わったのだ。
今季のシーズンオフ、クラブはあまりにもスキャンダラスで、ドラスティックな変化を選択した。だからこそ大きなサイクルの終わりにテルが去り、イチも去るということは、悲しいけれども、その意味では仕方のないことである。三羽烏が去り、ノボリが去り、彼ら以上の「生え抜き」はいなかった。しかし、これまでの「10年、20年、そして100年」に彼らの名前は確実に刻まれている。決して悲しいことばかりではないのだ。
またドラスティックな変化はエスパルスというひとつのクラブだけに起こっていることではなく、移籍ルールのスタンダード化から、おそらくその先に見据えているであろう秋春制移行へと、Jリーグの全クラブ、日本サッカー界全体に起こっていることでもある。フロントの対応も含めて、この変革は不可避な面もあっただろうとは思うが、エスパルスが真っ先に大きく舵を切った(切らざるを得なかった)ことは決して悪いことばかりではないと思う。
エスパルスは保守的とは言われるものの、チャレンジングなクラブであって欲しいとも思う。日本でこんな歴史と背景を持ったクラブは他にはないのだから。
しかし「(質疑応答で)報道陣から質問はありませんでした」というのは一体どういうことなのだろう。
Sの極みの記者会見の採録ページの最後の一文を読んで笑ってしまった。
オレはこの記者会見がある意味で「荒れて欲しい」と思っていた。しかし「質問はありませんでした」という一文を読んで、「まあそんなもんだろう」とも思った。現在、イラン代表監督としてアジアカップを戦っているアフシン・ゴトビ監督不在の中で、新指揮官のヴィジョンを訊くことができないという状況では、新体制発表の記者会見といえども、なかなか新体制の中身について斬り込み難いのも理解できなくはない。
しかし昨年11月から昨日まで、飛ばし記事を含めて散々清水を美味しいネタにしてきた「報道陣」が質疑応答で質問が出なかったというのは一体どういうことだろう。
クラブから注文がついたか、記者同士が申し合わせたのか。
オレも記者会見なるものには何回か参加したことはあるが、エンタメ系の記者会見というのは本当にロクでもない質問をするか、主催者側がなおざりの質問をして形を整えるか、まあそんなもんである。そして経験上、重い質問は主催者から余り歓迎されないということも理解できないわけでもないw
そんな腑抜けた記者会見ではなく、いくつかのクラブやプロ野球の球団がサポーターやファンを招いて「キックオフ・イベント」にしてしまうのも、それはそれで仕方がない。通り一遍で、ロクでもない質問が続く会見よりはイベントにしてまった方が、ファンやお客さんへのサービスにもなるし、PR効果もある。
しかし彼らはジャーナリストではないのか? 公の場で質問するということはどういうことなのか、彼らは考えたことはあるのだろうか。例えばこれはワールドカップを終えて帰国した代表の会見で、タブロイド紙の記者がまったく空気を読まない質問を繰り出したエピソードとはわけが違う。クラブは大きな変化を選択した。それをサッカーマスコミはスキャンダラスに書き立てた。世の中に「説明責任」というものがあるのならば、彼らには記事を書いた以上、「質問する責任」がある。
というか、それがジャーナリストやライターの性というものではないのか。もちろんデリケートな話題でもあるので、各誌・紙が独自に取材・インタビューしたいという気持ちもわからなくもない。しかしそれなら何のための記者会見なんですか? という話だ。
その彼らがアジアカップ終了後に来日するゴトビへどういう質問をするのか、むしろ楽しみでもある。ある意味で、フロントに訊くよりも、よりメジャーでよりインパクトのある対象にキャッチーな質問をする(取り上げる)のは「マスコミのスタンス」としては当然のことではあると思う。しかし散々煽り続けたわりに、この公の場で「質問はありませんでした」ではやはり呆れる他ない。
とひと通り愚痴ったところで、最後にアフシン・ゴトビ新監督のメッセージ。
「私は清水エスパルスのファミリーの一員になることに、非常に感動しています。選手、スタッフ、そして素晴らしいファンのサポートの下、エキサイティングなサッカー、勝つサッカーへの新しいショーの幕開けとなります。Jリーグでタイトルを勝ち取るという夢は、実現するでしょう。そして、皆さんとお互いに心が通い合えるようになりたいです。私、そしてエスパルスと一緒にアジアの頂点に上るという、この忘れることのできない旅路の一員となってください」
(清水エスパルス公式 1月21日付)
彼のオフィシャルサイトに掲載されているイラン国民へのメッセージに似てないこともないがw これまで凹み気味だったサポーターやファンに勇気を与えるような言葉である。
we make history together
新しいサイクルの始まりと新しい仲間との新しい旅立ちが楽しみになっている。
まあ、その前にアジアカップの準決勝でゴトビ率いるイランと対戦できれば最高のお披露目になるんだけどな。
この記者会見を読んでから2010年シーズンも振り返ろうとも思っていたのだけれども、たぶん2010年シーズンを回顧するには「まだ」早い。去っていった健太や兵働たちが語り始めなけらば書く気にもならない。
もう「始まっている」のはわかっているし既に受け入れることもできているんだが、やはり「終わる」ってのはなかなか受け入れ難いし、辛いことだよね。
(1月22日追記・修正)
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