分別をこすり合わせて生きあう
前提を埋め込んでせめぎあう
そうではなく
分別と前提が引いたラインが教えない外がある
解を求めて言い争う世界の口を塞いで黙らせる
そうしてはじめて開かれる位相へ
どんなに世界が確定された姿で訪れても
俺たちは未決の空域を携えて生きている
筆を入れて世界の姿をほどき直すフリースペースがある
しばしば忘れられ放置されたフリーハンドがある
だれかに求められたモチーフ、絵ではない
居場所を指定する世界を黙らせたうえで始められる絵がある
分別が別の分別に入れ替わっても何も変化しない
分別なんぞはじめから問題にならない領域がある
「よくできました」
知のフレームに収まらない
そんなセリフが口出しできない場所へ
はじめからそこになにかがあるわけではない
そうすることが偉いわけでも愚かであるわけでもない
ただそうしなければ大事な何かが涸れてしまう
そこから水を汲むように描いて生きたい心がいる
そこで会えたらいい──そんな提案だったと思う