先日、堺市に提出した「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」に対して、
昨日、堺市教育長から、文書で回答が届きました。
この回答については、あいまいな表現に終始して、
約束した「問いに対する回答」になっておらず問題が多いので、
何らかのコメントを出す予定で、あらためて分析して解説します。
堺市の回答に対するコメント(2008.11.18)
報道によると、堺市は回答を出すにあたって、緊急に館長会議を開き、
「青少年に提供しない」という措置を見直したようです。
そうならそうと、回答に
「『青少年に提供しない』の決定は間違いだったので見直しました」
とはっきり書けばよいのに。
とはいえ、
すべてのひとに開かれた図書館で、利用者を年齢で制限するなんて、
図書館にとっては自滅行為ですから、まずは一歩前進です。
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ここらで、ちょっとこの問題を整理しておきたいのですが、
[59898] 堺市図書館 BL(ボーイズラブ)本のその後2
過激なBLだけで5500冊だったということか バーク - 2008/11/15(Sat)
結局、堺市が書庫入れしたBLは男性同士の過激なセックスシーンが描かれたBLだけのようです。・・・・・・
は事実無根のでたらめ。
わたしが図書館に確認したところによると、匿名市民(男性)に要求されて、
「元々書庫入れにしていた図書数千冊を含めて、
イラストの表紙と挿絵がある本をカウントした数が5499冊」。
「彼らのいう(ボーイズラブ)ではない本も過激な性表現がない本も含まれる」。
「過激な性表現」どころか、いまや「ボーイズラブ」という前提すら崩れました。
わたしたちは、(ボーイズラブ)という表現をやめ「特定図書」としました。
バークと同一人と思われる匿名市民は、現在まで書名さえ特定していない。
そんな要求に屈した図書館も、軽率に違法行為をした批判は免れませんが、
匿名市民のその後の行動は、恣意的に、作品と著者と読者と、
特定図書とちょくせつ関係のないセクシャルマイノリティを
おとしめているとしか思えません。
今回の堺市図書排除問題で、参考になりそうな記事を紹介します。
★栗本薫ファンからひと言。
(11/14「Something Orange」)
★なんだかよくわからなくなってきた。。
(11/13__ScrapBook of Plumber11/10)
★堺市図書館論争 まとめと個人的見解
前・図書館編 - カナタマタコデイズ11/13
★堺市図書館論争 まとめと個人的見解
後・BL問題編- カナタマタコデイズ11/13
★図書館がBL図書を置く問題について、
参考になりそうな話(1)(2)(3)(4)(火薬と鋼11/2~)
「図書館がBL図書を置く問題について、参考になりそうな話」に出てくる
アメリカの裁判と図書館協会の例は
『知る自由の保障と図書館』(塩見昇・川崎良孝)
(発行:京都大学図書館情報学研究会/発売:日本図書館協会/2006.12)の、
第5章「アメリカ図書館協会『図書館の権利宣言』と利用者のアクセス」
に詳しいです。申し入れ書の添付資料に、この本をつけました。
最新刊では、『ドイツの公共図書館思想史』
(河井弘志/京都大学図書館情報学研究会/日本図書館協会/2008/10 )
第14章「ファシズムと公共図書館」の図書館への統制と焚書が参考になります。
10年先を行くアメリカの論争。
この本については、重要な視点なので、改めて解説を書きます。
「事実は小説より奇なり」。
おっと、わすれちゃいけない、リアル『図書館戦争』(笑)。
今回の図書排除事件は、わたしたち自身の深層心理に根ざす
「戸惑い」と「偏見」に対し、大きな問いを突きつけます。
あなたはどこに立つのか、と。
わたしもまた、当事者として、この問題から目をそらさずに、
積極的に情報発信をつづけていきたいと思います。
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最後まで読んでくださってありがとう
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昨日、堺市教育長から、文書で回答が届きました。
堺中央図第1730号 平成20年11月14日 上野千鶴子 東京大学大学院教授 「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表 はじめ 市民97名/議員46名/7団体 様 堺市教育委員会 教育長 芝村 巧 (公印省略) 「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」について 平成20年11月7日付、及び11月13日付、標記申し入れについて、下記のとおり回答します。 記 申し入れのありました特定図書につきましては、廃棄を前提にしたものでなく、他の図書の取扱いと同様に「堺市立図書館資料保存基準」及び「堺市立図書館除籍基準」に基づき取り扱いするものであり、図書館の基本姿勢は、変わるものではありません。 また、本件における、他者からの個人的主張による不当な介入や働きかけなどは一切ありません。 堺市立図書館の所蔵図書については「堺市立図書館資料収集方針」に基づき選定し購入しております。収集図書のうち、表紙、挿し絵、イラスト等で特に過激な性的描写等のある図書については、青少年に配慮する観点から、開架せず書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧・貸出しに対応しています。 今後とも、堺市立図書館においては、関係法令等に照らし、図書館行政を推進するとともに、市民の皆様に愛される図書館をめざして、取り組んでまいります。 |
この回答については、あいまいな表現に終始して、
約束した「問いに対する回答」になっておらず問題が多いので、
何らかのコメントを出す予定で、あらためて分析して解説します。
堺市の回答に対するコメント(2008.11.18)
報道によると、堺市は回答を出すにあたって、緊急に館長会議を開き、
「青少年に提供しない」という措置を見直したようです。
「ボーイズラブ」は書庫に、堺市立図書館の5500冊 朝日新聞 2008年11月14日 堺市の市立図書館が所蔵する「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛を題材にした小説計5500冊をめぐり、市民らから賛否が寄せられている問題で、市立全7館の館長会議が14日開かれ、青少年への影響にも配慮して誰でも自由に見られる書棚ではなく書庫で管理する一方、請求があれば18歳未満にも貸し出す方針を決めた。同日から運用を始めた。 7月、市民から「子どもに悪影響を与える」などとBL小説の廃棄を求める声が寄せられたため、全館を調べたところ、4館で書棚に置かれていた。このため、「一定の配慮が必要」と8月から18歳未満への貸し出しをいったん中止し、対応を検討してきた。 館長会議では、正当な理由がない限り、特定の資料の特別扱いや撤去をしない、とする日本図書館協会が79年に決議した「図書館の自由に関する宣言」を確認。そのうえで、書棚での管理は教育的配慮に欠けていた▽府条例の有害図書にはあたらない▽未成年の利用実態はほとんどない▽年齢制限に法的根拠はない――などを踏まえ判断した。 |
そうならそうと、回答に
「『青少年に提供しない』の決定は間違いだったので見直しました」
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とはいえ、
すべてのひとに開かれた図書館で、利用者を年齢で制限するなんて、
図書館にとっては自滅行為ですから、まずは一歩前進です。
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ここらで、ちょっとこの問題を整理しておきたいのですが、
[59898] 堺市図書館 BL(ボーイズラブ)本のその後2
過激なBLだけで5500冊だったということか バーク - 2008/11/15(Sat)
結局、堺市が書庫入れしたBLは男性同士の過激なセックスシーンが描かれたBLだけのようです。・・・・・・
は事実無根のでたらめ。
わたしが図書館に確認したところによると、匿名市民(男性)に要求されて、
「元々書庫入れにしていた図書数千冊を含めて、
イラストの表紙と挿絵がある本をカウントした数が5499冊」。
「彼らのいう(ボーイズラブ)ではない本も過激な性表現がない本も含まれる」。
「過激な性表現」どころか、いまや「ボーイズラブ」という前提すら崩れました。
わたしたちは、(ボーイズラブ)という表現をやめ「特定図書」としました。
バークと同一人と思われる匿名市民は、現在まで書名さえ特定していない。
そんな要求に屈した図書館も、軽率に違法行為をした批判は免れませんが、
匿名市民のその後の行動は、恣意的に、作品と著者と読者と、
特定図書とちょくせつ関係のないセクシャルマイノリティを
おとしめているとしか思えません。
今回の堺市図書排除問題で、参考になりそうな記事を紹介します。
★栗本薫ファンからひと言。
(11/14「Something Orange」)
★なんだかよくわからなくなってきた。。
(11/13__ScrapBook of Plumber11/10)
★堺市図書館論争 まとめと個人的見解
前・図書館編 - カナタマタコデイズ11/13
★堺市図書館論争 まとめと個人的見解
後・BL問題編- カナタマタコデイズ11/13
★図書館がBL図書を置く問題について、
参考になりそうな話(1)(2)(3)(4)(火薬と鋼11/2~)
「図書館がBL図書を置く問題について、参考になりそうな話」に出てくる
アメリカの裁判と図書館協会の例は
『知る自由の保障と図書館』(塩見昇・川崎良孝)
(発行:京都大学図書館情報学研究会/発売:日本図書館協会/2006.12)の、
第5章「アメリカ図書館協会『図書館の権利宣言』と利用者のアクセス」
に詳しいです。申し入れ書の添付資料に、この本をつけました。
最新刊では、『ドイツの公共図書館思想史』
(河井弘志/京都大学図書館情報学研究会/日本図書館協会/2008/10 )
第14章「ファシズムと公共図書館」の図書館への統制と焚書が参考になります。
10年先を行くアメリカの論争。
この本については、重要な視点なので、改めて解説を書きます。
「事実は小説より奇なり」。
おっと、わすれちゃいけない、リアル『図書館戦争』(笑)。
今回の図書排除事件は、わたしたち自身の深層心理に根ざす
「戸惑い」と「偏見」に対し、大きな問いを突きつけます。
あなたはどこに立つのか、と。
わたしもまた、当事者として、この問題から目をそらさずに、
積極的に情報発信をつづけていきたいと思います。
写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大
最後まで読んでくださってありがとう
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明日もまた見に来てね
政治等に弱い堺市の体質がもろにでていますね。
一度、しっかりと全ての事実関係を調べて、問題点を明らかにする必要があると思っていますが、・・。
参考までに、何が問題だったんでしょうか・・。
感想をお知らせいただければありがたいと思っています。
更に、どのような資料を情報開示されたのでしょうか
。
因みに監査請求はどのようになったのでしょうか・・。
堺市からは、監査についてはプレスされていませんが・・。
よろしくお願いします。
訪問してくださってありがとうございます。
わたしも、堺には幼馴染が住んでいて、好きなまちです。
たくさんの堺市民の方に関心を持ってほしいです。
>一度、しっかりと全ての事実関係を調べて、問題点を明らかにする必要があると思っていますが、・・。
伝聞ではない事実関係を明らかにするために、関連文書を公開請求しました。
請求したのは「今回の事件に関係するすべての文書」です。
1.ホームページ記載の5,499冊の書名、著者、出版社、購入金額などをまとめた文書(図書リスト)、及びそれ以降昨日9月7日までに増減されている場合の9月7日時点の図書リスト。
1. (図書リスト)について、記載の図書の移動の発端から今日に至るまでに作成・取得した文書のすべて。
1.堺市図書館の運営およびシステムがわかる文書(図書・資料の収集・廃棄基準、書庫等の管理、意思決定方法等かわかる規定、内規等を含む)
手元には、図書リストを含めて1000枚以上あります。
問題点については、そんなに簡単ではあないので、一言では説明できません。
それをひもといて、つど書いていますから、興味があったら、記事をさかのぼってお読みください。
何が起きたかの事実関係は全体像が分かってきましたが、ではなぜこのようなことが起きたのか、については、まだ分からないこともあります。
>因みに監査請求はどのようになったのでしょうか・・。
監査請求は、監査委員が調査し、結論を出します。
堺市は、その一方の当事者で、プレスする立場にありません。
監査委員は、請求の翌日から60日以内に結論を出す決まりがあります。
私も差別、偏見を憎む者です。
私の場合は閉架されたボーイズラブの処置と同時に、現在この図書館に置かれている他の性をテーマにした本も調べることにしました。
いくつかの出版社を調べたところ、いわゆる性をテーマにした女性向けの本(今はボーイズラブと考えてもらってかまいません)、男性向けの本の両方のレーベル(すべてが有害図書ではない。当然ながらボーイズラブと同じように内容にも差があります)を扱っているところがあっても、女性向けの本だけを購入しているという状態が浮かび上がってきました。
有害図書としてしていないから、購入、閉架して未成年にも貸し出す、とした今回の結果から、今後はリクエストがあれば今まで購入されていない、有害図書ではない性的な男性向けの本も購入していただけるのですよね? とたずねたところ。
「保証できない」「有害図書を基準にするのではなく、あくまでこちらで決める」とのことでした。
どうして男性向けの本は駄目なのですか? リクエストが多数あっても平等に購入する気はないのですか? あくまで職員が内容を考慮して自分たちで決めるというのですね? 性差別ではありませんか? そもそも性的な本の内容を公平に扱わなかったから問題が起きたのではありませんか? と問い詰めたところ、言っていることは理解できますが……とそれ以上の答えをいただくことはできませんでした。
ボーイズラブにはこの結果が出ましたが、男性向けの性的な本については今後も偏見を持って対処するのだな、と感じる答えでした。
この図書館の対応についてどう思われますか?
私は性差別ととりましたが。
私はボーイズラブを排除しろとの考えをもっていません。性的な本を平等に扱ってほしい、との考えを持っています。
個人的なことをいうと、両方とも読みませんが。
*男性向け女性向けは「いわゆる」です。
*この図書館に一定量(それでも差は歴然としていますが)の男性向けの性的な本が置かれていることも知っています。
*ボーイズラブの中でもレーベルによって過激さが違うことも知っています。
と書きましたが言葉足らずで・・・
本日、監査から報道提供されました。
13日付で受理ということです。
激しいオタクバッシングを行い「バックラッシュ」と言う本の中では、オタクはギャルゲーだけやっとけば良い。ただ、オタクが再生産されたら困るからオタクは子供を作るな。みたいなことを書いてた彼女が?
まったく理解できません。
どういう経緯で彼女が代表になったのか分かるでしょうか?
どんな本も図書収集基準にしたがって、平等に扱う、というのが、図書館の基本です。
とはいえ、専門職である司書の裁量がどこまで及ぶのか、わたしには分かりません。
★mammaliaさん
>上野千鶴子が「ジェンダー図書排除」究明原告団の代表って本当でしょうか?
本当です。
わたしは原告団の事務局です。
>どういう経緯で彼女が代表になったのか分かるでしょうか?
2年前の発足当初から代表ですから、お知りになりたいのでしたら、カテゴリー「福井・ジェンダー図書排除事件」をさかのぼってお読みいただくと、経過が分かると思います。