みどりの一期一会

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読む政治~厚労相「主役」果たせず/迷走する「子ども手当」のゆくえは・・・

2009-12-30 10:34:14 | ほん/新聞/ニュース
2009年もあと二日。

昨日につづいて、毎日新聞記事が続きます。

読む政治:厚労相「主役」果たせず(その1) 診療報酬増、官邸が裁定
毎日新聞 2009年12月27日

 「うだうだ言わんと、総理の意思だから決めてほしい」
 10年度の予算編成が大詰めを迎えていた23日午前、平野博文官房長官は首相官邸に藤井裕久財務相と長妻昭厚生労働相を呼び、強い口調で迫った。
 10年度の診療報酬改定は財源難から減額を迫る財務省と、医師不足対策として増額を求める厚労省の折衝が暗礁に乗り上げていた。平野氏の前で0・31%増を主張する長妻氏に、藤井氏も0%増まで降りたものの、それ以上は譲らなかった。
 業を煮やした平野氏は「藤井さんはオレが説得する」と長妻氏を退室させた。「0・19%増で」。平野氏の提示に、藤井氏は最後、10年ぶりとなるプラス改定を受け入れた。
 「医療崩壊現場の切実な声が届いた」。晴れやかに語った長妻氏だが、マニフェストの修正に批判が集まる中、診療報酬増も撤回するなら政権が持たないと判断した、官邸側のおぜん立てに乗ったのが実情だ。また増額の裏には、来年の参院選をにらんだ民主党の政治的思惑もちらつく。
 「民主党の政策には、うなずける点も多いと思っていました」
 10月14日、国会内に民主党の輿石東参院議員会長を訪ねた日本歯科医師会の大久保満男会長と、その政治団体、日本歯科医師連盟の堤直文会長は、輿石氏にそう語りかけた。
 2人は10月7日には党本部に小沢一郎幹事長を訪れ、共ににこやかに写真に納まっている。この時期の医療団体の訪問は、たとえ表敬でも診療報酬増の陳情含みというのが暗黙の了解事項だ。
 日歯連は長年、組織代表を自民党から国会に送り出してきたが、政権交代直後、既に自民党からの参院選出馬を決めていた組織内候補の擁立をやめ、民主党支持を鮮明にした。一方、焦った日本医師会は従来の自民党支持方針を白紙に戻したものの、自民現職の組織代表を推す方針までは変えられずにいる。
 民主党の政府への重点要望18項目には診療報酬増も盛り込まれ、主導した小沢氏はわざわざ歯科増額の重要性を明記した。終わってみると、報酬の伸びは医科1・74%に対し、歯科2・09%。近年は両者同率で、差をつけるのは異例のことだ。
 「カネで日医をけん制する政治判断など、政局が不得手な長妻氏にはできない」
 民主党内には、そんな見方が広がる。
      ◇
 鳩山政権発足100日目の24日、子ども手当の財源問題が決着し、前夜には診療報酬も片づいた。いずれも厚労省の重要政策だ。それなのに、長妻氏が意思決定に深く関与した跡はうかがえない。

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読む政治:厚労相「主役」果たせず(その2止) 悔しさにじませる長妻厚労相
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 <1面からつづく>

 ◇子ども手当 「首相頼み」実らず
 ◇党の言う通りにしないといけないのか、国会答弁で説明責任を果たすのは私じゃないか
 クリスマスイブの24日午後、長妻昭厚生労働相は厚労省10階の大臣室にこもり、全国市長会長の森民夫・新潟県長岡市長や全国町村会長の山本文男・福岡県添田町長らへの電話に追われていた。
 「何とかご理解いただけませんか」。中学3年生までの子どもへ一律2万6000円(10年度は半額)を支給する子ども手当には、土壇場で地方負担が残った。そのことを釈明する長妻氏に森氏らは冷淡で、全国知事会長の麻生渡・福岡県知事はこの日、電話に出なかった。
 年末の予算編成過程で、政権内は子ども手当を巡って百家争鳴となった。民主党はマニフェストで、所得制限を設けず、財源は全額国費と約束し、長妻氏もそう語ってきた。にもかかわらず、財政難から所得制限の導入と、地方にも財源を求める構想が急きょ浮上したためだ。
 17日早朝、長妻氏は厚労省幹部に「党の言う通りにしないといけないのか」と戸惑いを見せた。前夜、民主党の小沢一郎幹事長は、政府に子ども手当への所得制限を明記した要望を突きつけていた。長妻氏は省の幹部会で「内閣が決める話だ。国会答弁で説明責任を果たすのは私じゃないか」と悔しさをにじませ、昼には記者団に「所得制限を設けないのが制度の理念だ」と語った。長妻氏なりの、小沢氏への精いっぱいの反論だった。
 結局、所得制限は21日夜、すったもんだの末、鳩山由紀夫首相の判断で見送りが決まり、結論は診療報酬同様、長妻氏の主張通りとなる。それでも、長妻氏には党幹部らに意見表明する場さえ与えられなかった。首相が判断を示した直後、長妻氏は記者団に「第一報をたった今、お聞きした。どういう考えか確認しないと……」と漏らしている。
 厚労省単独ではらちがあかない地方負担の問題も、長妻氏に重くのしかかった。地方は児童手当に約5700億円を投じている。財務省からこの地方負担分を子ども手当に回す案が伝わり、原口一博総務相は「地域主権担当を返上する。やってられない」と猛反発していた。
 困り果てた長妻氏が頼ったのは、鳩山首相だった。
 長妻氏は10月、生活保護の母子加算復活を狙って首相公邸に乗り込み、直談判した首相から「年内」の約束を取り付けた。首相はその際、「何かあればいつでも来てください」と伝えていた。党内に基盤のない長妻氏には、首相が貴重な厚労行政への理解者と映った。
 ところが、長妻氏の「困った時の首相頼み」には、政府内にも「ルール違反だ」との批判がわき起こる。12月9日朝、長妻氏はインドネシア訪問直前の首相を訪ね、子ども手当の全額国庫負担を求めたが、首相は「菅(直人副総理兼国家戦略担当相)さんが担当している。そこで調整を」とつれなかった。
 その菅氏と、藤井裕久財務相、原口総務相、長妻厚労相の4大臣は23日、今の児童手当の枠組みを残し、子ども手当を上乗せする奇策に合意した。地方に引き続き負担をさせるための苦肉の策だが、11年度以降の地方負担がどうなるかはハッキリさせていない。
 原口氏はライオンの頭とヤギの胴体などを持つギリシャ神話の生物に例え、「これはキメラ案だ」と吐き捨てた。神奈川県の松沢成文知事は「子ども手当は予算化しない」と反発を強めており、年明けには波乱の第2幕が開く気配も漂う。

 ◇年金改革 得意分野も試行錯誤
 不慣れな政策に頭を痛める長妻氏にとり、閉塞(へいそく)感を打ち破れるのは得意の年金だ。
 長妻氏は低年金・無年金の人への対策として、国民年金改革の検討を始めた。今の制度は未納分の保険料を2年しかさかのぼって払えないが、これを10年に延長しようとしている。国民年金は25年間納めなければ受給権が生じない。10年間の事後納付を認めることで「25年」に満たない人を救済できるなどのメリットがある。とはいえ、年金分野も多くは試行錯誤が続く。
 長妻氏は年金記録を消された人の救済策として、納付の証拠がなくとも本人の申し立てで記録を回復させる法律の必要性を唱えてきた。厚労相に就任するや法案化に着手し、原案を作り上げた。
 だが、社会保険労務士から誤裁定(不正受給)を懸念する声が寄せられ、長妻氏も「誤裁定はイヤだな」と、断念に傾いた。
 旧式の手書き記録とオンライン記録の照合も、10、11年度で集中的に進めるとした構想はずれ込みそうだ。長妻氏が職員を怒鳴り上げて概算要求に計上させた照合費用は、財務省の手で要求の半額に近い427億円に圧縮された。
 民主党は12年度から年金制度を一元化し、税による最低保障年金を設ける制度改正に着手すると公約している。しかし、増税を封印する政権の下、財源問題一つとっても容易ではない。
 政権交代後、厚労省の栄畑潤年金局長は長妻氏に「年金制度改正に向け、有識者会議を発足させましょうか」と打診した。しかし、長妻氏は「イヤ、君らが水面下で勉強しておいてくれ」と答えるにとどめたという。
     ◇
 佐藤丈一、塙和也が担当しました。
(毎日新聞 2009年12月27日)



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子ども手当:11市「地方負担応じぬ」 8割が反対--東海70市毎日新聞調査
毎日新聞 2009年12月26日 中部朝刊

 10年度から実施される子ども手当の一部を地方自治体が負担することについて、毎日新聞は24、25両日、東海3県の70市にアンケートを実施した。回答した67市のうち8割近い53市が反対し、うち11市は「負担に応じない」と答えた。「負担に応じる」とした27市も「住民が不利益を被るから」などの理由からで、「二枚舌政策だ」と政権を厳しく批判する自治体もあった。【まとめ・山田一晶】

 ◇事前協議なく怒り
 回収率は95・7%。地方負担に「やむを得ない」と理解を示したのは愛知県東海市、岐阜市、津市など8市。「厳しい財政下での暫定措置だから」(愛知県安城市)などの理由からだった。
 一方、「反対」と答えた自治体が指摘したのは(1)民主党のマニフェスト(政権公約)に反する(2)政権が掲げる地方主権の理念に反する(3)子ども手当と児童手当の併存で自治体の事務がさらに煩雑になる--などの理由。全額国庫負担を前提に来年度の予算編成に入っていた自治体も少なくなく、地方との事前協議がないままの決着に怒りをあらわにする回答もあった。
 中でも、「市民に渡る手当の額が減っても負担には応じない」と宣言していた三重県松阪市の山中光茂市長は25日、記者会見し「全国の首長と連携して闘う」などと強調。同市はアンケートへの回答でも「財源が足りないからと地方に押し付けるのは詐欺だ」と強い不満を示した。
 ただ、地方負担に反対であっても「具体的な対応策がない」(愛知県西尾市)、「法律で決められれば応じざるを得ない」(同県愛西市)などと打つ手がないのが実情。「負担に応じない」とした11市も、最後は折れざるを得ないとみられる。
 民主政権に対し「期待が大きかっただけに失望も大きい」(安城市)、「もう少し定見を持ってほしい。独断すぎる」(岐阜県美濃市)、「マニフェストの実現だけでなく、市町村をもっと大事にすべきだ」(同県可児市)などと指摘する自治体もあった。
(毎日新聞 2009年12月26日)

 

子ども手当財源確保…現行の児童手当活用
(2009年12月24日 読売新聞)

 菅副総理、原口総務相、藤井財務相、長妻厚生労働相の4閣僚は23日の協議で、子ども手当の財源の一部を地方自治体と事業主が負担することを決めた。厚生労働省や地方自治体などは全額国費負担を主張していたが、厳しい財政状況が続く中で、地方負担を求めていた財務省の言い分が通った格好だ。一方、子ども手当創設に伴う財政負担の軽減を期待していた地方自治体は反発を強めている。
 子ども手当の財源には、2010年度は現在の児童手当の仕組みを維持して活用する。地方負担は、児童手当(09年度予算で約5680億円)とほぼ同じ水準になる。
 ただ、現在の児童手当に月1万3000円の子ども手当が上乗せされるわけではない。例えば、児童手当を月5000円支給されている世帯には、形式的には児童手当5000円と子ども手当8000円が支給されることになる。
 民主党は予算の重点要望で、子ども手当の財源について「地方には新たな負担増を求めない」としていた。児童手当の仕組みを維持するのは、地方負担への理解を得やすくしたいという狙いがある。
(2009年12月24日 読売新聞)


おとといから、北陸に行ってきました。

その報告はまた改めて。

ではまた。

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コメント (2)
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