本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

リコリス・ピザ

2022-07-16 06:58:47 | Weblog
■本
56 あなたの中の異常心理/岡田 尊司
57 はじめての認知療法/大野 裕

56 タイトル通り、どんな人も持ち得る極端な完璧主義や嫉妬などの異常心理について解説された本です。基本的には、過去の強烈な体験からもたらされた「認知の歪み」が原因なのだということがよく理解できました。特に、ガンジーのエピソードはショッキングで、極端な潔癖主義が、自分が与えられた高等教育の機会を、自分の子どもたちには平等を重んじるあまり与えなかったり、自身も拒食症に近い状態になったりしていたということを知って、複雑な気持ちになりました。そのような極端さが、インド独立という歴史に残る偉業を成し遂げたとも言えるのですが、そのために自分自身や家族を不幸にしていたとしたら、手放しでガンジーという人物を賞賛できない気持ちになりました。かといって、こういった過剰さが、人類の進化の原動力であったことも間違いない事実ですし、そう簡単に割り切れるものではないのだとあらためて思いました。難しいことですが、膨大なエネルギーは尊重しつつ、その使いどころを考えることが大切なのだと思います。

57 というわけで、「認知の歪み」の正し方について書かれている、この本を読みました。「活動記録表」や「非機能的思考記録表」など、具体的なツールを用いつつ、自分の思考のクセ(スキーマ)を自覚し、問題解決につなげる手法についてわかりやすく教えてくれます。「ポジティブ思考万能説のワナ」(悪い面ばかりを見るのもよくないが、良い面ばかりを見るのも、物事をありのままに見られなくなる)など、私が、日々感じていることも指摘して下さっていて共感しました。やはり、極端な完璧主義を排し、曖昧さや不完全さを許容する姿勢が必要なのだと思います。自分を変えることはなかなか難しいですが、少なくとも、メールの返事が遅くても、自分が軽く扱われているのではなく、相手が忙しいのだと思うようにしたいと思います。


■映画
40 ホット・ロック/監督 ピーター・イェーツ
41 リコリス・ピザ/監督  ポール・トーマス・アンダーソン

40 ロバート・レッドフォード主演のクライム・ムービーです。切れ者の泥棒であるはずが、義理の弟と組むなど、情に流されて選んだ仲間の能力が不足しているのか、なぜか物事がうまく運びません。あまりに失敗続きなので、コメディかと思うほどですが、そこまでは振り切っておらず若干中途半端です。仲間の父親の弁護士の裏切りに対しても、さほど強く出ず、意外な人の良さが随所に見られます。そのあたりが、ロバート・レッドフォードの品格なのかもしれません。クライマックスの作戦も、使いつくされた内容で、痛快感があまりありませんでした。ロバート・レッドフォードの苦悩する表情は堪能できますが、なんだかつかみどころのない不思議な作品でした。

41 大好きなポール・トーマス・アンダーソン監督の作品。残念ながら受賞は逃しましたが、今年のアカデミー賞にもいくつかの部門でノミネートされていました。この監督の作品の特徴は、過剰さなのだと再認識しました。登場人物の癖の強さや、その行動力に圧倒されます。その過剰さが、神経症の野心家を主役にすると、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 」や「ザ・マスター」といった緊迫感のある作品になるのですが、本作は、高校生の青年と10歳程度年上の女性との恋愛ストーリーなので、爽やかな疾走感につながっています。恋人役のロックバンド「ハイム」のアラナ・ハイムが、ちょうど良い感じの容姿で、なんだかとてもリアルです。主演の青年役のクーパー・ホフマン(フィリップ・シーモア・ホフマンの息子さんだそうです)も、ちょうど良い感じのぽっちゃりさんで、これまたリアルです。バックに流れる音楽も最高で(ポール・マッカートニー&ウイングスの「Let Me Roll It 」やデヴィッド・ボウイの「Life On Mars?」の使われ方が印象的です)、70年代前半の西海岸の雰囲気を追体験できます。先ほど引用した、この監督の過去作品ほどは強烈なインパクトはないものの(逆に言うと観終わったあとどっと疲れます)、随所に独特のセンスが感じられる、リラックスしてこの監督の作家性が楽しめる作品だと思います。
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