本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

枕元の本棚

2021-11-13 06:19:23 | Weblog
■本
91 戦後民主主義に僕から一票/内田 樹
92 枕元の本棚/津村 記久子

91 そろそろ内田樹さんの成分が切れてきたので読みました。タイトル通り、「民主主義」と「政治」、「憲法」、「教育」について、近年内田さんが書かれた文章をまとめた本です。内田さんがおっしゃる通り、他人があまり言わないような話をトリッキーなロジックで語ってくれます。ユニークな考えというのはこういうものなのかと、膝を打ちたくなります。自分の考え方の引き出しが増えたような感覚も得られます。それでいて、内田さんもご指摘の通り、とても読みやすいです。いつにも増して、自分の考えに共感してもらえるよう説得しようという姿勢が垣間見られる点が印象的です。それだけ、内田さんが日本の現状の「民主主義」に危機感を抱いてらっしゃるのだと思います。個人的には『現実を変えることを目指さない生き方を「リアリズム」と呼ぶのは言葉の定義として間違っていると思う』という指摘に、反省しきりです。

92 津村記久子さんの書評エッセイ集です。今週は小説を読む気分ではなかったのでこちらを手に取りました。序盤の児童書や生活に関する本の解説はあまりピンとこなかったのですが、後半の社会やスポーツ(特に自転車競技について私があまり知らなかったので興味を持ちました)に関する本の紹介部分は抜群に面白かったです。「大きな傷一つで人間は倒れるけれども、浅いたくさんの傷もいずれ人を病ませる」など、津村さんの小説に出てきそうな、ハッとさせられる表現も続出し、考えさせられる点も多かったです。この中で紹介された本はもちろんのこと、時折固有名詞が挿入される、アーチスト(ロベール・クートラス、広重、エリオット・スミス、ジュディ・シルなど)の絵や楽曲にも触れてみたくなりました。津村さんの小説と同様に、「生きにくさ」を抱える人々への共感と、仕事に対する矜持に満ちた内容です。


■映画
81 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形/監督 藤田 春香

 京都アニメーション制作のテレビアニメの映画化作品です。浪人中の長男が感銘を受けたということで観てみました。既視感たっぷりのストーリーと絵ではあるものの、その圧倒的な技量に魅了されます。あえてベタな演出を採用していることも含めて、まるで、名人による古典落語を聞いているような感覚になりました。細部のこだわりと膨大な熱量が、作品の質を規定することがよくわかります。「喪失と再生」がテーマの作品だと思うのですが、引きこもり長男が感じているであろう喪失感を想像すると胸が痛くなるとともに、そこに希望がある点に安心もしました。
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