マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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毛原・八阪神社の神武さんの籠りは桃の節句

2023年04月24日 08時13分29秒 | 山添村へ
4月3日は、神武さんの籠りをしていると聞いていた山添村・毛原の八阪神社行事。

4月3日は、桃の節句でもある毛原の行事。

神社に供える御供に草餅。

それに桃の花を添えるから桃の節句とも。

その御供は、以前取材した6月5日に行われる端午の節句

御供はチマキである。

取材した前年までは、カヤの葉に包んでいいたチマキ。

手間のかかるチマキつくり。

行事の負担を避けて、同村・勝原にある上島製菓にお願いし、つくってもらったチマキに替えた。

今日の、御供も端午の節句同様に桃の節句の御供も上島製菓にお願いした、と聞いている。

桃の節句の御供の原材料は蓬。

村の人たちは「ヨゴミ」と呼んでいる草の蓬。

山や野の原になどに出かけて籠いっぱいに摘む。

その量は、籠が2杯にもなる、というから相当な量だ。

摘み取った蓬を蒸す。

蒸した蓬は、3升の餅米とともに炊いてつくる。

桃の節句の御供は木枠に摘めて押す。

時間をかけて乾燥させ、固くなる前に蓬餅を包丁切り。

ひし形に成型して出来上がる。

これらの作業に負担をさけるために菓子屋さんに注文してつくってもらうように切り替えた。

桃の節句に供える蓬のひし餅。

今も、家庭でつくられ、神棚などに供えているお家もあるようだが・・・

早めに自宅を出発した。

毛原の神武さんの籠りは午前11時と聞いていたので、その時間に合わせて出発した。

車の流れがスムーズだった早くに着いた。

停めた駐車場は、毛原・構造改善センター前。

この年もコロナ禍。

世にある年中行事のほとんどが中止。

実施されたとしても氏子役員だけに絞った神事のみの行事が多い全国的な事態である。

そうしたコロナ禍状況に毛原は、神武さんの籠りは、中止を決断された。

右に表示していた「ひな祭り」も中止、とある。

たあ、構造改善センターの窓は開いていた。

ひな祭りの段飾りがあるが、人はいない。

中止とあるが、中止でもないよな、逆にあるような・・・さっぱりわからぬコロナ禍の「ひな祭り」。

その状態だけでも撮っておこうと、思ったところに、やってきた村の人が運転する軽トラ。

伺えば、なんと、いつもお世話になっているFさん。

同乗者は、山添村・春日のMさんの息子さん。

Mさんもまた大字春日の年中行事取材にお世話してもらった方だ。

息子さんは、山添村の教育委員会所属。

Fさんもまた元教育委員会・委員長を務めた人だ。

今日の”籠り”は中止であるが、午後4時から始める行事ごとは実施する、と教えてくださった。

そうか、そういうことだったのだ。

村の人が集中しないよう午後6時からの籠りは中止。

膳は取りやめ持ち帰り対応に決めたそうだ。

これから教育委員会の会合があるから、と軽トラを走らせた。

ふと振り返った毛原の構造改善センター。

あれま、である。

玄関も、窓もみな締めて、どなたもおられない。

後に、聞いた話によれば、かつて木造の集会所だった。

ずいぶん昔であるが、お雛さんの段飾りを設えていた。

ひな祭りに欠かせない女児が集まっていた。

ひなあられなどを年長の子からもらって喜ぶ年少の子たち。

ここ毛原も少子化に集まることなく、構造改善センターの前に用意した御供。

それをもらいにくる。

詳しく聞こうとした家族さんも家に戻ったようだ。

少子の今は細々と続けている、という毛原のひな祭り。

あらためて再訪したいが、次はないような口ぶりだった。

行事は、午後4時からはじまるとわかって、一旦は毛原を離れて隣村の下笠間に向かう。

笠間川にかかりそうな桜樹が見えた下笠間の取材先も、また午後とわかって近場の針テラス辺りでお昼を摂って、再びやってきた毛原。

早めに着いて、代表のN区長に取材許可もらい。

神事ごとに祝詞を奏上される村神主。

この年は、ホンカン(本音)を務めるSさんにも取材許可をいただいた。

特に、ホンカン(本音)を務めるSさんは、つい先ほどまで出先だった。

出先とは、本日行事の八阪神社の神武さんの籠り・桃の節句。

これより八阪神社での神事がはじめる。

ただ、その前にホンカン(本音)とジカン(次音)は、境外末社の2社に御供上げに参拝しなくてはならない。

その仕組みは、平成28年6月5日に行われた端午の節句行事であった。

先に参拝する2社は、山の中に鎮座する琴平神社に、ここ八阪神社から、谷筋ひとつ越えた毛原廃寺内に鎮座する稲荷神社だ。



その2社を廻って、今やっと到着したホンカン(本音)とジカン(次音)。

早速、本社と遥拝所の神武さんそれぞれに供える。

午後3時半ころに、向かった2社参拝。

本社神事より先に行われる2社参拝。

ミナライのジカン(次音)が御供あげ、禊詞を唱えていた。

そして、御供を下げた2社参拝。

こうして本社に戻ってきたのだ。

ホンカン(本音)とミナライのジカン(次音)は、御供上げ。



それとほぼ同時に、参拝される毛原の氏子たち。

本社は、階段下から参拝。



場を移して神武さんも参拝する。

その間に撮らせてもらった遥拝所の神武さんの御供上げ。

お神酒に水と塩。

洗い米が大皿のカワラケに盛る。

丸ごと林檎に、同じく丸ごと大きいままのキャベツ。

そして今日の神饌御供に大切な桃の節句の蓬餅。

二段重ね蓬餅は、前述したようにかつてはひし形に成型していた蓬餅だった。

桃の節句だけに、枝付きの桃の花。



開いた桃の花が美しい。

この桃の節句の御供を見たくてやってきた毛原の伝統行事。

神事がはじまる直前に整えた生鯛。

生鯛だけに、最後にのせるという。

そして午後4時より始まった神武さんの神事。

この年が担当の村神主。

ホンカン(本音)を担うSさん一人が社殿に登り、祓詞ならびに祝詞を奏上される。



その間の氏子たちは、社殿下の境内後方に横並びの一般参拝。

立ち姿で参列していた。

平成28年10月22日に行われた毛原の宵宮取材。

そのときと同じ、境内に並んだ立ち姿の参拝のあり方である。

神事を終えたら御供下げ。

氏子らもそろって御供下げ。

段取りが調えば直会(なおらい)。

いつもと同じ、社務所で接待するお神酒注ぎ。

黄色いコウコを肴にお神酒を口にする。



しばらくは、その場で寛ぐ談笑に繋がる輪。

短時間に終えた神武さんの行事。

一旦は解散し、再び参集する午後6時よりはじまる座の儀式。

社務所内に用意された席に就く神武さんの籠り。

今年も生憎、コロナ禍によって三密を避けて中止の決断。

再開の見込みは誰も答えの出ないコロナ禍対策。

今日は、そのような状況であるが、9月に行われる「御石洗い(ごいしあらい)」の年中行事。

実施の予定など、ホンカンにミナライのジカンらが話してくれた。

社殿周りに敷いている御石を綺麗に洗う作業がある。

神社に敷いた御石は、水で洗う。

かつては、笠間川まで運んだ御石を清流の川水に戻しって綺麗に洗ってした。

御石を運ぶ道具はモッコ。

石だけに相当な重さになる。

二人がかりで支えたモッコ運びは重労働。

川から神社。神社から川へ往復運び。

が、負担削減に、現在はモッコで運ぶことなく消防用ホースの力を借りる強力な水圧で御石を洗う。

本社の他、洗う場を整備したという琴平神社に、稲荷神社の御石も洗う「御石洗い」。

午後4時からは、例祭と同じように、氏子たちの一般参拝で神事を終える、と放してくれた。

そのときもまた、取材に寄せてもらうことにした。

(R3. 4. 3  EOS7D/SB805SH撮影)