みどりの一期一会

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「福井県庁の常識は全国の非常識」原告陳述書/訴訟の報告-2

2007-04-28 00:08:14 | 「ジェンダー図書排除」事件

25日の福井地裁の「情報非公開取消訴訟」報告-2です。

裁判では、まず裁判長が、訴状の内容と答弁書について確認しました。
被告は「答弁書のとおり」と答えましたが、裁判長は、こちらが事例として
書いた3件の判決(被告の答弁書にもふれられていた)について、被告側に、
「名高裁の原審は出ているのか。原審からの判例を出してください」
(一審、二審、最高裁のそれぞれを)と指示。

なんと小林裁判長は、実行委員会文書について岐阜県と「公文書か否か」
を争った時、名高裁で原告逆転勝訴の判決を書いた裁判官です。
この情報公開訴訟は、最高裁で確定しました。
(裏金疑惑の実行委員会で、県は最高裁で公開を命じられた公文書を
紛失(故意に廃棄?)し、半年後に裏金問題が発覚したというおまけつき)。

原告の選定当事者の知正さんが、
「福井県の情報公開の手引きを訴訟に出して欲しい」と求めたところ、
被告側は「ぶ厚いですし・・」と渋っていたのですが、
裁判長が、「裁判所は持っていますが、そう厚くないでしょ。
書証として一冊出してください」と指示。

原告側が「被告は答弁書で基本的な主張は済んでいるのか」と聞くと、
被告代理人は「そうだ」との答え。
裁判長が「個人情報の問題はないのか。公文書の公開の判断だけか」
と双方に確認。被告側、「そうです」。
原告側、「発言している委員は、全員、県の非常勤職員なので、公
務としての発言だから問題ないし、被告もそう認めている」。
裁判長、「では、公文書に該当するかどうかだけが争点ですね」。
被告、「公文書にあたるか、管理しているといえるかです」。

被告・福井県の答弁書は、前日の24日に裁判所からFAXで送られ
てきており、25日に原本を受け取りました。
被告側は、5月10日ころまでに出す、ということで、
原告側は1ヶ月後くらいで、5月のうちに反論を書くということで、
次回の二回弁論期日は、6月27日(水) 午後4時半から と決定。

その後、原告のお二人の意見陳述を行いました。
以下は、意見陳述書です。
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平成19年4月25日 
             陳 述 書
                           原告  菅井純子

 私は、福井市内で女性のための電話相談ボランティア活動を行っている「ウィメンズ・フォーラムFUKUI」という市民グループの一員です。この会は、福井県の設置した生活学習館「ユー・アイふくい」の広域学習グループに登録しており、研修講座などの会場として「ユー・アイふくい」を利用してきました。また、会の発足当初より特にドメスティック・バイオレンスの被害者支援活動に力を入れてきましたので、福井県の配偶者暴力被害者支援センターでもある同館の役割に大きな期待を寄せてきました。

 そのため、昨年5月に「ユー・アイふくい」の情報ルームの一部の図書が県職員によって撤去された問題が明らかになった時は驚きとともに、強い怒りと失望を覚えました。排除された図書の中には、DVに傷ついている女性にとって非常に有用と思われる図書も多数含まれておりました。
昨年8月29日に、県の福井県男女共同参画推進条例に基づいて、「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」として、この特定書籍の排除の経過や今後の施策に関して県知事に苦情申出書を提出しました。

 その申出は、11月2日に開催される福井県男女共同参画審議会に諮られることになりました。
 しかもこの11月2日の平成18年度第5回審議会では、「福井県男女共同参画基本計画」の改定についての議論がいよいよ大詰めを迎えようとしていました。この計画は「男女共同参画社会基本法」に基づき平成14年に策定されたものですが、計画期間の半分を経過するにあたり社会情勢の変化などを勘案して計画を見直そうとするものです。審議会での議論は今後5年間の福井県の男女共同参画にかかわる施策を方向付けるものですから、県民全体にとって極めて重要な意味を持つものです。

 私は、11月2日の審議会を傍聴し、2時間に及ぶ会議の内容をできるだけ詳しく筆記しようといたしました。高田会長をはじめ委員の皆さんが活発に意見を述べられ、杉本総務部長や田島課長の発言もありました。審議会で図書撤去問題の意味が問われたことには大きな意義があります。

 その議事録は、後日、県のホームページ上で閲覧できるようになりました。しかし、実際に話された言葉と比較すると要約され、省略された部分が大きくて、とても残念です。特に事務局による説明がすべて省略されていることや、杉本総務部長の発言が非常に簡潔な表現に要約されていることには違和感を覚えます。また、私の主観によるものとはいえ、ニュアンスの違うものになっている箇所が少なくありません。

 県は、会議記録が出来上がったら、録音記録のデータを消去しているそうです。福井県の今後の男女共同参画にかかわる施策を方向付ける会議の記録です。大幅に要約あるいは省略した会議記録では将来、施策の協議経過を振り返ることすら出来ません。条例に基づく私たちの苦情申し出の審議の記録も消えてしまいます。

 私は傍聴した者の一人として、この審議会での議論のすべてが県民に公開されるべきだと考えます。私は、委員や事務局の方々がすべての時間を通じて真剣に議論を尽くされたことを知っております。その貴重な発言の内容を余すことなく県民に公開することで、県の男女共同参画がより県民に浸透するに違いないと考えます。また県民だけでなく全国から注目されている図書撤去事件が県側からどのように説明されたのかを、音声記録の公開により白日の下にさらすことが、福井県を「情報公開後進県」に貶めないためにもぜひ必要であると考えます。

 私は、納税者であり福井県民です。裁判官のみなさんには、私の知る権利を、そして県民の知る権利を是非とも守っていただきたいと、強くお願いいたします。
                                 以上
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                      平成19年4月25日
           意見陳述書
                        原告  小 川 満 美

 平成15年8月19日、三重県桑名市にある三重県のゴミ処理施設において爆発事故がありました。私は、桑名市議会議員だったこともあり、県が設置した爆発事故にかかるRDF貯蔵層事故調査特別委員会(平成16年1月27日開催)と県議会健康福祉環境森林常任委員会(平成17年11月4日開催)の会議の録音テープを情報公開請求したことがあります。二度とも開示されていましたので、今回、福井県で会議録のテープ等の電磁的記録が情報公開されなかったことに、大変驚きました。同じような情報公開条例のはずなのに、運用面でこれほど大きな差があることには納得がいきません。それどころか、恣意的な運用がまかり通って、市民の「知る権利」が損なわれることは許せません。

 そこで、他の自治体の状況を確認するために、インターネットで簡単に情報公開請求ができるところなど5府県を選びました。三重県、秋田県、岩手県、宮城県、大阪府です。請求者は府県民に限らず、だれでも情報公開請求できます。

 請求方法は、各自治体の公式ホームページから情報公開のページを開き、そのまま電子メールを送るか、あるいは、情報公開請求書をホームページからダウンロードして、FAXを送るだけで済みました。対象文書は、この訴訟と同様に、「『男女共同参画審議会』の直近の会議の内容をとどめたところのいわゆる『電磁的な記録』及びその『電磁的記録』から作成された『会議録』」等と特定して請求してみました。時期は、今年の2月から3月にかけて、です。

 結果は、「電磁的記録」は5府県とも開示されました。
「電磁的記録」から作成された「会議録」については、4府県は開示されました。ただ、三重県だけが平成19年1月31日に審議会を開催したばかりで、2月9日の請求時点では、「議事録作成途中」ということで「不存在」扱いでした。この三重県も現在は、会議録の概要が公式ホームページ上に公開されています。つまり、会議録の作成が完了する前でも音声データは開示したということです。

 なお、請求後、5府県とも担当者から内容確認の電話がありました。
宮城県の担当者からは、「ホームページ上に議事録を公開しているのに、何故必要なのですか。まったく同じものですよ」と不審がられてしまいました。私は、「会議の録音テープなどの電磁的記録が情報公開請求できない県があったので調査をしています」と説明し、理解してもらいました。
他は、内容確認だけで、すぐに手続きしてくれました。

 今回、複数の自治体に、同じ文書を請求してみて、議事録は情報公開の対象になるのは当然で、ホームページ上でも公開されていました。さらに、議事録確定前でも会議の模様を実際に記録した録音テープや電磁的な録音記録も情報公開の対象になることがよく分かりました。私自身の経験と直感に安心しました。

 この調査を試みて感じたことは、福井県の情報公開条例の運用がいかに恣意的であるかと同時に、いかに条例の解釈を誤っているか、そして、福井県庁には非公開体質があふれているということです。
私は、福井県庁の常識は全国の非常識、と申し上げたい。
                      以上
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裁判が終わって法廷の外で、マスコミの取材を受けました。
記者の関心はけっこう高いと思っていたら、記事も予想以上に
(岐阜の第一回弁論などより)大きかったです。

福井「情報非公開取消訴訟」報告1/新聞記事

その後、傍聴した人たちも一緒にお茶を飲んで、原告4人で念願の温泉泊。

第2回弁論は、6月27日は4時半から。
次はぜひ「訴訟と温泉」ご一緒しましょう。

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