本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

写字室の旅

2014-02-09 06:59:44 | Weblog
■本
16 スタバではグランデを買え!/吉本 佳生
17 広告会社からのイノベーションって? (1)、(2)/ 田村 大、 白土謙二
18 写字室の旅/ポール オースター

16 価格が決定されるメカニズムを「コスト」という視点からさまざまな事例を元にわかりやすく説明してくれる本です。最初のほうは「裁定」、「規模の経済」、「範囲の経済」、「取引コスト」といったおなじみの事象の説明なので、個人的にはあまりおもしろくなかったですが、終盤に入って「経済格差」の問題や「比較優位」の話になってからは抜群におもしろくなりました。「機会コスト」という考えをもとに、能力や適正にあった相対的に自分が優位にたてる領域をみつける(それこそが「比較優位」の考え方なわけですが)ことの大切さが実感できました。また、「卓越した能力を持つ人」を優遇しすぎ、「あたりまえのことをあたりまえにできる人」の価値を低く見ることの危険性も理解できました。日本企業の低迷は「突出した人材の欠如」という視点が強調されがちですが、「中間的な人材」の使い捨てにもその原因があるような気がします。

17 電子書籍上は2冊になっているのですが、1冊30分程度で読める短いものなので、目標管理上の冊数は1冊としてカウントします。電通と博報堂の方の「イノベーション」をテーマにしたトークセッションの書籍化です。地頭のよい人同士の対話なのでわくわくしながら読めました。広告会社の人らしく雰囲気感を出すのが上手ですが、実際の取り組み事例なども紹介されていて説得力もあります。「スケールアップ」から「スケールアウト」へという視点が面白いと思ったのですが、詳しく説明されていないので消化不良でした。システムのインフラ性能を上げる際に使われているのとは違った趣旨で使われている気がするのですが、切り口がユニークなだけに少し残念でした。デザインやクリエイティブを行う部門を自社で持つ広告会社という組織が、今後イノベーションを行う上で重要な役割を果たし得る可能性はあるとは思いますが、組織の官僚化をどうやって避けるかという問題にも取り組む必要がある気がします。

18 初期のポール・オースターを髣髴とさせる、ストーリーだけでなく、小説内小説などその構造の知的さが堪能できる作品です。オースターの過去の小説の登場人物が次々に登場して、ファンにとっては過去の読書体験を思い出しながら楽しんで読めます(私は、記憶力が悪いので各登場人物の名前をネットで検索しながら読みましたが)。読後に自分の周囲の世界の枠組みが少し変わったような奇妙な感覚が得られます。この作品自体は中編小説で手軽に読み終えますが、過去のオースター作品全てと連なる長大な小説の一部としても読めます。オースターの入門作品としては不適切かもしれませんが、ファンであれば必読の作品です。


■CD
7 Everybody Knows This Is Nowhere/Neil Young

 ニール・ヤングのソロ2作目であり、バックバンド、クレージー・ホースと組んだ初めての作品です。1作目は牧歌的な感じでしたが、こちらは現在のニール・ヤングにも通じる攻めの姿勢がバンバンと伝わってきます。今となってはオーソドックスなロックサウンドですが、発表された1969年当時はかなり斬新な音としてとらえられたのではないでしょうか? ギターの音が格好良く、シンプルに楽曲もよい素敵な作品です。最初の2作での試行錯誤があったからこそ、この次に発表される超名盤「After the Gold Rush」が作れたんだと思います。


■映画
11 シュガー・ラッシュ/監督 リッチ・ムーア
12 NANA/監督 大谷健太郎

11 ドット画のゲームに親しんだ僕らの世代にはツボなのではないでしょうか? ゲーム上の悪役が集まる集会でのパックマンのモンスターが青ざめるシーンが最高に笑えました。ディズニーの作品なのに、ところどころで毒の効いたギャグやパロディがあり、相当シュレックなどドリームワークスの作品を研究している印象も受けました。ストーリーは、逆境にある少しひねくれた大男と少女が、挫折を乗り越えながら友情を育み、最後に勝利をおさめるという王道のものですが、先述した毒や悪役についての伏線が見事で、大人にも十分鑑賞に堪える傑作だと思います。もちろん、親しみやすいゲームのキャラクターは子供たちにもとっつきやすく、ストーリー自体はシンプルなので家族で楽しめました。

12 あまり登場人物に共感できませんでした。宮崎あおいさんが続編を降板したのも肯けます。ハチというキャラクターが、自分勝手にしか見えず、なんといってもおいしくないです。ナナ役の中島美嘉さんも熱演しているとは思いますが、一本調子な印象です。男性俳優も松田龍平さんや松山ケンイチさんといった今となっては日本映画界を支えるいつものメンバーなので、安定感はありますが新鮮味はありません(公開当時は新鮮味があったのだと思いますので、現時点での私の意見は反則ですが)。原作を読んだことがないので、なんとも言えないですが、原作はもっと二人のナナの友情の方が強調されているような気がします。映画の方は恋愛が強調されすぎていて、また、エンディングも取ってつけたような感じで期待はずれでした。
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