みどりの一期一会

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(第二次)特定図書排除に関する申し入れ書、市民97名/議員5名/5団体で今日提出。

2008-11-13 17:08:55 | 「ジェンダー図書排除」事件
市民のみなさんによびかけていた、堺市長および教育長充ての、
「(第二次)堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」を
堺市役所本庁高層10階の教育委員会に、ぶじ提出しました。

今回、わたしは自宅待機、11時過ぎに関西の仲間が
堺市役所に持参してくださったのです。

第二次の申し入れは、上野千鶴子さんを筆頭に、
市民97名/議員5名/5団体の連名の申し入れ。

申し入れ人の合計は、前回11月7日提出の「議員41名/2団体」とあわせて、
 「市民97名/議員46名/7団体」になりました。

申し入れに加わっていただいた皆さん、ありがとうございます。

                       2008年11月13日 
堺市長   木原敬介 様
堺市教育長 芝村巧 様

   (第二次)
   堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書
 
                      
本年7月から8月頃、堺市立図書館において、一匿名市民から電話やメールで特定図書に対し執拗な撤去要求がなされ、依頼を受けた市議会議員も介入したことにより、所蔵図書5,499冊が「BL(ボーイズラブ)本」として、市立図書館から一律に利用者の目に触れない閉架に移されています。
堺市公式ホームページ「市民の声Q&A」では、(市民の声)「中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです」「すみやかにBLを換金し、他の有益な図書の購入費に当てるよう、強く強く要望いたします」に対し、(市の考え方)として「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」と回答しています。

堺市立図書館は、堺市の「公の施設」(図書館法2条2項、地方自治法244条)であり、「堺市立図書館条例」によって設置され、図書は「堺市立図書館 資料収集方針」に基づいて市民の税金で収集・管理され、「資料除籍基準」「資料保存基準」にしたがって除籍・保存されています。
「資料収集方針」にしたがって購入した図書を、一匿名市民、議員の不当な圧力に起因する思いつきの閉架扱いにしたことは、著しく恣意的で、管理者に許された裁量を著しく逸脱した違法な行為です。「堺市立図書館 資料収集方針」は、「図書館の自由に関する宣言」「図書館員の倫理綱領」に則って基本方針を定めており、今回の一連の行為は、「図書館法」および「図書館の自由に関する宣言」「図書館員の倫理綱領」にも違反します。図書の違法な排除および除籍は、知る権利、知る自由の侵害で、けっして許されることではありません。

特定図書を排除する行為は、思想の自由、表現の自由、憲法に定められた基本的人権を侵害し、かつ、禁止された検閲であって「日本国憲法」に明らかに違反しています。

公立図書館は、地方自治法第244条「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という)を設ける。」によって設置されており、「2 普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」「3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」と規定しています。特定意図による図書の排除や処分は、住民の権利を侵害しもしくは住民を差別するものであり、「地方自治法第244条」第2項及び3項に違反します。

これらの図書は「大阪府条例の有害図書にあたるものは一切ない」(11/5朝日新聞)にもかかわらず、「青少年への提供を行わない」とされています。この決定は、「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約) の、「意見を表明する権利(第12条) 」「表現の自由についての権利 (第13条)」「思想、良心及び宗教の自由についての権利 (第14条)」「干渉又は攻撃に対する保護(第16条)」に反しています。同時に、BL図書の排除は、直接的であると間接的であるとを問わず、性別による権利侵害および差別的取り扱いを禁止した、「堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例」にも違反しています。

以上のように、わたしたちは、公立図書館からの特定図書の排除をとうてい容認することはできません。すみやかに当該排除、廃棄行為を中止しもしくは現状復帰されるように求めます。
また、今回の特定図書排除に関して、公文書やウエブサイトから、市議会議員の関与が明らかになっています。このような、「公の施設」に対する市議会議員の介入を看過することはできず強く抗議するものです。
以上、申し入れるとともに下記の2点について、11月14日(金)までに、文書で誠意ある回答を求めます。

              記

1.「中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです」に対する、「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」との市の回答は、特定図書の処分(廃棄)を前提にしたものなのか。説明を求める。

2.今回、一部の市議会議員の個人的主張に市の基本姿勢が揺らいだことは間違った市政運営ではないか。
                               以  上

                    上野千鶴子 東京大学大学院教授
                「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表
                  (別紙)市民97名/議員5名/5団体 


回答は、教育長名で、文書で届く予定です。
回答が届いたら、また報告します。

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今回の問題にかかわって、排除する側のひとの議論も読んで、
はっきりしてきたのは特定図書を排除したい人たちは、
「わいせつ」「性的」な本として、「同性愛」を嫌悪し、
「ボーイズラブ」自体を排除したいということです。

ボーイズラブを説明したブログがあるので、紹介します。

・BLとBL読みを貶めるのもいい加減にしてもらいたい。
(__ScrapBook of Plumber11/10)
 

わたしは、少なくとも、予断と偏見を持たないようにして、
9月にまず5499冊(5706冊)の図書リストを入手し、
10月には図書館をじっさいに視察して、特定された図書を見ています。

その上で、本の内容に踏み込まないお金の観点から、
住民監査請求という手法で「処分の差し止め」をしました。
で、西船橋事件の最高裁判決から、
どのような本であっても、排除は違法、というのがわたしの主張です。

内容について触れてこなかったのは、議論が分かれる問題については、
監査請求のほうが整理しやすいからです。
とはいえ、排除する側の議論が、あまりに差別的なので
どうしても、ひとこと言いたくなりました。

図書館にあるBL本は、「露骨な性表現」の本ばかりではなくて、
「ボーイズラブ」という分野の文字で書かれた小説です。
一部「露骨な性表現」の本もあるかもしれませんが、それは、
BLでくくるよりは、官能小説の分野に入るのでしょう。
特定図書を嫌う人たちは、同性愛小説そのもの排除せよといっているのに等しい。

その要求によって、自発的に5499冊の本を一律に閉架に動かした
図書館側にも、「ボーイズラブ」に対する予断と偏見があったのでしょう。


受け取った図書リストを見て、びっくり。
最初のページには、わたしも知ってる栗本薫さんのシリーズ。
10枚ほどを見ても、講談社X文庫、角川ルビー文庫、集英社コバルト文庫、
二見書房、徳間書房、小学館などの大手出版社の本がずらりと並んでいます。
これが、ほんとに全部ボーイズラブ??

男女の恋愛小説で、露骨な性表現の本を一切置かないのならともかく、
どの図書館も探し出せば「セックスとバイオレンス」にあふれています。
図書館の内規に、異性愛の官能小説を購入しない一定のコードがあるのなら、
それを、「ボーイズラブ」に当てはめればすむ話です。

百歩譲って、匿名市民は一度も姿を現していないわけですから、
いま図書館の書架に置かれている5499冊の本を見てないはずです。
それを「ボーイズラブはいけない」とひとくくりにして、
さらに処分(除籍・廃棄)しろと言っている。
偏見と嫌悪感から、特定の他人を名指しして社会から排除するのは、
「セクシュアルマイノリティへの差別」としか言いようがなく、
図書を排除するのは「焚書」です。

この問題に取り組んで、デリケートな問題だから触れないほうがよい、とか、
BL本を排除から擁護することをタブー視する声があり、
ぎゃくに、悩んだ末に賛同します、という反応もありました。
巷にあふれるBL本の悪いイメージをことさらに振りまいて、
自己規制を迫るのは、差別する側の常套手段です。
だからこそ、わたしはいいたい。

図書を選別し、区別し、隠すことこそ「差別」につながる、と。

「ボーイズラブ」を書く人、読む人がいてもいいでしょう。
もしかしたら、わたしが愛読者かも知れないし、
自分が読みたくなければ読まなければよいだけの話で、
他人にまで一律に読ませない、というのは余計なお世話。
わたしが読みたくない本だって、図書館にはいっぱいあります。

本というものは、ひとがみずから手にとって、開いて読むものです。
本は、だれかに読まれるために、書かれている。
そのなかに何が書かれ、そこから何を感じ、読み取るかは、
読者自身が決め、他人がきめることではない。

子どもにだって、だれにだって、内心の自由があり、
他人に侵されたくないセクシュアリティがあります。

わたしは、その自由を、だれにも侵されたくない、侵したくもない。

 「わたしが読む本は、わたしが決める。」 


とここまで一気に書いて、買い物に行こうと外に出たら、
今日は満月でした。

おつきさまが明るすぎて、なかなかきれいに写せません。



「月の裏側」どうなってるんでしょうね。


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コメント (6)
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