ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「美術部@学館ラウンジ」

2022-10-14 | Weblog

 

 

 あい見ての のちの心にくらぶれば
   むかしはものを思はざりけり

     ── 権中納言敦忠(906~943)『拾遺集』

 

絵の主題に絵が追いついていない
けれど描きたいという心がこぼれている

(笑い飛ばすことも勝手に許された)

うまさが際立つ絵には感じられない
稚拙さゆえによりつよく響きあう
そういう絵に出会うことがある

(たしかなことは言えないけれど)

同じような心、経験を引き出され
絵の稚拙さを補うように
観る心がつよく寄り添うからかもしれない

いまならこう言いたい気がする
──君ありてこそ、綾も錦も

 

 

コメント

「修正の契機」 20221014

2022-10-14 | Weblog

 

 

シグナルの明滅を感知するとき
応答する回路はいつも整えてここにいる

いつもそのつもりでいたように
いまもそのつもりでここにいる

望まれないことは望まない
望むことだけでは成就しない

望み望まれ、なんらかの条件が加わり
そうしてはじめて合流の地平
その契機が生まれることがある

(その条件は非知のなかにある)

応答可能な回路には限界がある
すべてを感知できるわけではない
じぶんではわからない身についた帯域
シグナルを読み解く自前のコードがある

限界のうちがわに生きながら
限界を拡張し、鍛え上げたいと思うとき
他者としての「われ」が対象化される

「ぼくは一人の他者です」と詩人は語った

この他者の動向をすべて追尾できるわけではない
ひとつの、このうえない手がかりは本当の他者の存在
そのまなざしに照らされることから開始される

いったん自前のコードを解除する位相を開いて
照らされる「われの姿」をあますことなく
真摯に受けとめ、鍛え上げる手がかりとする

同じ空、同じ季節、同じ時代に生き、交わりながら
ある地点を過ぎて永遠に遠ざかることもある

この予期がみずからに修正を促がしている

 

 

コメント