マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大塩の農行事

2013年09月13日 09時17分17秒 | 楽しみにしておこうっと
山添村の大字大塩を訪ねた12日。

歳神さんを迎えるフクマル正月の祝い膳、キトラデ垣内の山の神、家族揃ってのブトノクチ焼きなど一連の民俗行事を取材させていただいたK家である。

婦人の話によれば5月5日の朝8時から田植えを始めたと云う。

その際に行ったウエゾメ。

カヤは12本で、煎ったマメで炊いたご飯を入れたフキダワラも12個。

ミツバツツジの花を添えて行ったウエゾメの儀式である。

ツキノカズノダンゴと同様の数の12本である。

新暦の閏年の場合はそれぞれ13本にすると話す奥さん。

すべての田植えを終えればウエジマイ(植え終い)はしていないが、かつては一束のナエサンを竃に供えたそうだ。

ナエサンにはキナコを塗したご飯も添えていたと云う。

同大字に住むYさんも5月5日の朝8時から田植えを始めたそうだ。

ウエゾメには束括りにしたカヤやフキダワラにお花を添えて祭ったと云う。

フキダワラの中身はエンドマメゴハン。

祭ってから中身を広げてその場で食べたという。

Yさんが続けて話した「ブトクスベ」。

平成17年に亡くなられた母親が作っていたブトクスベ。

端切れの綿生地を丸太のような形にしてワラでぐるりを巻いていく。

梅雨が明けた頃から虫が湧きだす夏場。

虫が多く出てきて農作業がしにくいから使っているブトクスベは、それ以降、秋の稲刈りが終わる頃まで使っている。

虫除けのブトクスベは数本が残っている。

母親の遺産である。

昔ながらのブトクスベは腰のベルトに挿す。

女性の場合は手にもってである。

火を点けたブトクスベはじわじわと燃えるが火は出ない。

煙が発生するのだ。

その煙の威力は蚊取り線香よりも利くと話す。

ご主人が話すブトクスベの形は県立民俗博物館で展示された春の企画展「お米作りと神々への祈り」の「ブトクスベ」そのものである。


(H25. 4.27 SB932SH撮影)

ウエゾメ、ウエジマイ、さらにはブトクスベまでも含めて山間部の各地で今でもされているのだろう。

聞き取りおよび実地調査は早めていかねばならないと思った日である。

(H25. 5.12 聞き取り)