(フェリーニ監督『道』)
「それどころじゃない」
そうかもしれない
でもそれで終わりじゃないな
やっぱりさ、「それどころ」ということはある
「うるせえな」
ちょっとだけ待ってほしい
愛がなければ通り過ぎればいいだけだ
けれど通り過ぎれない心が告げる
「ばっかじゃねえの」とは思わない、絶対に
そのうえで正直に言う
そのとき、毒されているかもと思った
「○○校」
そんなことは「屁」でしかない
「屁」でもない、屁のカッパのまんま
生きている人間はごまんといる
きみが仲間として本当に
ともに生きるべき人たちのことさ
そのことをはっきりと示すことができなかった
そういう機会をつくれなかった
遅くても告げておかなくちゃいけない
筋ちがいかもしれないけれど語っておく
毒に染まるとそれが日常になる
社会、学校、教師、同級生、仲間、家族、そして自分
そのことを当たり前として
考えたり感じたり、人生をやりくりするベースが出来あがる
そのことを意識して疑問を投げる以前に
心深く埋め込まれ、生きることが干からびていく
屁のカッパ、あぶくでしかないものとは全然別の場所に
ぼくたちの生きる地平がある
なぜそう断言できるのか
あぶくのような言説に埋まった現実が教えてくれる
生きるに値する現実はあぶくを払ったところにあるって
泥にまみれてもいい
けれど、あぶくを取り除いてから
ほんとうの泥にまみれたほうがいい
まとめて一言でいえばこうなる
「学校が教えたことはぜんぶ忘れちゃいな」
なぜか。図式化すればこうなる。
学校的価値──全体の統制、統合、一致団結という最大綱領
「個」の上位に屹立する「みんな」という虚数的主体
生きる主体がどこにも存在しない虚数項──「全体」
つねに「個」の上位に君臨する全体の名称──「みんな」
さかしまの論理──「みんな」への「個」の従属
一人一人を生かすはずの「みんな」という概念の逆立ちした姿
個への脅しとして用いられる「みんな」というパスワード
一元化された関係コードの入力プロセスとしての教育、学校
一元化された関係コードが出力する表現型としての社会、ニッポン
生涯保持される関係コード、古代的な関係図式
「神-王-神官-貴族-平民-奴隷」
〝カミ〟をトップに戴く唯一絶対の価値の階梯
順位化された「個」をピースに積み上がる幻想の神殿
世界像とパッケージされた人間の順位、序列、権威の階段
この階梯のどこかに全メンバー、「個」はポジショニングされる
埋め込みプロセスとしての教育的いとなみ──
「教える-教わる」
存在の順位コードを用いた「知」の伝達形式
上位から下位へ降りてくるものとしての「知」(真理)
「優位-劣位」の関係図式に媒介されて流通する、物象化した「知」
「知」の交換は、即時にメタメッセージとして直撃する
関係コードの埋め込み、再認証を意味する
封殺される知の内発的生成──
個の経験は全体コードに従って回収、収奪、変換され用材化される
確定された関係記述の形式、動かない、しかし空っぽの「知の伽藍」
このガランドウに虚数的主体「みんな」が動き回っている
つねに下位にあって「知」を受容する存在としての「個」
この自意識、関係意識の埋め込みが教育過程の本質を構成する
知の階梯の上昇過程において査定されポジションが確定される存在
関係コードに準じた個の査定法、知の受容形式は生涯保持される
教育過程──一元的価値への集合命令、刈り込まれる個の存在形式
すなわち従順、協調、同期。集団同期するクラス特性
〝よい子〟という言葉に集約される諸属性
対象設定──「カオスとしての子ども」という前提
そのままでは〝全体にとって阻害要因でしかない存在〟
いちじるしく価値下落させられた存在規定を受け入れること
このことを前提にしてプログラムが進行する
統制、統合、調和を乱すノイズに満ちた子どもという存在規定
その矯正システム、規律訓練、強制注入の場としての教育
常軌を逸したブラックな校則の宇宙
禁止と命令、確定記述に埋め尽くされた公理系、学校空間
先行的に適応を済ませた公理系のエージェントたち、教師
付託された公理系の点検とメンテナンス
この任務遂行において正当化され合理化されるハラスメント
家畜化した教師たちが付託される日々のワーク、メシの種
〝ノイズとしての子ども〟と〝ノイズを刈り取る教師〟という関係図式
「自己嫌悪=できないわたし、いけないわたし、足りないわたし」の意識づけ
有形無形のハラスメント、体罰=各種、自己嫌悪の刻印ツールの正当化
暴力、暴言が埋め尽くす「命令と禁止の空間」
統合、統制、調和という全体構造を保全する
「上位-下位」「優位-劣位」「全体-従属」の関係コード
この関係コードが編み上げてきた歴史をふりかえると
「いざ鎌倉」となったとき最後に迫る言葉が映し出される
「いのちを差し出せ」
「喜んで差し出します」
個に優先する全体、全体を支える個
関係構造への個の埋め込みとノイズ排除、強圧的保守点検
自己否定を接着剤として階層が積み上がりバインドされる全体
個の水没、全体という虚数的主体が水面上を動き回る社会
〝一丸となって動く〟
関係構造、関係コードが固定され、自己完結的であるため
構造の外に存在するものとのリンクを求められたとき
外部を内部に取り込むような接続関係しかつくることができない
いいかえると、関係のコードを変化させる動因の不在
どんな個の感情、思い、思考もノイズとして刈り込まれ
接続先はつねに固定された関係構造に合致するように変換される
右、左、上、下、すべてに共通する関係コードがいまも動いている
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