マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

矢田町正月のモチ搗き

2013年03月08日 06時51分11秒 | 大和郡山市へ
9臼もモチを搗くと話していた矢田町住民のⅠ家。

東明寺下の中村の地は急坂を登った山麓地。

雪が降り積もった日には車も通ることが難な道。

登ることも下ることもできなくなると話す。

モチを搗くのは家の外。

雨が降り続けるこの日もモチを搗く。

蒸すモチ米は3升ずつ。

熱々のモチ米を臼に入れて杵で搗く。

石臼よりも木の臼のほうが肌理が細かくなる。

本来ならそうとしたいが昔から使っている石臼で搗く。

搗いたモチはサイトウに運ぶ。



モチ粉は絶えず補充してモチをこねる。

鏡餅、コモチにコゴミとも呼ぶドヤモチを作っていく。

モチ搗きは体力が要る。

家族総出のモチ搗きは主に息子さんが行う。

コゴミはコゴメ。

ランク下の不出来なB級品の米の呼称である。

それを半分混ぜて搗いたモチはドヤモチと呼ぶ。

つぶつぶ感の歯触りが美味しいのである。

そのドヤモチをボロモチと呼んでいたのは私の母親。

大阪南河内の滝谷不動の出身だ。

それはともかくモチ搗きはまだまだある。

後半はコモチ、ドヤモチ、エビモチ、アオノリモチである。



搗き手は息子から替って孫息子に孫娘も。

交替しながら搗いていく。

毎年搗いているというから慣れたものだ。

腰つきが力強い。

馬司町の奈良県中央卸売市場で買ってきた干しエビやアオノリは大量に使う。

手掴みで何度も投入するエビやアオノリ。

塩も多めに入れて搗くモチ。

そのほうがモチに味がついて美味いという。

混ぜて返して中へ包み込むようにモチを返す。

ぺったん、ぺったん。

中から溢れそうになるが返しも上手くできていい具合。

搗いた出来立てのモチを手で握ってモチトリをするのは送迎しているⅠさんの役目。

いつもそうしていると話を聞いて訪れた家である。



出来立てのモチは焼いて食べる。

オロシダイコンに醤油かポン酢を掛けてモチを食べる。

これをゲンペイモチと呼んでいるⅠさん。



ほのかに香るアオノリのモチも美味しいゲンペイモチの名前の由来は判らないと話す。

搗いた鏡餅は田中町と同じように神棚などへ31日に供えるそうだ。

Ⅰ家ではカンノモチも搗く。

カンノモチは寒の入りから寒の内ころにカンノミズ(寒の水)で搗く。

搗いたモチは一旦は乾かしておく。

ほどよくなったモチを包丁で切って天井に吊るした竹にぶら下げる。

それがカキモチだそうだ。

(H24.12.30 EOS40D撮影)