ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

Intermission」 20200531

2023-05-16 | Weblog

                                                              Chopin: Nocturne No. 10 in Ab Maj, Op. 32, No. 2 - Ingrid Fliter - YouTube

 

 

とおい記憶の地平の向こう側へ
消息の途絶えたおもかげを追ったとき
あなたの詠む歌は悲恋でしょうか
それともおごそかにつづられる叙事でしょうか

いまこのとき この春に
あなたのまなざしの奥に
小さくきらめく光は何でしょうか
だれにも語られない憎しみでしょうか

いくつもの物語をたどらなくてはそこに至れない
生命の深い森に連なるこのうえもなく貴重ななにかでしょうか

心がいつかきっとそこを訪ねたいと願い
願いつづけながら滅びてゆくかなしみでしょうか

あるいは深くわけ入ったとき 
道行きの途上でついには口ずさんでしまう
いにしへの歌謡に連なるなにかでしょうか

あなたと血脈を同じくする数多のまなざしが告げていました

そうでありうることがせつないのです
そうでありえないことがくるおしいのです

あめつちはじめてひらけしときより
あはれにはかなく 
かなしくむごたらしい
つねならぬつねの
つねになりてなりゆくありさまを
ただひとり見すぎたこの星の自然よ
おまえは倦むということがないのでしょうか

時のあわいにあるかなきか
永遠のまにまに
かつ消えかつ結びて
なおも見わたせば
春にひろがる情けのさざなみを

ある人かく曰はく、
まことのひとのなさけ
しごくまっすぐに
はかなくつたなく
しどけなきものなり

かさねて曰ふ、
つたなく執着尽きがたく
めめしくあはれなるものなれば
あはれの心をあはれのままに語れぞかし云々

ひとのこころを種として
まにまにかつ消えかつ結びて
つたなくめめしふ詠みつくれば
あやしふこそものぐるほしけれ

あなたのまなざしの向かう彼方に
結ばれる言の葉は挽歌でしょうか
あけそめの光に連なる頌歌でしょうか
 
よしなきいざないは止まず
遠いおもかげをよすがとしながら
終わりなき連歌のえにしにみちびかれ

踏破すべき一片のよしなしごととして
いまも心に訪れているのでしょうか

 

 

 

 

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