みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

12/9【ジェンダーコロキアム】@東大/『女性同士の争いはなぜ起こるのか―主婦論争の誕生と終焉』

2009-12-02 18:22:17 | ほん/新聞/ニュース
12月9日(水)に、今年最後の「ジェンダーコロキアム」が開催されます。
12月に入ってしまいましたが、P-WANのイベント情報で紹介しました。

書評セッションで、テーマ本は、
『女性同士の争いはなぜ起こるのか―主婦論争の誕生と終焉』
妙木忍 (著) 青土社 (2009/10/22) 2600円


わたしもちょうど読み終わったところです。

ここに取り上げられているテーマは、わたしにとっても80年代の、
上野千鶴子さん編集の『主婦論争を読む』のころからの関心事なので、
ぜひ参加したかったのですが、母が入院したので、ビミョウな日程になりました。



 12/9【第12回ジェンダーコロキアム】@東大/書評セッション
『女性同士の争いはなぜ起こるのか 主婦論争の誕生と終焉』(妙木忍2009)


2009年度 第12回ジェンダーコロキアム
日時:2009年12月9日(水)18:40-20:30
場所:東京大学法文1号館315号室(本郷キャンパス)
書評セッション
妙木忍2009『女性同士の争いはなぜ起こるのか 主婦論争の誕生と終焉』青土社(2600円+税=2730円、上野研究室で著者割引にて2200円)
帯:女たちを分断する「主婦」の呪縛は解けるのか?「主婦論争」研究の画期的成果。上野千鶴子
コメンテーター:熊坂礼子(くまさか れいこ)/大和田未来(おおわだ みき)

本書の紹介:
生き方の選択をめぐる女性同士の争いをテーマに、3次にわたる主婦論争から、1980年代のアグネス論争、1990年代の専業主婦論争、2000年代の「負け犬」論争までを一本の線で結んで、戦後主婦論争として分析。女性のライフコース選択をめぐる論争の「かなめ」には主婦をめぐる問いがあると考え、主婦をキーワードとして、女性たちが時代をこえて受け継いできた論点に迫る。女性が抱く葛藤はどこから来ているのか?女性同士の争いは、時代や論点の変容を遂げながらもなぜくりかえされるのか?その葛藤は、決して個人的な葛藤などではなく、各時代の背景と女性が置かれた位置に関係しているということを、歴史的に明らかにしようとした著作。

著者自己紹介:妙木忍(みょうき しのぶ)
1977年高知県生まれ。高知大学教育学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了。博士(社会学)。専門はジェンダー研究と観光研究。2006年度北海道大学観光学高等研究センター学術研究員。現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー。主な共著として『新編 日本のフェミニズム 3 性役割』(岩波書店、2009)、『観光の空間』(ナカニシヤ出版、2009)ほか。近刊として『フェティシズム研究 3 侵犯する身体』(京都大学学術出版会、2010年2月)。本書に関連する著者の論文は末尾に記載。女性同士の対立を研究したくて京都から東京に来ました。

コメンテーター自己紹介:熊坂礼子(くまさか れいこ)
山形大学人文学部卒業後、私立高校の社会科の教員として4年間働きましたが、職場の同僚と結婚し、退職しました。その後24年間は主婦役割を最優先させて暮らしてきました。50歳になった頃、父が事故で障害者になり、それをきっかけに家族の問題が表面化しました。その時に自分の主婦役割について疑問を持ちました。4年前に上野先生と出会い、『サヨナラ学校化社会』や『家父長制と資本制』などを読んで、ようやく同志にめぐり会ったと思いました。現在主婦の当事者研究をしています。『女性同士の争いはなぜ起こるのか』を読んで、待ち望んでいた主婦論についに出会ったと思いました。

コメンテーター自己紹介:大和田未来(おおわだ みき)
東京学芸大学教育学部幼稚園教員養成課程卒業。8年かけて大学を卒業!現在、東京大学社会科学研究所学術支援職員。先生や友人など、理解し、見守ってくれる人に恵まれました。その環境の大切さを実感します。私を離さない問題と向き合いたくて、現在上野ゼミでお世話になっています。当日は、当事者性と降りられなさ、自分自身のポジショナリティについて、また、シングルマザーという、婚姻制度を選ばなかった自分自身の立場から見えてくる「主婦」の立場について考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

目次
・・・・・・(以下略)・・・・・



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

ちょうど先週の朝日新聞の書評にも取り上げられていました。



ちなみに、この本は、
「2009年6月18日に東京大学から博士(社会学)の学位を授与された論文
「ライフコースの多様化が生み出す女性間の対立と葛藤―戦後『主婦論争』を通して―』
を書き改めたもの(著者あとがきより)、だそうです。

ということで、内容はやや高度ですが(笑)、
目次を見るだけでも、盛りだくさんでおもしろそう、と思いませんか。

『女性同士の争いはなぜ起こるのか
―主婦論争の誕生と終焉』妙木忍 (著) 青土社 (2009/10/22) 2600円

目 次

第1章 「主婦論争」 の誕生
     1 「主婦論争」 の誕生
     2 一九八〇年代以降の論争
     3 主婦論争を再定義する
        主婦の自明性喪失以前と喪失以後
        準拠対象としての主婦
     4 女性たちの共通点――比較の基盤
     5 女性と男性のあいだの非対称性と女性同士の分断
        女性間を分断する規範
        主婦の自明性喪失以後にも残る規範
     6 規範が変化しても変化しないもの
     7 女性同士の争いを読み解くために

第2章 前史としての主婦論争
     1 第一次主婦論争――主婦は外で働くべきか?
        第一次主婦論争の社会史的背景――戦後復興と家電製品の普及
        主要類型の再定義
        主婦否定論――主婦も職場進出を
        主婦肯定論――主婦の家庭役割尊重
        主婦調停・和解論――家庭の主婦と働く主婦の連帯を求めて
        主婦役割全面否定論――個人としての経済的自立を
        梅棹論はなぜ孤立したか
        市場労働と家事労働のはざまで
     2 第二次主婦論争――家事労働はなぜ経済的価値を生まないのか?
        第二次主婦論争の社会史的背景――高度成長と進む女性の主婦労働者化
        「主婦が一日サボッたら」
        無償労働の問題化――主婦労働には価値がないか
        経済学の立場から――主婦労働は無価値である
        主婦の経済的自立の具体的提案――主婦年金制
        低賃金を支えるものとしての主婦労働
        磯野説とその後の 「家事労働」 概念の再論点化
     3 第三次主婦論争――主婦の正統性を正当化する
        第三次主婦論争の社会史的背景――「主婦労働者化」 の完成を経て
        武田論の先駆としてのウーマン・リブ
        武田論の登場――主婦礼賛論
        武田論への反論
        二重負担に対する警鐘
        ライフコースと性役割の分離の前兆
        専業主婦と働く主婦の羨望度
     4 性役割規範をめぐる女性間比較
        論争契機としての二者択一論
        他者への批判か積極的自己肯定か
        主婦論争の死角
     5 既婚女性が主役だった論争

第3章 第四次主婦論争 (アグネス論争)
     1 社会史的背景――働く母親の増加
        二重負担の強化
     2 アグネス論争――子連れ出勤は是か非か?
        Ⅰ期・創出期 (一九八七年三月二〇日~一九八八年二月一八日)
        Ⅱ期・国会以後 (一九八八年二月一九日~一九八八年五月一五日)
        Ⅲ期・上野 「論壇」 登場以後 (一九八八年五月一六日~一九八八年八月二日)
        Ⅳ期・冊子登場以後 (一九八八年八月三日~一九八八年九月七日)
        Ⅴ期・中華思想説以後 (一九八八年九月八日~一九八八年一二月一日)
     3 アグネス論争をどう読み解くか
        文脈の設定――働く母親の子連れ出勤
        「公私の分離」 規範とアグネス論争
        「公私の分離」 規範と性役割規範
     4 ライフコース比較言説の登場――山口百恵・松田聖子・アグネス
        子育てをめぐる主要三類型
        争点にはならなかった百恵型
        アグネスの対比は聖子ママ
        ライフコース比較言説が意味するもの
     5 職場神聖論
        独身風をよそおう
        役割葛藤の顕在化
        仕事の厳しさと 「男の論理」
        女性による職場神聖論の支持
     6 羨望と嫉妬のあいだで――相対的剥奪感
        アグネスが 「重要な他者」 となる理由
        アグネスへの相対的剥奪感
        アグネスへの羨望
        羨望と嫉妬のあいだで
        子連れ出勤批判の根底にあるもの
     7 ねづよく残る性役割規範
        個人内葛藤から個人間葛藤へ
        アグネス論争の歴史的意義とその後

第4章 第五次主婦論争 (専業主婦論争)
     1 社会史的背景――マイノリティ化する専業主婦
     2 前史――社会学者らによる専業主婦論
     3 主婦役割全面否定論と主婦役割全面肯定論の対立
        主婦役割全面否定論――石原里紗の専業主婦論
        主婦役割全面肯定論――林道義の専業主婦論
     4 ライフコースの多様化の容認をめぐって――石原論と林論の対照性1
        女性の自己決定をめぐって
        多様なライフコースの肯定をめぐって
        専業主婦の代弁をめぐって
        ライフコースの多様化と女性の自己決定
     5 女性の自己利益の優先の是非をめぐって――石原論と林論の対照性2
        多様化する専業主婦肯定論――専業主婦の是非論から
        女性の自己利益の優先の是非と専業主婦の階層分解
        石原論は専業主婦バッシングか? 林論は専業主婦擁護論か?
     6 石原論と梅棹論
        主婦役割全面否定論の再来――梅棹論との共通点
        主婦に経済的自立を求めず――梅棹論との相違点
        経済的独立を争点としなかった石原論
     7 第六次主婦論争への助走
        石原論と酒井論の共通点
        石原論が残したもの――性役割への疑問
     8 石原論の歴史的意義と盲点
        専業主婦の階層分解と均質性――「自己犠牲」 への視点
        石原論の盲点
     9 専業主婦の階層分解を目前にして

第5章 第六次主婦論争 (「負け犬」 論争)
     1 社会史的背景――広がる女性間の経済階層格差
     2 論争者のいない論争
        逆説的な自己肯定
        なぜ争いにならなかったのか――三つの理由
        「負け犬」 論争が 「論争」 である理由
     3 規範が失われた論争
        メディアが構築する対立軸
        ライフコースモデル――高まる 「勝ち勝ち犬」 モデルの価値
        変貌する結婚観
        生活を変えたくない 「負け犬」 たち――「保存」 型結婚アドバイスの登場
        願望と規範の大きな差
        規範が失われた論争とは何だったのか
     4 「勝ち犬」 と 「負け犬」 の共通点
        「負け犬」 論争の効果――「負け自慢合戦」
        「負け犬」 と 「勝ち犬」 の共通の基盤
        「勝ち犬」 の肩身の狭さ
        「勝ち負け」 調停論をこえて
     5 「負け犬」 論争がもたらしたもの
        失われゆく性役割規範――第一の論点
        繰り返される女性間の比較とその変容――第二の論点
        選択肢の一つに過ぎなくなった結婚――第三の論点
     6 「ありのまま」 を肯定して生きる

第6章 主婦論争の通時的分析
     1 主婦論争のまとめ
        論争の領域
        規範の種類
        論争契機
        論法
        断絶のずれ――三つの断絶
     2 第一の断絶――準拠対象の変容(第一次~第三次、第四次~第六次)
     3 第二の断絶――争点となる規範の変容(第一次~第五次、第六次)
        争点としての性役割規範
        争点としてのライフコース規範
     4 第三の断絶――女性の意識の変化(第一次~第四次、第五次~第六次)
     5 主婦論争の断絶から見えてくるもの
        第一の断絶と第二の断絶の時差
        第三の断絶と第二の断絶の時差
        主婦の普及期と衰退期の共通性
     6 女性同士の争いがくりかえされるのはなぜか
        排除された論点
        結婚と出産をめぐる認識の変貌
        女性カテゴリーの再生産
     7 新たな問い――規範解体以後も終わらない論争

第7章 主婦論争のゆくえ
     1 ライフコースの多様化 「以後」 の主婦論争
        準拠対象から遠ざかる主婦
        性役割規範が争点となる論争は終焉したか?
        「負け犬」 論争は主婦論争といえるか?
     2 女性間を分断する規範のゆくえ
        特定のライフコースが規範化されない時代を迎えて――変貌する結婚の位置付け
        規範の復活はあるか、規範の維持はされるか
        男性の家事労働を組み込んだ論争、女性同士の世代間の論争
     3 女性同士の争いはどこへいくのか
        調停はしない
        論争の変容、論争の不変
        社会史的背景とともに移り行くと予測される女性同士の争い

参考文献
引用一覧
あとがき
索引

[著者]
妙木 忍(みょうき・しのぶ)
1977年高知県生まれ。高知大学教育学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了。博士(社会学)。専門はジェンダー研究と観光研究。2006年度北海道大学観光学高等研究センター学術研究員。現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー。主な共著として 『新編 日本のフェミニズム 3 性役割』(岩波書店、2009)、『観光の空間』(ナカニシヤ出版、2009年)ほか。



最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月01日(火)のつぶやき

2009-12-02 00:41:40 | 花/美しいもの
23:08 from web
●山県市議会の勇断に拍手!/「地方議員年金廃止を求める意見書」を全会一致で可決 http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/54f3b6981d72e7fc682b194650b608a6
23:15 from web
けさ母から呼吸が苦しくて眠れなかったとの電話。いなば内科で肺のレントゲンを取ったら異常があり、紹介状を書いてもらって、そのままハートセンターへ。心不全とのことで緊急入院。専門病院にいれば安心だけど、東京での手術から二度目の肺水腫で心配。強心剤の点滴で症状が改善したので帰ってきた。
by midorinet002 on Twitter
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする